見出し画像

『飛ぶ教室』の続編スタートと、『ハッスル拳法つよし』の思い出

このページには、『飛ぶ教室』の2巻まで(1985年連載分)と『ハッスル拳法つよし』のネタバレがあります。
(あと、構成と文章がgdgdになってしまって、読みづらかったら申し訳ありません)


前置き

何十年も前のジャンプ漫画が、「子供のころ好きだった」というファンに向けて復刊されることがあります。

最近だと、2021年3月に『キララ』の新装版。
2021年5月には『岩泉舞短編集』の完全版みたいなものが出ています。

愛蔵本2冊

これについては、先日の記事でご紹介しました。

この2冊は、サイズ大きめの少し豪華な本にして、1500円くらいで復刊……という感じでした。

※もう少し安い仕様で復刊するケースもあります。(コンビニコミックとか、竹書房から出た『変幻戦忍アスカ』とか)

あと、もうちょい分厚い本で、1冊3000円~5000円で復刊するようなモノもあります。
ジャンプ漫画だと、『デロリンマン』の単行本未収録だった「黒船編」がそんな感じで出ました。

『ワースト』の未収録原稿などを含む「完全版」も、全2巻で7700円と正直お高いですが……。

ファンにとってはそのくらいの価値がある本でした。

出版社としては、『岩泉舞短編集』は小学館、『キララ』はリイド社、『デロリンマン黒船編』『ワースト』は復刊ドットコムという感じになります。

そんなこんなで、昔のジャンプ漫画の豪華復刻は色々とあるのですが……。
その中でも特にインパクトがあったのが、昨年、潮出版社から発売された『飛ぶ教室 完全版』でした。

飛ぶ教室ああ

これは元々、1985年に『週刊少年ジャンプ』で連載して、15週で終わった漫画です。

それが2020年になって、「続き」を167ぺージ追加した完全版が登場。
全2巻だった漫画について、34年ぶりに「実質3巻目」が描き足されたということで、大きな衝撃でした。

近い例(?)としては、『男坂』があります。
1985年に全3巻で打ち切られたのに、2014年に「続き」の連載が始まって、約30年ぶりの「4巻」が発売。現在は「10巻」まで出ていますが、次巻で真の完結(?)を迎えるようです。


『飛ぶ教室』について

そんな感じで、『飛ぶ教室』という漫画の話をしてみます。

作者はひらまつつとむ先生で、1985年5月に連載開始。

飛ぶ01

この表紙だけ見ても、どういう漫画なのか、あまりピンと来ないと思います。

(空を飛べる子供たちが主人公のSF学園モノ感があるかも)

てことで、第1話の内容を少し紹介してみると……。

飛ぶ04

「……と…ん…だ!!」

物語冒頭、主人公の男の子は、テントで女の子とイチャイチャしています。

飛ぶ06

飛ぶ05

ゆるキャンかな? と思うのですが……。

飛ぶ09+

情景的には、『ゆるキャン』と言うより『北斗の拳』でした。
カラーページなのに主人公たち以外に色が付いてない演出が良かったと思います。

ちなみに、児童小説の『飛ぶ教室』とは何の関係もありません。
「滅亡した世界を舞台にした少年たちの物語」ということで、『漂流教室』のイメージで『○○教室』というタイトルを選んだのかも知れません。

『漂流教室』は、人類滅亡後の世界を生き抜こうとする小学生たちが死にまくるトラウマ漫画で、『サンデー』に1972年~1974年ごろ連載。
1973年には『日本沈没』や『ノストラダムスの大予言』がヒットしており、終末的な未来予想が流行ったころの作品でした。

『飛ぶ教室』は1985年の作品ですが、その頃の読者にとっても、「世界の終わり」はある程度リアリティのある不安だったように思います。

TNT火薬左

『飛ぶ教室』作中の説明が、こんな感じ。
当時はアメリカとソ連の軍拡競争が激しく、第三次世界大戦への危機感がありました。

飛ぶ10

当時の読者の子供たちにとって、こういうのは「異世界」ではなく、ある程度「自分の身に起きるかもしれないこと」として怖かったのではないかな……と思います。

なお、『漂流教室』だったら、似たような状況でマネキンが襲ってきます。

マネキン1

マネキン2

終末への感覚は、やはり冷戦終結とソ連崩壊(1989年~1991年)で変わったような気がします。
1993年には、『完全自殺マニュアル』にて、「僕たちは『明日世界が終わるかもしれない!』ってワクワクした。だけど世界は終わらなかった。原発はいつまでたっても爆発しないし、全面核戦争の夢もどこかに行ってしまった。これでやっとわかった。もう“デカい一発”はこない。22世紀はちゃんとくる」と書かれており、当時の10代は大いに共感したようです。

ここから先は

4,322字 / 22画像
この記事のみ ¥ 100
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?