毎日悪夢を見る (9)続

2020年4〜5月にかけての悪夢障害に関する日記です。長く散漫で個人的な内容に寄っているので、悪夢障害や睡眠障害のある方に有益かもしれない情報だけ最後にまとめています。


2020/04/27  悪夢病

・たまに「悪夢障害」のワードでtwitterの検索をしている。「悪夢障害がつらい」「悪夢障害かもしれない」等、ざっくりと平均して1日5件くらいの投稿がある。

・不思議に思ったのが、悪夢と同時にひどい汗をかく人が自分の他に沢山いることだ。特になにをあたっても悪夢障害と寝汗について書かれているものが見当たらなかったので、レアケースというか、そういうこともあるという感じなのかと思っていた。

・最近考えることがあって、悪夢障害は本当に「単独の病気ではない」んだろうか。現在のところ悪夢障害はうつ病の症状だとか、極度のストレスで頻繁に悪夢を見る状態だとか、そんな解釈をされている。そうしてうつ病の治療をしたりストレスへの対策を考えたりする。そうではなくて、脳のどこかがエラーを起こし、悪夢障害という病気にかかっていて悪夢障害の症状が出ている、ということはないんだろうか。その場合には先程の寝汗も強く関係しているような気がする。

・うつ病が昔は「なまけ病」で、徐々に解明されて治療法が見つかったようなことが、先々悪夢障害にもあるかもしれない。

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・最近もまだ人に会うと寝込む。悪夢で寝込むというのがあんまり理解されないかもしれない。たとえば現実で包丁を持った人に追いかけられて殺されそうになって、殺される瞬間に、ドッキリでした〜って看板持った人が現れても、なーんだドッキリか、とはならない。腰が抜けて頭が朦朧として吐いたりするかもしれない。悪夢から覚めた時はそんな感じだ。殺されそうになったのは確かに夢なんだけど、その恐怖体験は本当というか。目覚めからひとしきり興奮状態があって、落ち着いてくるとまた耐えがたい眠気がやってくる。いつのまに眠り入ってしまって悪夢を見る。これを1日中繰り返す。悪夢の永久機関。

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・zoomで複数人会議をすると、それぞれの使っているカメラの性能とかWi-Fiの状況で映像の解像度が違う。最近、登場する人物ごとに見た目の解像度が違う悪夢を見た。現実が確かに夢に反映されている。


2020/05/03  服薬のタイミングと快方

・3年くらい同じ抗うつ薬を飲み続けていて、それは朝飲むように言われている。朝飲むのはおそらく日中に薬効が出やすくするためだろう。結構飲み忘れることが多い。それでその日1日の気分が劇的に変わることもないので、効いているのかもよくわからない。しかし服薬を中止しようと数日飲まずにいると、耐えがたい禁断症状で七転八倒することになるのでやめられないという依存状態によって飲み続けている。

・3ヶ月くらい前、例によって朝抗うつ薬を飲み忘れることが数日続いてしまったことがあった。忘れた分は夜飲んでいた。ふと悪夢に変化が出ていることに気がついた。

・悪夢のひどさがかなり改善された。具体的には人が死ぬ夢をほとんど見なくなった。その反面、早朝に目が覚めるようになって生活リズムは崩れた。日中に沢山眠ることも多々ある。

・偶然かもしれないとも思ってそれから3ヶ月この夜抗うつ薬を飲む方法を試しているが、状況は同様である。悪夢が軽くなった!
結局1日の睡眠時間は合計12時間くらいになってしまうんだけど、それでも本当にひどい悪夢を見なくて済むのなら、その他のことは些細なことだと感じる。

・この抗うつ薬を夜飲むということが身体にどんな影響を及ぼしているのか、及ぼす可能性があるのか、早く確認したい。しかし主治医の診察がリモートになってから2ヶ月以上が経ち、毎回無事に薬を出してもらうので精一杯で、それ以上のコミュニケーションは取れそうにないのだ。

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・真偽は置いておいて原因の可能性を考えるなら①朝抗うつ薬を飲まなくなったこと②夜抗うつ薬を飲み始めたこと があると思う。

・①が本当だとしたら、朝抗うつ薬を飲むことが身体に悪さをしていたということだと思う。実際抗うつ薬が悪夢を見せることは無い話ではない。でもそれだったら、以前断薬しようとした時にも同じような状態になるはずだが、悪夢については変わらなかった。なのでこれはちょっと怪しい。

・②が本当だとしたら、睡眠中の脳に抗うつ薬が作用しているということだと思う。服用中の薬はSNRIという種類のものである。

セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(セロトニン・ノルアドレナリンさいとりこみそがいやく、英語: Serotonin & Norepinephrine Reuptake Inhibitors; SNRI)は、抗うつ薬の種類である。シナプスにおけるセロトニンとノルアドレナリンの再吸収を阻害することで、これらの神経伝達物質の濃度を増加させる。出典

セロトニンからはメラトニンが生成される。メラトニンは睡眠に作用するホルモンである。このセロトニン及びメラトニンが悪夢に影響しているんだろうか。


・SNRIを夜飲むことによって、朝飲むこととどんな差があるのかも調べてみた。

16.2.2 食事の影響及び投与時間の影響
健康成人女性(12例)を対象に、デュロキセチン40mgを朝空腹時、朝食後、あるいは夜就寝時(空腹)にそれぞれ単回経口投与し、食事の影響及び投与時間の影響を検討した。
Cmax、AUCは朝食後投与と朝空腹時投与との間で有意差は認められなかった。朝食後投与のTmaxは朝空腹時投与に比べ延長し、有意差が認められた。朝食後投与における血漿中濃度の消失速度定数(λz)は空腹時に比べ大きく、有意差が認められた。
夜就寝時(空腹)投与のCmax、AUCは朝空腹時投与に比べ低く、Tmaxは延長し、それぞれ有意差が認められた(外国人によるデータ)。出典

Cmax:最高血中濃度、AUC:濃度曲線下面積、Tmax:最高血中濃度到達時間である。出典

・すなわちデュロキセチン(SNRI)を朝飲むことに比べ夜飲んだ場合には、最高の血中濃度の値、身体に取り込まれる薬の量は共に下がる。また、最高の血中濃度になるまでの時間も遅くなる。夜飲むことによって、少ない量の薬がゆっくりと身体に取り込まれるようになるという解釈で合っているだろうか。それと体調の変化の関係は、わからない。


2020/05/11  徒労

・毎日飲んでいる睡眠薬がなくなるのはとても怖い。1日無くてギリギリ、2日無ければかなり苦しい。それでとても気をつけているんだけど、睡眠薬の処方における性質や、しばしば私のADHDが発動して全詰みになり、止むを得ず10キロくらい夜道を歩いて薬をもらいに行くことになったりしている。

・コロナの騒ぎが始まった年始の頃、「コロナに加えて地震が来るとか、万が一薬がもらえなくなるような事態があればとても困る、2週間分くらい頓服として余分に処方してくれないか」と医師に相談したが、きっぱり「駄目です」とのことだった。でもなんとなくその万が一があるような気がして引き下がることができなかった。「では次回の受診をいつもより早めることで、余剰分を予備に回してください」と渋々応じてくれた。1週間分の予備薬をゲットする。

・ 4/30、ゴールデンウィークの前。定期通院日で電話診察を依頼した。診察自体に問題はなかった。最後に事務の方から「ゴールデンウィーク前なので、処方箋を送るのは5/7になります。病院から近いので5/8到着か、遅くて5/9ですね」と案内を受けた。え!今日からその日までの10日間くらい、薬なし。

・病院もこの不慣れな電話対応に長期休暇という、ダブルパンチの状況なのかもしれない。この間手に入れた余剰分のことを思い出した。それに加え2日分くらいの飲み忘れを見つけ、なんとかこの緊急事態を凌げそうだとわかった。あるやんけ万が一、と医師の顔を恨めしく思い出した。


・5/8、薬の残り1日分、処方箋は届かない。

・5/9、薬の残り0日分、15時を過ぎても処方箋は届かない。コロナの影響で郵便物が遅れることがあるようだが、それなのか。あいにくこの日は土曜日である。薬局は思わぬ短縮営業をしていて、かかりつけ薬局などは14時で閉まっていた。焦る。今日中に薬をゲットしなくては…。病院に問い合わせようにも今日は休み、郵便には追跡番号なし。


・届かない場合を真剣に想定することにした。土曜午後もやってる病院を探して、お薬手帳を持って行って事情を説明したら、その場しのぎ分だけ処方してもらえないだろうか。

・これに賭けて、駅前の知らん関係ない科の病院へ急ぐ。病院はかなり空いていて、そして事情を説明するとあっさりと処方箋を出してくれた。いいぞ。

・処方箋を持って知らん薬局へ急ぐ。空いている。ここでも問題なし。いいぞ。晴れて薬をゲットすることができた。薬の入手に躍起になっているところがなんともいえない虚しい感じがするが、それはいいのだ。

・19時頃、書留で本来の処方箋が届いた。今からではやっている薬局があるか怪しいところだ。やはり動いてよかった。よしよし、色々あったけど、色々あってリカバリできたぞ。えらい。


・などと思っていたら、なぜかそこから2日間寝込んでしまった。2日寝込んで月曜日、届いた処方箋を持ってかかりつけ薬局へ這って行った。これで1ヶ月安心である。

・急場で処方してもらった薬も念のため見せると、あれ、それ違いますねと言われた。お薬手帳には正しい薬品名が記されているが、薬局で渡されたものは名前やパッケージがかなり似てる全然違う薬だったのだ。

!!!!

・軽い医療ミスが起きていた。

・いろんな感情が湧き上がる。私の人生っていつもこうではないですか?人体には大丈夫なのか?私もどうして見落としたんだろうか?この状況の医療職、ストレスも溜まって当然ミスも増えますよね...。今医療全体がこの感じになっているんだろうか。

・医療職に限らず各所の人々が疲弊していがちなので、いつも以上に自分でも確かめたり、スケジュールに余裕持ったりするの大事、と思いました。あと、薬剤師さんの怒られが発生したら気の毒だけれど、薬の取り違えがあった薬局にはその旨を連絡しました。


2020/05/17  過眠と減薬

・5/3に書いたように悪夢がだいぶ良くなった。大変ありがたい。ひどい悪夢を見ない日々、なんて素晴らしいんだろう。

・欲をいえば、というか次のステップとして、日中耐え難く眠くなって仕事や生活がままならないことをなんとかしたい。

・抗うつ薬と睡眠の関係をより調べてみた。

そもそもSNRIとは

セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(セロトニン・ノルアドレナリンさいとりこみそがいやく、英語: Serotonin & Norepinephrine Reuptake Inhibitors; SNRI[1])は、抗うつ薬の種類である。シナプスにおけるセロトニンとノルアドレナリンの再吸収を阻害することで、これらの神経伝達物質の濃度を増加させる。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)がセロトニンのみの再吸収を阻害するのに対して、SNRIではさらにノルアドレナリンの再吸収を阻害することによって、興奮神経を刺激する。出典

セロトニンとノルアドレナリンの濃度を増やすとのこと。セロトニンは、精神を落ち着けるような作用、ノルアドレナリンは、反対に興奮状態に持っていくような作用をする。

ノルアドレナリンは、脳がしっかり覚醒して人間特有の高い機能を発揮するための神経伝達物質といわれています。
ノルアドレナリン量が過剰になると、不安や恐怖、焦燥や取り乱す状態が出現し、代謝物であるアドレナリンも増えることで、頻脈や冷や汗などが出現し、その不安や焦燥は助長されることになります。
逆にノルアドレナリン量が過少になると、覚醒度が低下し、睡眠障害が生じます。多くの場合、レム睡眠相が変化し、入眠直後にレム睡眠が発現するため熟睡が妨げられることになります。
うつ病における早期覚醒の要因の一つといわれています。

このノルアドレナリンの効果によって、レム睡眠が減ったことで悪夢が減ったが、覚醒の方向に働きすぎて中途覚醒が増えたり、過眠が出ているのだろうか。

・この薬の量を調整することで、悪夢と睡眠のバランスをうまく取ることができないだろうか。減薬は非常に怖い。禁断症状は非常に辛い。慎重に行わなくてはならない。

・現在服用中のサインバルタ(SNRI)は20mgのカプセルを×2。カプセルなので簡単に薬を分けることができない。調べると30mgカプセルが存在しているとのこと。次回受診時に40mg→30mgの変更を相談してみることにする。


・精神薬依存や禁断症状のことを考えると、アルコールなどへの依存症が遠い存在ではないと初めて実感を持つ。依存症になってやめたくてもやめられない、どうしても手を出してしまうという描写はしばしば怠惰なものとして見かけることがあるが、本当に本当に七転八倒するような辛さで飲まざるを得ないという状況があるのかもしれない。そこに至るまでにやむを得ない事情があったのかもしれない。

・精神疾患にかかり、考えや精神状態というものが本当に脳の活動によって引き起こされているのだと感じる。公共機関で延々と怒り続ける人や、あなたの同僚の嫌なやつも、本当はそんなことしたくないのに脳がそれを引き起こしているのかもしれない。明日自分がそうならないとも限らない。


2020/05/20  減薬実行

・前回記事を書いた翌日から、書いた内容を破ってサインバルタを40mg→20mgにしてみている。今のところ(つまり3日間)は離脱症状など特にない。私は減薬後1−2ヶ月単位で離脱症状がやってきたこともあるから、もうここからは覚悟を決めるしかない。※医師に相談なしで減薬するのは、本当は絶対やめた方がいいとされています。

・減薬してみて、悪夢の軽減に変わりはない。これはよかった。眠気のコントロール不能が解決されることを期待していたが、残念ながらこちらも今のところ変化がない。

・離脱症状なく、他にも影響なく、減薬および断薬ができたら万々歳なのでこのまま続けてみる。

・1日仕事をすれば翌1日寝込むような、歯痒い日々が続いている。1回休みのマスがめちゃくちゃに多い人生ゲーム。仕事が進まなくてまずい。


2020/05/21  揺り戻し

・久々に強い悪夢を見た。婚約者に裏切られ、たくさんの人に毒殺されそうになる夢。

・やはりまだ減薬せずに40mg飲まないと十分な効果がないだろうか。

・予定があるほどに睡眠のコントロールが効かなくなり、2度も病院の予約をキャンセルした。


2020/05/26  不眠

5/18-5/26の10日ほど、サインバルタを20mgで過ごしている。あまり悪夢に呑まれることなく過ごしている。仕事が忙しい。仕事のプレッシャーと過眠が闘ってプレッシャーが圧勝し、3時間睡眠くらいで生活している。極端。


2020/05/29  自分で調べる、大事

・サインバルタ20mgで離脱症状なし。

・ようやく生身で病院を受診することができた。怒られるかもしれないと思いつつ医師にこれまでの経緯を話し、考えられる理由を訊いた。「わからない。結果論的に、悪夢が減って良かったですね。」とのことだった。

・疫病の流行が落ち着きつつあり、新しい病院を探して初診にかかることもできるかもしれない。紹介状を依頼すると快く書いてくれた。

・治療を医師任せにせず自分でも調べること、大事。


まとめ

・感染拡大の最盛期よりは落ち着いてきているのかもしれないが、医療の現場は通常より混乱していて、医療ミスなども起きやすい状況にある気がする。患者側も気をつける必要がある。

・緊急時で常用している薬が手に入らない場合には、近所の病院で対応してもらえることがある。関係のない科の病院でいいので、お薬手帳を持って行き事情を説明する。

・偶然抗うつ薬の服薬のタイミングを朝から夜にしたことで随分悪夢障害が改善しました。理由は医師にもわからないとのこと。


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