マーシャルアーツ：映画「グランドマスター」

マーシャルアーツを題材にした映画、しかもWing Chunをテーマにしたものというとドニーイエン主演の「イップマン」シリーズを思い浮かべる方が多いかと思いますが、私的には「グランドマスター」をリコメンドしたいと思います。

「グランドマスター」は、2013年にウォン・カーウァイ監督によって制作された香港の武術映画で1930年代の中国を題材に葉門や宮宝森といった伝説的武術家が登場。さらに詠春拳、八卦掌、八極拳などの技が次々に紹介されます。ウォン・カーウァイ監督の他の映画同様、映画のシーンは繊細で、色彩豊かであり、当時の中国が美しく描かれ圧倒されます。

トニー・レオンやチャン・ツィイー、チャン・チェンなど、実力派俳優たちが登場しアクションシーンも本物の武術指導に基づいているため「技」のキレもよく、武術的にも見どころが満載な戦闘シーンやスローモーションの使用など、緻密なアクション・チョレオグラフィーが展開されます。
登場人物それぞれの武術の修行や哲学にも焦点を当てており内面の闘いや成長を経験深い感情なども描いており深みがあります。20世紀の中国を舞台にしており、中国の歴史的な背景や文化的要素も含まれているため、視覚的に魅力的なだけでなく、歴史的な舞台設定を通じても興味深い体験を提供します。

登場人物は時代に翻弄されてしまうため、物語は必ずしもハッピーエンドで終わる訳ではないのですが映像の美しさがそのような悲しさを残さず、独特な魅力を持つ映画となっていますのでぜひご覧になってみてください。

ちなみにWing Chun（詠春拳）に関する私の本当のおすすめ映画はロバート・ダウニー・Jr主演の「シャーロック・ホームズ」シリーズなのですが、それについては後日また紹介させてください。