【一幅のペナント物語#31】五十而落天橋・・・50にして「天橋立」から落ちる
◉書ける時に書き溜めておいて予約投稿、というのがこのnoteのパターンなのだけれど、たまには時事ネタに乗っかって投稿するのもアリかと思って、2月16日に書いている。
◉今回のペナントは「天橋立」である。中央やや左下に書いてあるように松島、宮島と並ぶ「日本三景」として超有名な、古き良き観光地だ。宮津湾と阿蘇海を隔てる特徴的な松の連なる砂州がダイナミックに描かれていて、左上には対岸の山々も見える。鬼の住まうという大江山あたりの尾根筋だろうか。赤いラメで煽情的な感じがする「天橋立」の文字の横には、砂州南側の根本付近にある廻旋橋が描かれている。この廻旋橋、船の通行に合わせて日に50回くらい、90度回転する橋なのだが、最近はこういう橋を造ることも減っているのではなかろうか。昭和の香りのする建造物だ。これ今は電動式だが、1923年(大正12年)から1960年(昭和35年)までは人力で回転させてたらしい。恐るべし。そういう仕事があったってことでもあるな。
◉そしてペナントにドラマを与えてくれているのは、左下の人物だ。赤ラメラメの帽子とシューズの、おそらく女性だと思われるが、彼女が石のベンチの上でやっているのが「天橋立」名物の"股のぞき"というやつだ。股のぞきスポットは、北側の傘松公園内からと、南側の天橋立ビューランド内からの2カ所あるが、ペナントのほうは傘松公園からのアングルである。
上の写真ののぞき台は手すりなどがついているが、ペナントの時代とさほど変わらぬシンプルな造り。こののぞき台、丹後海陸交通のケーブルで登った先の傘松駅前の展望スペースにある。最近はオサレな展望デッキも出来たようだが、やはりここに来たら誰もがここで"股のぞき"をしたくなるだろう。僕も過去に2度くらい行ったことがあるし、"股のぞき"もやった記憶が微かにあるのだけど、さっと覗いて終わったので見えた景色の記憶はほぼゼロ。だってあんなポーズ、長時間やるものじゃないから。頭に血がのぼるから。
◉で、今回の”時事ネタに乗っかる”話の件。もうYahoo!ニュースなどで見て「やれやれ・・・┐(´∀`;)┌」と思ってる人は多いと思うけれど、こちらのニュースである。
僕と同じ50代のオッサンが、ふざけて逆向きに立ったところを、会社の同僚がこれまたふざけて尻を押したせいで、バランスを崩して約15m落下の重傷というマヌケな事件である。落下したオッサンには悪いけど、まあ起こるべくして起こったシチュエーションであろう。人生の半分も生きてきて、いったい何をしておるのか。映像を見る限り、ちょっと酒でも入ってるのかな?とも思えるヨロメキ具合。ただ体幹が弱っているだけなのか。隣で一緒に逆向き股のぞきをやっていた同僚オッサンは、落下したオッサンを見て、一瞬のけぞって笑っているようにも見える。
公園の管理者からは、
なんて言われてるし、現場に居合わせた観光客にも、
って言われる始末。まあ、そりゃそうだろう。落とされたオッサンは気の毒ではあるけれど、齢50を過ぎて、こんなマヌケなニュースで歴史に残りたくないし、こんなマヌケなことで大怪我したり命を落としたりしたくないなーと、自分を戒める良い機会をいただいた。早く怪我が治りますように。そして同僚たちとヘンな禍根が残りませんように。
◉そもそも"股のぞき"っていつから始まったのか調べてみると、
とあった。意外と古くないのだなあ。なんとこの"股のぞき"、2016年(平成28年)にかの<イグ・ノーベル賞>の知覚賞を受賞しているそうな。『前かがみになって股の間から後ろ方向にものを見ると実際より小さく見える「股のぞき効果」を実験で示した研究』で立命館大学と大阪大学の教授が受賞している。どんな研究かよくわからないけれども。くだんのオッサン、"股のぞき"でもし命を失ったりしてたら、<ダーウィン賞>にノミネートされていたかもしれない。本当に重傷で済んで良かったよ。
◉いつものように長くなってしまったけど、最後にペナントに戻ろう。中央部分に描かれている個性的なカタチの石塔は、これまた有名な智恩寺そばの「知恵の輪灯籠」で、この傘松公園ののぞき台の横にあるわけではなさそうだ(天橋立ビューランド内には新しいヤツがあるらしい)。まさにペナントマジックである。ことわざにも「三人寄れば文殊の知恵」とあるが、この石灯籠、古くからの言い伝えで輪の部分を3回くぐれば文殊様の知恵を授かると言われているそうだ。サーカスのライオンみたいに潜るのは、頑張れば出来そうだが、周囲の冷ややかな視線を浴びると思うので、頭だけを3回出し入れすれば文殊の知恵を授かるそうなので、くだんのオッサンたちも先にこっちに来て頭を出し入れしておけば良かったのかも。
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