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07.エビは躍る、だから食せず

昭和空間

 私は今では稀に見るくらい昭和感の強い家族の元で育った。姉と妹がいて、従姉妹も6人いて全員女のなか、自分だけ男である。祖父からは「お前が強くあれ」と言われ、泣き虫だった坊主少年の頃から強くなるために空手を習ってもいた。泣きながら戦って、市で3位まで勝ち上がった時は両親は才能を感じたかもしれないが、自分はなぜ殴って殴られなければいけないのか疑問だった。
 空手を辞めた後も度々「お前は男だから」と教育を受け、別に家族のことが嫌いとかは一切ないのだが、その瞬間はすごい嫌だった。ただその血は確実に引き継がれている。強いジェンダー感を持っている。自身をモラハラしている感じ。これは皆あるんじゃないかな。

好き嫌いは遺伝するのか

 私は海鮮系の食べ物が苦手である。食べられるのだが、あまり美味しいとは思わない。肉や野菜の方が美味しいと思ってしまう。それは父も同じで、海鮮は一切食べない。それがあって家庭で海鮮が出たことがない。いつの間にか苦手になっていた原因の一つかもしれない。
 ただ好き嫌いは遺伝しないと思っている。なぜなら私の母親は肉が嫌いだから。肉が嫌いな母と海鮮が嫌いな父でも仲良く結婚生活を続けているので食の好みはそこまで生活に影響しないのではと思う。それよりも一緒に笑い合えることの方が大事。両親が並んで笑っている記憶もあまりないのだが。。

離島のハラスメント

 中学時代に親戚一同で離島に旅行したことがある。20人くらいかな。塾がサボれてラッキーくらいに思って参加したが、そこで大ハラスメントを受けることになる。宴会場で懐石料理が並ぶ中、海鮮ばかりで食べるものないなーと思っていたら、生きたエビが運ばれてきた。限定4匹で踊食えるとのこと。静かにしていたら指名された。男だから。
 食べられないよと叫んだが、いいから食えと言われて半泣きでかじった。自分が嫌そうに食べるのをみて皆笑っていた。エビも可哀想である。美味しいと思える人が食べれば良いのに。私は中学生にして飲み会の接待ピエロと化していたのである。男だから。前回真っ白空間で育った眼鏡の話をしたが、私はカラフルピエロだったのだ。まあ別に気にしていないけれど。
 以上、良い家族と躍るエビの話である。

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