『遠くへ行きたければ、みんなで行け』の読書会を終えて

昨晩のはんなり読書会『遠くへ行きたければ、みんなで行け』という本を読み終えました。

この『遠くへ行きたければ、みんなで行け』という本を簡単に紹介すると、元Ubuntuのコミュニティマネージャー(ディレクター?)が書いた本で、「どのようにすればコミュニティがうまくいくのか(成功するのか)」という目標を達成するためのノウハウが書かれた本でした。何度も議論には上がったのですが、基本的には「はんなりプログラミング」のような有志が集まってやっている小さなコミュニティが対象でなく、大きな会社のプロダクトを対象としたコミュニティ形成についての本でした。しかし、我々のようなビジネス色の強くないコミュニティ運営者や組織開発者にも役立つ知識は多く書かれていたように思われます。

読書会の記録

#1 「第1章 コミュニティとは何か,なぜ君はコミュニティを作らねばならないか」「第2章 コンシューマー,支援者,コラボレーター」

#2 「第3章 場所を用意するだけじゃダメだ」「第4章 人間はそれぞれ変人だ」

#3 「第5章 驚異の冒険に出かけよう」

#4 「第6章 成功とはどんなものか?」「第7章 人々を結びつけてすごいものを作ろう」

#5 「第8章 コミュニティの人たちを動員する」 「第9章 オンラインとオフラインの双方でうまくやろう」

読書会#5の感想

今回は私を含めて4人の方に集まっていただきました。

第8章ではコミュニティの人たちを動員するためのインセンティブの作り方を学びました。
結論を言ってしまえば「インセンティブを作るのは難しい」の一言で終わってしまうのですが、そうはいってもできる限りのことはしたいものです。
議論の中で面白かったのは、人によってインセンティブが大きく異なることが明らかになった点です。エンジニアの方だと企業のグッズをもらった経験が何度もあるのではないでしょうか?そのことに対して「グッズをもらってもうれしくない」という意見と「グッズ意外とうれしい」という意見がありました。こうした違いは、思い入れのあるプロダクトのグッズはうれしいけれど思い入れのないプロダクトやサービスのグッズは特にうれしくないというところから生じているのかもしれません。

また、明示的なインセンティブと暗黙のインセンティブを用意しろという面白いアイデアも書かれていました。暗黙のインセンティブというのは「明示化はされていないけれどある条件が満たされれるとコミュニティから何かもらえる」というサプライズのようなもののことです。私はこれはうれしいだろうなとおもいました。サプライズ、私は好きです。

ほかには「コミュニティメンバーの評価を時間の経過とともに減衰させる」という面白いアイデアも提案されていました。コミュニティの古参の人々はもちろん大切な仲間なのですが、一方で新規参入者もコミュニティの活性化には必要なところ。このルールを適応することで新規参入者が活躍しやすいコミュニティをつくることができるのではないでしょうか。

次に第9章。ここではコミュニティを運営する際にオンラインとオフラインの双方をうまく活用しようという話題が書かれていました。コロナ禍で少しずつオフラインイベントが増えている今、この章から学ぶことは多く感じられました。結論から書いてしまうと、技術系コミュニティはオンラインでの活動になりがちだけどオフラインでの人と人のつながりも大事にしようね、というようなものでした。

個人的に大事な議論だと思ったのは「夜のイベントこそは人間関係をつくる場だ」という意見に対する議論です。たしかにカンファレンスやミートアップでの交流の軸は夜の懇親会にあるように感じます。しかし参加者からは「家族がいるので夜のイベントは参加しづらい」「お酒が飲めないのでつらい」「知らない人と長時間話すのはコミュニケーションコストが高い」等の意見が出てきました。これはイベントの主催者たちがそうした人たちのこともちゃんと考えてうまくイベントを運営しないといけないな、と感じています。

最後に「早く行きたければ一人で行け、遠くに行きたければみんなで行け」という格言について話し合いました。確かに一人でスピード感をもって何かを成し遂げることもできるでしょう。しかし、遠くまで行く、例えばイベントやサービス、プロダクトをより多くの人たちに影響を与えることができるものしたければ「みんな」の力が必要になってくるでしょう。その際にはこの本に書いてあるようなことを実践して、一人では実現できなかった大きな目標を達成していく必要があるのではないでしょうか。

おわりに

今回で『遠くへ行きたければ、みんなで行け』の読書会は終了です。
次回からは『リーダーの作法』を読んでいきます。
もしご興味を持たれたら気軽な気持ちでご参加ください。お待ちしております!

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