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友を思う。

「彼、辞めたらしいよ。なんでも職場の上司とそういう関係になったことが会社な人にバレて居づらくなってしまったらしい。」

「え、そうなの。…そうなのか…ていうかその上司、既婚者だったの?」

これだけ聞けば男女の話。でもこれは、夫を通して知り合ったその彼は同性愛者だったと知った時の会話。正直、誰が誰を好きで、それが異性か同姓かなんてどうでもいいことなんだけどね。私にも彼にも誰にも、きっと関係ない。

彼の事実を知り、思いを巡らせる。確かに物腰の柔らかな人だったな。あ、私の後輩を紹介するという話になった時、実際に遊んだ時、彼もどこかぎこちなくも楽しそうに見えていたけど、あれは自分の心に嘘をつきながら進めていた緊張感だったんだろうか。真実を言えば受け入れられないと思ったんだろうか…。
知ることのなかったことを悔やんでもどうにもならないけど、なんだか少し、彼に悪いことをしたなという切ないような申し訳ないような気持ちになった。

ここは狭い世界だ。暇を持て余す人たちが好き勝手情報収集をしては無責任に手放す様子を見ている。そんな人たちに彼が傷つけられないといいけど。
…そう言っている私も、気にしないと言いながらこうして話題にあげるのは、傷つけていることになるんだろうか。理解は進んだとはいえ、この手の話はどう発信していいのか、どう伝えるのが正解なのか分からない難しさがある。…難しい。

実際、辞めた直接の原因は別にあるのかもしれないし、そこは分からない。ただひとつ思うのは、彼が今もあの穏やかな笑顔で笑っているといいなということ。


どう伝えたらいいか分からないままここまで書いたけど、なんだか少し、彼と語らいたい気分になった。

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