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フランスのマンガを買う その2

翌日は3店舗行きました。
最初がお目当ての店です。
「Aaapoum Bapoum」
14 Rue Serpente, 75006 Paris

店内は3フロアに別れています。店内入ってすぐのフロアが日本のマンガ。奥のフロアは半分アメコミ、半分フランスのマンガ。日本の書店よりアメコミが充実していました。ハル・フォスター『プリンス・ヴァリアント』の復刻本のセット(4万か5万円くらい)とか売っていました。彼は「ターザン」とかも手がけた超絶技巧のマンガ家で、美術史家のハル・フォスターは別人。

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 残りのフロアがメインで、ここにアルバム中心のBDが並べてありました。壁面にはヴィンテージ(といっても70年以降が多い。)が並び、中央にはレコード屋のエサ箱みたいなのに50音順でアルバムが入れられています。私は作者名で覚えているためとても探しにくかったです。

壁面側には時々1920年代のものなども混じっていてそれがどれも安く1940年代の新聞漫画も1000円くらいで買えます。ただ日本でも昭和20年代の「子供マンガ新聞」とかその手のものも1000円くらいで買えるから同じようなものかもしれません。
新参者がいきなり「ハローマンガ」を買えないように、フランスの貴重なマンガも一旅行者が手にする/目にすることは難しいのだと思います。
1950年代の紙モノと、新聞。70年代のちょっと意識高い系のソフトカバーのシリーズもの二冊、マヌエル・フィオールのオルセー美術館ものが買えたのが良かったです。

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Manuele Fior 「Les variations d’Olsay」おてんばのベルト・モリゾちゃんが可愛い。下の画像はマネの描いたベルト・モリゾの肖像。彼女もとても才能のある画家だった。

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次は「アルバム」という店。
「Album Comics」67 Boulevard Saint-Germain, 75005 Paris,
こちらはアメコミが多です。ガラス張りの壁面にはスターウォーズ、バットマンなどの人形が所狭しと置かれてました。店内も最新のアメリカの漫画(あのペラペラの冊子、なんていうんでしょうね。むかしの10セントコミックスみたいな)が売っています。奥にはそれをまとめた単行本が売っていました。日本と同じ黒い背表紙で出版されてました。
驚いたのは「クライム・サスペンストーリーズ」だとかその手の昭和20年代のエログロ/犯罪もののアメコミが仏訳されてたことです。ECの米語訳は、オリジナルのままの色ではなくてデジタルでリカラーされていて最悪なんですが、仏語版は白黒でした。こっちのがいいですね、日本でもこの時代のアメコミを翻訳して欲しいです。

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この店では一冊だけ。米国のイラストレーター、アンドリュー・ルーミスの「オモロイ漫画絵の描き方」を購入。ルーミスはご存じない方もいるかもしれませんが「やさしい人物画」という絵を描く人ならまず最初に買い、その難しさのあまり挫折する本の著者です。私は中学二年のころ秋葉原のアニメイト二階でルーミスを買いました。

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一方、フランスで私の買ったものは未邦訳だと思います。

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※ググったらなんとむかし「やさしい人物イラスト」という名前で出版されてました。失敗した!

最後はパリでも かなりデカイ書店へ。
「Gibert Joseph Paris Bookstor」26 Boulevard Saint-Michel, 75006 Paris

隣接した場所にビルが3店舗あり、一番奥の店がレコードとBDの専門店。
そういえば、いままで行ったBD屋はどこも日本の音楽オタクが聴くような音楽がかかっていました。ヨーロッパの60年代のB級映画のサントラだとか(マナマナとか)、ビートルズのマイナーカヴァー集だとか、ブラジル音楽だとか。
この店では、ライアン・ホームバーグさんが言及してたつげ忠男の影響を受けたというインディーコミックを入手。アレックス・バルビエのマンガが欲しかったので店員に尋ねるものの、なかったです。

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モロつげ忠男。Vincenzo Filosa「Voyage A Tokyo」。1980年生まれの作家で、タイトルは東京紀行って感じかな。ラストシーン、池袋ジュンク堂が出てくるのは胸アツ。まんだらけやマンガ喫茶も出てくる。俺たちの知ってる東京って感じですネ!

もうバンド・デシネはお腹いっぱい。あとはオノレ・ドーミエの油彩画集が手に入れば文句なし。
2019.11.01

 ◎わたしが描いたマンガの単行本『電話・睡眠・音楽』は劇画の短編集で14作掲載されてます。基本的にガロ系です。A5判型344ページ。表題作はここ(トーチweb)で全部よめます。新品買ってね!


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