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『きまぐれオレンジ☆ロード』のジャンプ掲載版、ジャンプコミックス版、愛蔵版の違い

2020年10月6日、漫画家のまつもと泉先生が亡くなりました。

代表作は『きまぐれオレンジ☆ロード 』
1984年から1987年に『週刊少年ジャンプ』で連載したラブコメです。

きまぐれジャンプラスト

「夢のような80's このときめきは……忘れない」というラストシーンが記憶に残っています。

これと似た『ジャンプ』漫画のラストとしては、『コマンダーゼロ』の「クレイジー80S── 狂った時代がかれらを生んだ!!」も印象深かったです。

コマンダーゼロラスト

「夢のような80's このときめきは……忘れない」
「クレイジー80S 狂った時代がかれらを生んだ!!」
並べると、80年代ジャンプの夢と狂気という感じで好きです。

いちおう、入れ替えコラも作ってみました。

きまこら

ぜろこら



当時のジャンプ回想

そんな『きまぐれオレンジ☆ロード』ですが、当時の私の感覚では、わりと急に終わったという印象がありました。
当時の思い出を、少し振り返ってみると……。

1987年4月に、『きまぐれオレンジ☆ロード』のテレビアニメの放送がスタート。
日本テレビ系で月曜の夜7時30分からの放送でした。

当時のジャンプ漫画のアニメは、
・『キャプテン翼』:2年半
・『ウイングマン』:1年
・『よろしくメカドック』:半年
・『北斗の拳』:3年ちょい
・『ハイスクール!奇面組』:2年
・『ドラゴンボール』:11年半
・『銀牙 -流れ星 銀-』:半年
・『聖闘士星矢』:2年半
・『きまぐれオレンジ☆ロード』:1年
・『シティーハンター』:2年半くらい
・『ついでにとんちんかん』:1年
・『魁!!男塾』:半年ちょい
といった感じ。

ほとんどが夜7時台の放送でした。
「深夜の1クール → 人気が出たら2期」という形態は存在せず、ゴールデンタイムに放送して、人気があれば何年も続くのが普通という感覚です。

(ゴールデンタイムのアニメは、昨年10月に『ドラえもん』と『しんちゃん』が夕方に移動したことで消滅)


そんな感じで、1987年8月。
『きまぐれオレンジ☆ロード』は、アニメの20話が放送されたあたり。
原作は、おじいちゃん家に帰省するエピソードになっていました。

スペクタクル

主人公(恭介)とヒロイン(鮎川まどか)が、島の番人の「光の剣」で殺られそうになります。

仏像

「大活劇(スペクタクル)の始まりだ~~っ!」
「この不気味な人影の正体は!?」
などとアオられて若干困惑した記憶があります。

このとき(37号)の目次が、こんな感じ。

37号目次〜〜

このときにはもう、『きまぐれオレンジ☆ロード』の掲載順は下のほうでした。


それから

その次(38号)が、こんな感じ。

38号目次〜〜

1回休載して、その次(40号)がこちら。

40号

(↑ では『空のキャンバス』が「次週最終回」でしたが、掲載順は『きまぐれオレンジ☆ロード 』が最下位になっていました)

この第40号で、「帰省編」が完結。

愛を

ここに書かれている「第41号は『ポケットに愛』の巻。お楽しみに!」というのはウソ予告です。
(当時、ジャンプの予告はだいたいウソでした)

実際の41号に載ったのは、『帰れないふたり!』の巻でした。

帰れない

ここで、芸能活動やバイトを理由に、まどかが停学になった……という事件が唐突に降って湧きます。

そして、続く42号が最終回で連載終了。
帰省編のあと、たった2話(合計39ページ)のラストエピソードで、急に話を畳んで終わったのでした。

『帰れないふたり!』の著者近況が、次の感じ。

らすとしーn

連載終了が決まったタイミングは分かりませんが、最終回の1週前の時点でラストシーンが決まってなく、「まとめるのが大変」という話でした。


ラスト2話の内容

最後のストーリーは駆け足で、だいたい次のような感じでした。

『帰れないふたり!』
まどか停学 → 恭介が街を探し歩く → まどかと会う → 「あたしアメリカへ…」

『永遠の夏!』
「ひかるちゃんはLike…鮎川は…あいしてる」 → 空港でまどかの見送り → ひかる、「小松さんたちからすべてききました」と恭介をビンタして身を引く → 翌年、まどかと恭介の再会。「このときめきは……忘れない」

きまぐれジャンプラスト

最近の「最終回センターカラー!」みたいな特別なアレはなく、普通に最後尾の掲載で終わりました。

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こめんと

この連載終了が1987年9月で、テレビアニメは翌年3月まで続きました。


単行本の描き足し

当時は現在よりも、本誌掲載→単行本発売の間隔は長かったです。

たとえば『ゴッドサイダー』は1年半の連載で全7巻でしたが、連載中に刊行されたのは2巻まで。
作者は、連載中はあまりお金が入ってこなかったと振り返っています。

そして、「連載終了後、単行本が立て続けに発売され、増刷もされた。その印税であっという間に貯金が増えた」「ア… ア… す… すごい…」「こんなにお金増えちゃったよどうしよう!」「で、税理士を雇った」「合コンにも行った」とのことでした。(『連載終了!』より)

『きまぐれオレンジ☆ロード』の場合は、1987年9月に連載が終了。
3月にテレビアニメが終わって、1988年7月に単行本の最終巻(18巻)が発売という感じでした。

単行本の作者コメントがこちらで……。

新たに

具体的には、

『帰れないふたり!』が、19ページ → 61ページに。
『永遠の夏!』が、19ページ → 21ページに。

という感じで、ラストエピソードが倍以上に加筆されました。
(合計38ページ → 82ページ)


ジャンプコミックスの追加部分について

いちおう、何が追加されたのかを書いておきます。

・『帰れないふたり!』の冒頭。夏休みがあける前に、まどかが航空券を予約していたところ、偶然まなみと会う場面。(雑誌掲載時は、新学期からのスタートでした)【4ページ】

・小松と八田の会話が一部変更

こまつ雑誌

↑ ジャンプ掲載時(1987年41号)

こまつ単行本

↑ コミックス(18巻)

・続く【半ページ】を挿し替え

かいわ

・そこからの【38ページ】が、すべて追加シーン

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