現象と実在

古代ギリシアの哲学者たちは、実在するものの根本的な本質は、通常目にしている姿、つまり現象とは大きく異なっていると思っていた。この違いを思想の中心に据えていたのは、タレス、ヘラクレイトスなど、ソクラテス以前の哲学者たちである。

その中でもヘラクレイトスは、万物は常に流転していると説いた。これを「誰も同じ川に二度入ることはできない」という言葉で表現したという。万物は流転する、プラトンが引用したことで知られるこの有名なフレーズ、本人がそう語ったのではないという話も。ま、後世になって誰かの発言を都合よく引用し権威を纏う、なんということは日常茶飯事ですな。

これを学校で学んだときは、哲学者たちは無駄なことを考えるよなあと思っていたけれど、世の中を先入観なしに眺めること、新たな解釈で見つめ直すことは、何もないところから作り出す人たちにとっては必要なことだ。

ただ毎日繰り返すことが好きな人もいれば、変なことを考えて発明するのが好きな人もいる。そうやって人間は発展してきた。

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