毎日悪夢を見る (1)


前項で「悪夢障害と診断されたこと自体にはあまり意味がないかもしれない」と書きました。

悪夢障害の原因

ふつう、例えば花粉症ですねと診断されたら、原因は花粉症であり、花粉症の治療を行えば花粉症の症状が緩和されるわけです。しかし悪夢障害については、症状だけによって定義づけられているものであり、原因は人によって広く多岐に渡ります。花粉症で言うなら、「確かに鼻が詰まっていますね」とお墨付きをもらっただけの状態です。その原因を突き止めない限りは、治療の行いようもない。ところが、この原因を突き止めるのが難しい。わたしもいくつかの病院で診てもらいましたが、それぞれの医師がそれぞれに「〇〇かもしれない」とバラバラなことを言いました。検査ではっきりとわかる原因もあるものの、わからないものも多く、それが解決を難しくしているように思います。


悪夢の基本

現在一般的にこうだと信じられている、悪夢を見る原理は下記です。

人は睡眠中に、2種類の睡眠を繰り返します。深い睡眠であるノンレム睡眠と、浅い眠りであるレム睡眠です。この浅い睡眠であるレム睡眠時には夢を見ることがある。そしてレム睡眠がさらに長くなったり、より浅い睡眠になることで、悪夢を見ることがあると言われています。


具体的な原因

考えられる具体的な原因を列挙してみたいと思います。

【 わかりやすい原因 】

・服用している薬の副作用
アレルギーの薬、血圧の薬など、意外と身近な薬に「悪夢を見る」という副作用があります。なにか服薬している場合には副作用をあらためてみることをお勧めします。この場合服薬を中止すれば悪夢は止まると言われています。

・甲状腺機能に異常がある場合
これは血液検査で調べることができます。

・睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に一定時間呼吸が止まることが繰り返される病気です。眠りが浅くなり悪夢を見ることがある。いびきや日中の眠気などの症状のある方は調べてみてください。呼吸器内科・睡眠に関するクリニック等で検査できます。

・夜間低血糖
糖尿病の方が薬によって低血糖を起こすことのほかに、健康な方でも夜間に低血糖を起こして悪夢を見ることがあるようです。私も最近知った情報なので知識が少なく恐縮です。検査方法等わかれば追記します。

・PTSD:心的外傷後ストレス障害
命の安全が脅かされるような出来事(戦争、天災、事故、犯罪、虐待など)によって強い精神的衝撃を受けることが原因で、著しい苦痛や、生活機能の障害がもたらされる。症状として同じ悪夢を繰り返し見ることがあります。

・レビー小体型認知症
認知症の一種です。初期症状として、悪夢を見て大声で叫んだり暴れたりすることがあります。ほとんど高齢者に見られる病気で、若年性認知症のなかでもこの型は3%と稀です。高齢の方から悪夢の訴えがある場合には調べてみてください。


【 あんまりわかりやすくない原因 】

・鬱病
鬱病の症状として悪夢を見ることがあります。また、抗うつ薬によっても悪夢を引き起こす場合もあるそうです。投薬等により鬱病の治療を行うことで悪夢の改善を試みます。

・発達障害
発達障害者は、悪夢を見ることが多いそうです。しかしこの仕組みは明らかになっておらず、それを判定する検査もありません。私もある医師からはこれが原因ではないかと言われています。


【わかりにくい原因】

悪夢を見るという他の人々と話していても、とくにわかりやすい原因がないことが多い気がします。それだけ解決が難しい。知っている限りで簡単に分類してみました。

・生活リズムが乱れている:毎日違う時間に寝起きする・昼寝する・睡眠時間が長すぎる・睡眠時以外もベッドにいる

・交感神経優位が続く:ストレス過多・緊張・寝る前に液晶の明かりを見る・寝具が暑い

・睡眠が浅い:昼寝時の悪夢・睡眠時の環境に問題がある

それが原因であるかどうかが、改善してみないと分からないものが多いです。だいたい生活に根付いている習慣なので、ひとつずつ確かめていくことは地道でかなり大変ですね...。わたしのケースはまた別に書く予定ですが、寝具を心配されるほど涼しいものにしたら、少し悪夢が改善されたことがありました。



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