グランドに注意というお話

(Facebookのノートで2016/4/5に公開したもののサルベージ)

(以下は自分の理解の確認のために書いた文章です。誤りや思い違いがあればコメント頂ければ幸いです。間違っていたら超恥ずかしいが、自分の誤った知識をそのままにしておくよりは…)

机の回りを整理しつつ積んであるトラ技をペラペラめくっていて、「フレッシャーズ応援企画」の記事で見つけた次の図は、フレッシャーズに対していかがなものかと思った。へっぽこ電気屋さんとして40年選手になろうとしている私ですが、いまだにこの図のように「2チャンネルオシロには独立した電圧計が2個入っている」とウッカリ勘違いして失敗しかけることがある。普通のオシロは、全チャンネルのグランドは共通になっているので、迂闊に複数の箇所の電位差を測ろうとすると、思いがけない所をショートさせてしまう。この図だけで考えるとオペアンプの反転入力に繋がっている所に、オシロの両チャンネルのグランドを繋げば測れるが、適当な向きにオシロのプローブを繋ぐと抵抗やコンデンサーがショートカットされてしまう。また、両チャンネルのグランドを反転入力のところに繋いだ場合でも、この回路のグランドが商用電源のグランドと繋がっていて、オシロでちゃんと接地付きのコンセントをつかっていると、やはりショートしてしまいコンデンサの電圧が測れない。この辺りは、理屈では分かっていてもついウッカリやってしまって、おかしな結果を出してしまうことがある。だからフレッシャーズに対してこれはどうかなと思う。最近のPCにUSBで繋ぐ系の安い測定器は、各チャンネル間が絶縁されていて「独立した電圧計が2個入っている」ことになって、むしろこの問題は起きないんだろうけど。

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"オシロ1ch"と"オシロ2ch"が独立した電圧計になっているが…

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普通のオシロではこうなるよ、ということ。

それからついでに、電圧源の接地も気を付けておかないと、思いがけず痛い目にあう。学生実験などでも良く使う汎用可変電圧源(菊水のPMCとか松定のPLEなど)は、グランドを接地していないと電源を切っていても出力端子が地球に対して50 V位の電位を持っていることがある。だから回路側が接地されていて、電圧源の接地がされていない場合、電圧源の電源を切っているからと安心して出力端子に回路を繋ぐと思わぬ電圧がかかることになる。

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電源を切っている電圧源の正出力端子と商用電源のアースの間に交流60 Vの電圧が掛かっている。回路が接地されている場合、接地されている極側の電源端子を先に繋げば良いが、逆だと電圧がかかる。この電圧は電圧源のコンセントを指す向きを変えると変わる。

じゃあ、全部接地から浮かせておけばよいかと言えばそうでも無く、逆にうかつに接地するとグランドループをつくってノイズの原因になるので、凄く基本的なことにも関わらずとかく接地は難しい。

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