ちゆちゃんの抱き枕千夜一夜 第1夜「ウラタロスに釣られてみる」
このシリーズ記事（全4回）は無料です。
以下は、2009年の夏コミで同人誌（かーずさんのまじかるSS）に寄稿した文章です。個人的には重要な話なので、noteに再掲載させていただくことにしました。
ウラタロスに釣られてみる
『仮面ライダー電王』のウラタロスが、公式で抱き枕化されました。
「貴女に朗報です！」
「ウラタロスはいつでも貴女のそばに！」
ということで、さっそく買ったのですが……。
この抱き枕、写メールを拡大して水で薄めたような印刷です。
しかも、抱きつくと絵の具の固まりのような肌ざわり。
たぶん、抱き枕にキスしたこともないような人間が、ただデカい布にキャラを印刷すれば良いと思って作ったのでしょう。品質がゴミでした。
サイズについて
また、原作では立派なガタイをしているウラタロスなのに、この抱き枕は小さすぎでした。
おおむね等身大サイズの抱き枕と比較すると、次のような感じになります。
※左の志摩子さん（高2）は160cm、右のまことちゃん（小5）は140cm。
ウラタロスは身長182cmという設定ですが、抱き枕では実寸110cmです。
単純にリアルの平均身長でいうと、5歳児くらいでしょうか。
まあ、男性キャラを納得いくサイズで作るのは難しいのですが、それにしてもウラタロスが子供サイズだと厳しいです。
「想像力で補えばいい」と思うかも知れませんが、そもそも想像力で補うなら無地の枕で勝手に想像してれば良いわけで……。
抱き枕の絵には、ある程度そのままで「そこにいる感じ」が求められます。
抱き枕とバスタオルは違う
もしも、抱き枕じゃなくてバスタオルだったら、印刷されたウラタロスが小さくても問題ありません。
バスタオルやマグカップに二次絵が入ったグッズは、
「普段使いのアイテムに好きなキャラの絵が入ってたら嬉しい」
みたいな感覚のアイテムで……。
無地のバスタオルより、仮面ライダーがプリントされているバスタオルの方が嬉しいですよね。
抱き枕についても、バスタオルみたいな感覚で、
こういう日用品の抱き枕にキャラの絵が入ってたら嬉しいよね、みたいなグッズだと誤解されることがあります。
しかし、抱き枕は、そういうのとは少し違います。
「抱き枕にウラタロスがプリントされてたら嬉しい」というよりも、「ウラタロスの抱き枕」が欲しいのです。
感覚的には、「ウラタロスのフィギュアが欲しい」に近い感じでしょうか。
その辺、もう少し詳しく説明したいのですが、詳しく説明しようとするとどうしても気色悪い話になるので、以下、気色悪い話になります。
「ウラタロスの抱き枕」が欲しい
『愛天使伝説ウェディングピーチ』のたくろう君は、モニタにキスが趣味でした。
『ストライク・オア・ガター』の十華ちゃんも、ポスターにキスする習慣があります。
ただ、人によると思うのですが、これ、実際にやるとけっこう微妙なのですよね。
かたくて平らなモニタや壁に口をつける感触は、キスのイメージとしては、やや変な感じがします。
行為の心理的ハードルの高さのわりに、そこまで良いもんでもなくて、常習性は低い気がしております。
こういうのは「人前でしない」「人に話さない」のが普通で、実態がよく分からないのですが……。
たぶん、日常的にこういうことをしている人は、実際にはあまり多くないのかなと思ってます。
それが「抱き枕」の形になると、厚みや丸みや柔らかさがあって、「変な感じ」がなくなります。
もちろん、実際の人体の感触とは全然違うのですが、
「もしもアニメキャラがテレビから出てきたら、生々しい粘膜を持っているのか？」
……みたいなことを考えると、抱き枕のソフトな触感は、二次元人の感触として納得できる範疇にあると思います。
キスしてもふんわり気持ち良く、キャラの二次元的なイメージを損なわずに、三次元的な接触が可能になるのです。
つまり、何が言いたいかというと、抱き枕ってのは、二次元のキャラクターを三次元の存在として接触して抱きしめられる媒体なのですね。
いっしょに寝れる二次元
単に日用品にウラタロスの絵が印刷されているのではなく、現実世界で抱きしめられるウラタロスを求めた形態のひとつが抱き枕だと言えます。
二次元キャラに間近で存在感をもたせて擬似的に抱きしめる方法としては、リアルドールとか、VRとか、コスプレ風俗とかがあるわけですが……。
「布に二次絵をそのまま印刷して、綿を詰めてデカい板状にするだけ」の抱き枕が、案外シンプルに強いです。
余談
ついでに、ウラタロスの抱き枕について述べると、この「僕に釣られてみる？」という文字も微妙でした。
たぶん、エヴァのTシャツに「逃げちゃ駄目だ」と入れるようなノリなのでしょうが、「存在感」を損なわせるだけの抱き枕童貞の発想です。
……てな感じで、こういう抱き枕の話が第4夜まで続きます。（2009年の文章を一部書き換えたりしています）
このシリーズの記事はすべて無料で、「月10回以上」の更新回数のカウントに含めません。
ここから先は
ちゆ12歳のオタク日記
芸歴20年、ネットアイドルちゆ12歳のエッセイです。サイトやツイッターに書けないこと、読んだ漫画のレビュー、アニメの感想、最近思ったこと、…
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？