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06.今なんて?と問う眼鏡

陰陽論争

 大学時代に眼鏡をかけた人に出会った。彼はいかにも理系の人間であり、多分中国に3000万人くらいいる見た目をしている。そんな彼は、ゲームも漫画もバラエティ番組もドラマも映画にも精通していない。それはもう期待とは真反対。アイスブレイクでその辺の話を狙うのはやめておいた方が良い。彼には通じない。通じるのはダーツとEDMと中指を立てる話。そんな彼をみていると、一人で陰陽を両立しているので多分陰陽師の家系なんだと思う。なんかそんな気がする。
 小さい頃に必ず通るものがいくつかあると思う。同世代なら盛り上がるテーマがある。私の世代だとポケモンルビィサファイアとか、NARUTOとか、ロンドンハーツとか、プロポーズ大作戦とか、アバターとか。それに全て通っていないのだから、彼は真っ白な部屋でカプセルに入れられて育った説もある。いろいろな実験に晒されていたんだろうな。皆優しく接してやってほしい。

ウキウキなクリスマス

 彼と同じサークルにいた時期もある。途中で他にやりたいことを見つけて去っていた。そんな彼が1つだけ残していったものがある。「今なんて?」という疑問文である。肩を振るわせながら聞いていたので、それだけ聞きたかったのかもしれない。難聴だったのかも。今書きながら気づいた。
 彼が最初にそれを聞いたのは大学1年生の時のクリスマスイベントの時。皆の前で意気揚々と聞いていた。それはもうノリノリで。彼は飲み会の半ばを超えると基本中指しか出さないのだが、その日は始まってからすぐに中指が出ていた。満面の笑みだった。聞きたかったことが聞けて嬉しかったのだろう。私たちも嬉しくなった。目も耳も悪いのだ。皆優しく接してやってほしい。

エモーショナル友達

 私は彼とよく話した。本当にたくさんのことを話してきた。大学時代は特に。毎年大晦日にも電話していたくらい。くだらないことから激アツなものまで。嬉しいことから哀しいことまで。節目節目で話してきた。海に行ったり山に行ったりもした。その度になんだか熱い話もした。意見をぶつけられる相手だった。
 ツラツラと彼の要素を書いてきたが、私は彼のエモーショナルでパッショナブルなところが好きである。人間味に溢れているのだ。中国人だの陰陽師だの被験体だの様々な要素を持っている彼だが、とても人間らしい。年齢や貴賤を問わずまっすぐ立ち向かっていく。仁義溢れる、21世紀を代表する人間に巡り会えてよかった。愛を持って皆優しく接してやってほしい。

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