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第1話 殴られながら産まれた話

自分が産まれた時の話を、あなたは聞いた事があるだろうか。
名前の由来は?
私が最初に聞いた出生の話は素敵であった。

てのひらにおさまるサイズで産声を上げない私は、医師から「もって八日の命です」と宣告され、今にも小さな肉体から飛び出しそうな心臓を懸命に動かしていたという。
専用の機械に入れられた掌サイズの私は約1600gで、状態から手術などといった延命処置は施せないと言われたそうだ。
そして八日目を迎えた日、私は無事に息を引き取った。
とは言ってもたったの20分か2時間かそこらだったらしい。
とにかく一旦息を引き取った私は、それは大きな大きな産声をあげて生き返ったそうだ。
この瞬間の奇跡に父が「こいつは普通の子やない!」と言って私の名前を急遽変更した。
持って来ていた掛け軸のような名前の書いてある物に「ヽ」を足して、私の名前は決まった。

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