長男
『長男31日に帰ってくるって言ってたよ〜!
父さんの誕生日、祝うからってさ〜!』
けらけら笑いながらニタニタした笑顔で母は言う
「(長男は)お父さんのこと好きだもんね〜、1番目は次男のことで、次にお父さんで、やっぱあんたは3番目だね〜」
『多分ママが3番目で、私は4番目ね』
「思い届かずだね〜」
ってまたニンマリした笑顔を向けて母は二階へ逃げた。
私が長男のこと大好きなのを逆手に、茶化してくるわけだ。
今までずっとひた隠しにしていた、長男への絶大な信頼と尊敬を母親に打ち明けた途端 この始末
ブラコンじゃねーから!
の雄叫びに、「残念ね〜」という茶化しにも似た返答。やれやれだ。
私にとっての長男はいつしか超憧れの大人だ。高校2年生のころまで特別好きでもなかった。むしろ、憧れの対象とは程遠い存在だった。汗臭くて足が異臭を放っている。2日に1回くらいしか歯を磨かない。若干癖のある髪質がやたらとベタベタしている。枕が臭い。学業への姿勢が殆どないくせ 取り組んでいる風 は続けている小賢しさ。運動能力は中の上。
まあ とにかく清潔感とは末端の存在の彼のことを 私は多少気持ちの悪い存在として扱っていた。
けれど何故か大人になってから、長男の人格に惚れ込んだ。謎すぎる。長男だけは唯一 母親のまた人徳を継承した。
不器用ながら何事にも一生懸命で、誰からも愛される人情深さと、愛想の良さ、口下手 ゆえに人前で首を垂れることなく平気なフリをするのが上手い、しっかりとした自尊心に満たされいるからこそ他者への愛を忘れない心の余裕、着るもの持つものへの拘りが薄い分 幸福の感度は敏感である。
ぁあ、生まれ変わるなら こんな人間になりたかったあ と兄を見て思う。実の兄を見て こんな風に思うのは ちよっとばかし不気味だけど
''家族 という魂の集合体''
のお話に基づけば、むしろこの出会いは偶然でも奇跡でも運命でもなかって 必然的に出会うべくして出会った 兄妹の関係なのだと思う。
何を見て何を感じ、これからの長い時間のなかでどれだけ兄から多くを教えてもらえるか 楽しみだな〜 と。
ってなわけで
9年間の他県に住んでいた長男が今日から県内へと戻って来ます。
うれちい〜!!!!!爆笑
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