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『ジャンプ』のスポーツ漫画が『みどりのマキバオー』だけになって、編集部が焦ってスポーツ漫画を増やそうとしていた頃の思い出

『週刊少年ジャンプ』の最新号で、バレー漫画『ハイキュー!!』が最終回。

これをもって、次号では「ジャンプからスポーツ漫画が完全になくなる」という話題が、Yahoo!ニュースにも掲載されました。

スポーツ漫画の連載が完全になくなるのは、たぶん初めてだと思います。

ただ、90年代に、かなりスポーツ漫画が減って、それらしいものが競馬と格闘技だけになったことはありました。

その話を、2008年2月の『二次元ドリームマガジン』Vol.39に書いたことがあるので、恐れ入りますが、それを再掲載させていただきたく存じます。
(画像とか補足とか、色々と追記しております。雑誌だと、あまり画像を載せられないのですよね)


ジャンプのスポーツ氷河期

日本で一番売れている漫画雑誌は『ジャンプ』ですが、以前、『ジャンプ』の発行部数が『マガジン』に追い抜かれた時期がありました。

そして、そのころの『ジャンプ』には、妙にスポーツ漫画が少ないという特徴がありました。

具体的には、『マガジン』が『ジャンプ』を抜いたのは1997年49号。
そして、1997年40号から翌年8号の間、『ジャンプ』のスポーツ漫画は『真島クンすっとばす!!』と『みどりのマキバオー』の2本のみ。
つまり、野球やサッカーは存在せず、格闘技と競馬だけという状態でした。

どうしてそうなったかと言うと、単純に新連載が全部コケたからです。

たとえば、95年12号から98年9号の3年ほどで始まったスポーツ漫画らしきものは、『ダイヤモンド』『K.O.マサトメ』『ドルヒラ』『BE TAKUTO!!』『レスリングwithもも子』『Merry Wind』『JOKER』。
それぞれの連載期間は17週・17週・14週・20週・18週・11週・15週で、見事に打ち切り漫画ばかりでした。

内約は、ボクシング×2・水泳・空手・レスリング・野球・プロレス。
あと、いちおう『幕張』もこの期間です。
『K.O.マサトメ』は『マンガ図書館Zで無料配信されています。


ジャンプのスポーツ漫画振興作戦

そこで、当時の『ジャンプ』の編集部は、とにかくスポーツ漫画が欲しいと考えたみたいです。

1997年末に発売した増刊号で、4ページに渡って「カンのいいヤツは気づいている!! 98年はスポーツ漫画がくる!!」と特集します。

曰く、「『ジャンプ』はスポーツ漫画をひいきするっす!!」。

ひいき

「新人漫画賞でも優遇!!」
「スポーツを題材にしているというだけで選考委員の評点が軒並みアップ!! スポーツもので骨太なストーリー漫画にはメチャ甘採点を確約だっ! 漫画家デビューを目指すキミは、このチャンスを絶対に逃すなっ!! スポーツ漫画で栄光GET!!」
(『赤マルジャンプ』1998年WINTER)

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