キングオブコント2023を振り返る
(上のリンクから昨晩の熱戦が視聴できます。賞レースが配信で何度でも楽しめる、いい時代になりましたよね…! )
毎年言っているような気もしますが、今年のキングオブコントも素晴らしい大会だったと思います。全組面白かった。本当に、誰が優勝でもおかしくなかった気がします。何なら、冒頭で松本さんが言っていたように、「全員優勝」でもよかったかもしれない(笑)。審査員が現在の5人の体制になってから、ファイナリストのコントのクオリティがとても高く、1点単位の接戦が続いている気がします。
OPの梅田サイファー×三浦大知による楽曲もとてもかっこよかったです。1組ずつにスポットを当て、関連するワードがあちこちに組み込まれたリリック。コント師への大きなリスペクトを感じましたね。
早いもので、優勝者が決まってから2日が経ちました。ここからは、10組のコントとファイナルステージのコントを振り返りたいと思います。
①カゲヤマ
ふすまから現れる上司のおしり(笑)。1組目からこの爆発力。今年のKOCもきっと素晴らしい、と思わせてくれたカゲヤマの功績はとても大きいのではないでしょうか。裸と大声で笑わせるすごくばかばかしいコントで、ずっと面白かったです。益田さんのおしりが地味にきれいだったのもジワジワ効いて面白かったなぁ。
②ニッポンの社長
あのネタの次で大丈夫!?という心配がありましたが、杞憂でしたね。好きな女子を空港まで追いかけるよう説得する、というよく見る設定からの、予想のつかない暴力の応酬。エスカレートしていくバイオレンスがどんどん面白くなっていくのが本当にすごかったです。武器を所持していて、喧嘩でそれを使う2人はどんな環境で生活してきたんだ(笑)。順番次第では点数がもっと高くなっていたかもしれないですよね。
③や団
めちゃくちゃ厳しい演出家と、それに怯える舞台俳優のやりとり。中盤で登場した殺傷能力が高そうな灰皿が回り終わるまでの間をたっぷり使って笑いを生む。回転次第では生まれる笑いの量も変わってくるであろう展開をもってくるや団、ギャンブラーだなと思いました。怖い演出家にもちゃんと人間の血が通っていたとわかる瞬間、この3人だから為せる業ですごく良かった。
④蛙亭
彼氏にフラれた女と大好きなお寿司をつぶしてしまった男による不幸自慢合戦。中野さんのキャラクターは(このネタももちろんそうですが)、どれも面白いですね。声質も、格好も、体型もすごく良かった。冒頭では腹とひざで寿司を2回つぶすなど、要所に面白いポイントが多く詰まっていましたが、ファイナルには入り込めず。惜しかったですね。
⑤ジグザグジギー
新市長の記者会見がいつの間にか大喜利大会に。IPPONグランプリのチェアマンの前でこのネタをやる勇気がすごい(笑)。取り入れている大喜利番組のあるあるがどれも秀逸で良かったです。私個人は大いに笑ってしまいましたが、審査員評では惜しくもや団に1点差で敗北。飯塚さんのコメントがとても的確でしたね。
⑥ゼンモンキー
縁結びの神社の前で喧嘩を始めた親友2人。その喧嘩は高校生の登場でまさかの展開に。高校生役の荻野さんのいい感じの小物感がとてもよかったですよね。「恋の三国志」とか、最後の「祈り勝ち」など、ワードも言い方もすごく好みで面白かったです。結成4年でこのクオリティ。ワタナベの若手の芸人さんは精鋭ぞろいですね。末恐ろしいです。
⑦隣人
コントのタイトルが「猿落語」て。どんな生活をしてたらこんなトリッキーなコントが生まれるんだろう(笑)。チンパンジーに落語が伝わった瞬間がとても面白かったです。落語家さんが猿の言葉で落語をはじめたあの瞬間の勢いは10組の中でも随一だったかな。
⑧ファイヤーサンダー
サッカー日本代表のメンバー発表を見つめる2人はまさかのモノマネ芸人。その設定のうえで作られた展開と台詞がすごく光っていてずっと面白かったです。サッカー選手とモノマネ芸人をこれまでにない角度でネタにしたのすごいなぁ。4組連続で続いていた点数が伸び悩み敗退する流れを打破してくれたのも嬉しかったです。「俺らが0から何かを生み出せるわけないやろ!」w
⑨サルゴリラ
巧みな言葉遊びと、クセしかないマジシャン道具。「中箱B」とか、「パソコンケース」とか、「くつした人参」みたいな、マジシャンの絶妙な気持ち悪さがどんどん面白くなっていって、すごく引き込まれました。個人的に、1本目の中でいちばん好きなコントはサルゴリラの1本目かな。いちばんの爆発があったように感じました。
⑩ラブレターズ
挨拶に行った彼女の実家が隣人トラブルがめちゃくちゃな隣人トラブルを抱えていた(笑)。彼女の実家がやばい、という設定は最近の水曜日のダウンタウンであった、ザ・マミィの酒井さんに仕掛けたドッキリと似た面白さを感じましたね。アパートで大型犬を飼育してたり、隣人とやりあっている最中で彼氏が急に告白したり、面白いポイントがたくさんありました。順番次第ではこちらも大いに化けていたかもしれないですね。
ファイナル1組目 ニッポンの社長
緊張が走る現場でどんどん除去されていく臓器(笑)。スタンバイに時間がかかったのは臓器のセッティングが大変だったからでしょうか。あまりの状況で患者の辻さんが麻酔を忘れてしゃべりだすところや、医師免許を賞状で出すところ(途中でカードも見つかるところも)がすごく面白かったです。掃除機のコードみたいな臓器が出てきたときに「掃除機」というワード使わずにそれらしさを説明したのすごかった。
ファイナル2組目 カゲヤマ
部長のデスクに大便が置いてあった事件の犯人が明かされてから、事態は思いもよらぬ方向に。や団に続き、たっぷり間を使ってからの、「僕は…どうなるんですか…」、痺れましたね。あれは笑うしかない。そこからの展開もめちゃくちゃだけど、台詞の言い回しなどがどこか洒落ていてとても引き込まれました。オチも秀逸で全体通してすごく好きなコントでした。
ファイナル3組目 サルゴリラ
最年長の2人が高校球児の設定でコントを始めた時点でもう面白かったです。このコントの面白さの核は例えの表現で「魚」を用いたこと。ずっと何かを魚に例えているだけなのに、ずっと面白くて、その面白さも尻上がりに大きくなっていった。魚やめろって言われてすぐに魚って言っちゃう裏切りも最高でした(笑)。1本目もそうですが、道具とか言い回しの絶妙な気持ち悪さによる面白さが会場をぐっと掴んで離さなかったですね。過去最高得点を獲得したのも納得のクオリティ。すごすぎたなぁ。お2人も演技のお仕事増えるでしょうね。
年数を重ねていくことで出場するコンビも増えて、その数だけ面白いコントが増えていく近年の流れ、素晴らしいと思います。審査される方々はきっと大変でしょうけどね(笑)。賞レースは、お茶の間で観て楽しむくらいの距離感がいちばんなのかもしれないです。
キングオブコント2023、改めて本当に素晴らしい大会でした。優勝されたサルゴリラのお2人、おめでとうございます!来年もキングオブコントが開催されますように!2024年に優勝という「魚」を勝ち取るのは一体誰なのか!
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