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ロマンシングサガ2 リベンジオブザセブン_体験版感想

人生で最も遊んだゲームたちの一つである、ロマンシングサガ 2 のフルリメイクの体験版を少しプレイした。体験版の時点ではものすごく期待できる印象を持ったので、予約するとともに、少し感想を記そうと思った。

ディスクレイマー

  • 著作権関係表記 (C)SQUARE ENIX

  • 主に、SFC 版の原作既プレイ者の目線に立っています
    新規プレイヤーの目線にはあまり立てていません。

  • 原作・本作を通じた全ゲーム内容のネタバレを含みます

  • 記述内容は全て私の意見・感想であり、客観的事実の記述を除くすべての文末に「~と私は思う・考える」を省略します。


何が面白そうだったか

まず純粋に、ゴリゴリに古式ゆかしきターン制コマンドバトルの RPG に、今風のインターフェースや便利機能が載せられたゲームは素直に面白そうという点がある。見知った世界と設定ならなおさらだ。
また原作の既プレイ者ならではの特有の感覚として、バトルや冒険といった RPG としての失われた楽しみが蘇るという点もポイントが高い。

これはどういうことか?


原作は、ごく一部の強要素をそろえるだけで、攻略における戦術面がほぼ完成してしまうという特徴を持っていた。

少し触れると、最終皇帝、軍師、イーリス、アマゾンストライク、ラピッドストリーム、竜鱗の剣、不動剣、クロスクレイモア、無明剣、千手観音、リヴァイヴァ、ギャラクシィ、クリムゾンフレア、光の壁……といったところだろうか。

ゆえに、このゲームに多少なりとも時間を注ぐと、個々の戦闘などは瞬く間に完全なる作業と化してしまい、プレイヤは早々に、アイテム収集や見切り集めといった、いわゆる「やり込み」に足を踏み入れる。
そして最終的にその多くは、8-15法則だの、4000年プレイだの、とある帝国大学界隈だけで流布する呪文を調べ始め、そして自分だけの帝国記を作るプレイに走っていくことになる。
なお一部の異端者は、メニュー画面を開かないとか、最低回数戦闘とか、常軌を逸s

要するに、原作においては、RPG としての楽しさが早々に失われてシミュレーションゲームの様相を呈し始め、そしてそうなった後のプレイ時間のほうが圧倒的に長くなっていたのである。

そんなプレイヤーにとって、あの見知った世界を、ちょっと違ったプレイフィールをもって、改めて RPG として遊ぶことができるということは、それだけで既に十分面白さを期待させることなのだ。

項目を見ているだけでワクワクする

しかもクジンシーの館の中庭など、マップが全体的に 3D でアップグレードされている。浮遊城を 3D で冒険できるだなんて、期待と楽しみで今から夜も眠れませんね? (完全な個人的嗜好)

雑感

とはいえ、面白くないゲームは、どんなガワを被っていようが、どんな思い出補正があろうが、面白くないものは面白くないことは言うまでもない。

本作は、体験版の時点で、そういった不安をもたらす「あ、これヤバい地雷ゲーでは?」を感じさせる場面が殆どなく、期待感を膨らませつつ遊ぶことができた。
以下、各要素ごとに感じたことを雑多に並べていく。

バトル

昔ながらのターン制コマンドバトルに、タイムライン要素と連携が追加されている。近年のサガシリーズなどに見られがちなスタイルらしい (※)。
(※ サガスカ、エメサガ、オクトパストラベラーすべて未プレイの私にとってはあまり実感がない)

従来のサガシリーズは、「やられる前にやる、攻撃一辺倒こそ圧倒的大正義」の世界線にあるゲームだった。
あまつさえ、避けたり防いだり回復したりの不確実で間接的な防御行動より、受けきって倒れてから復活すればいいんでしょ? (リヴァイヴァ) などという、攻撃も防御も回復も蘇生も全て力こそパワー!の世界線にあるゲームだったのだ。

しかし、行動順 (と一部の行動予測) が見えることによって、敵の攻撃を捌く行動の計算が立てやすくなり、色々な戦略を試してみようというインセンティブが働くようになっている。

画面左上部分に行動のタイムラインが表示される

また、原作では一部の大物にしか使う気の起こらなかった単体スタン攻撃なども、タイムライン下では活用の場面が増えるだろう。

武器種

原作では、突き詰めると剣・大剣・体術以外の武器種は、技術点稼ぎなどの一部の局地的な需要を除き、その存在意義が総じて非常に薄かった

本作においては、直接のダメージが低い武器種に対しても、弱点を突くことによって連携用のゲージが早く貯まり、連携で高ダメージと技術点ボーナスを得ることができるという活躍の場面が付与されている。

また、体験版の範囲ではそこまで実感できなかったが、直接のダメージが低い武器種は総じて絡め手に優れるため、前述のタイムライン制の特徴により、活躍の場面が増えることを一層期待できる。

個人的には、ペルソナなどに見られがちな「弱点突きがプラスアルファではなくほぼ必須の前提条件」に近いバランスがあまり好みではない。
しかし本作における、少なくとも体験版の範囲においては、弱点突きのメリットは適度なバランス水準にあり、好感が持てた。

モンスター

原作と比べ、全体的に種類が減っている。
とはいえ、原作では、中盤の小~中サイズの敵のほとんどが、スプラッシャーや幻獣剣の残像剣か、ツヴァイハンダーの水鳥剣で消えていく置物に過ぎず、全種のモンスターアセットが有効に活用されていたとは言い難かった。

種類が減ったとしても、一戦一戦のバトルバランスの調整とともに、どのモンスターも個性が残って印象に残るようになれば素晴らしい。

1 種族 16 種は変えず (空欄より想像)、種族の統廃合によって総数を減らしているようだ

また、どこかのゲーム情報サイトか動画のいずれかで見聞した記憶がある情報として、「原作のようにゲーム進行とともにモンスターの種類が入れ替わっていくスタイルではなく、本作では場所ごとにモンスターは固有のまま、ゲーム進行とともにその強さだけが強くなっていくスタイルである」というものがあった。

この情報が正しいなら、ドロップ品集め、序盤~中盤でしか出てこなかった個性あるモンスターの強化版との戦闘など、原作とは違った面白さが増えそうという点も楽しみだ。

技術レベルとアビリティ

公式情報として、技術レベル 0 から 1 へ上げることに一定のハードルが設けられていることが発表されている。
また、技術レベルの上限が、従来の 50 から、少なくとも 90 以上に上げられていることが画面から見て取れるようになっている。
さらに、極意化して使いまわしはできるものの、各クラスに固有のアビリティという新システムが実装されている。

これらは総じて要するに、原作においてみられがちであった行動原理、「パラメータ上の強キャラをルドン送り流刑を繰り返して集め、ミスティックやカイザーアントやマルガリータで必要な技術レベルを 50 まで促成栽培して最強キャラ完成!の面倒化を意味する。

アビリティ極意化までの腰掛け利用も含めると、原作において見向きもされなかったクラスやキャラクターに光が当たりそうな方向の調整であり、新しいゲーム経験や発見に期待がもてる。
(なおアビリティについては体験版の範囲では未実装であり、公開されている情報からの予測である)

ライブラリ関係

メニュー上の、「帝国記」「帝国国力」「ライブラリ」にほぼすべてのデータが開示されるようになっている。

かつてはマスクされていたデータや、見るのが面倒だったデータがワンタッチで一目瞭然に

こういった親切系の要素はえてして賛否両論を招きがちで、古の時代よりゲームを楽しんできた身としては、不親切ゲームには不親切ゲームなりの面白さがあることも理解しているのだが、とはいえ本作のこの要素には大賛成である。

ゲームを含めたあらゆる娯楽が可処分時間を奪い合い、また娯楽以外でも世界の移ろいが高速化して時間の感覚が加速しているこの時代なのだから、時代に応じたプレイスタイルに対応しているゲーム設計は素直に良いものだ。
加えて、どうしても気に入らなければ、使わなければよいだけなのだから。

楽曲

現時点では可もなく不可もなく、評価は定まっていない。ただし、公式サイトにおいて新曲が増えていることが明言されているので、ミンサガにおける Believing My Justice の再来に大いに期待している。

Believing My Justice は、本作の原作の前作 (ややこしい) であるロマンシングサガ (1) 、のリメイクであるミンストレルソングにおいて新規に追加された楽曲である。イフリート (テオドール) 戦の BGM と表現したほうが通じるだろう。

初めてこの楽曲を聞いたとき、自分の好みに非常に合う楽曲だと感じられたのだが、のちに、攻略本アルティマニアの伊藤賢治氏インタビュー (※) において、「旧ロマサガのイトケン節全力の楽曲を新曲として提供してほしいと言われたので提供した (意訳)」とのコメントを読んだ。
その時に、その発想の凄さもさることながら、その発想をまさに注文通りの形で現実の形にするプロフェッショナルの技術の凄さに驚いたため、この楽曲は、非常に強く印象に残っている。

(※ ロマンシングサガ ミンストレルソング アルティマニア 2024年1月1日 デジタル版 Ver2.00 P618-P619)

本作においても、そんな素敵な楽曲との出会いがあれば素晴らしいな、と期待している。

総括

期待しかない。

履歴

  • (YYYY/MM/DD)

  • 2024/09/29
    初稿