見出し画像

「おまえはすでに死んでいる」の歴史

※更新ペースが遅くて大変申し訳ございません。なんとか今月中にあと5~6回更新することを目指しております。

※この記事には、『北斗の拳』『ケンシロウによろしく』の最終回に関するネタバレ要素が含まれております。

今日の話題

今週のヤンマガで、『ケンシロウによろしく』が最終回を迎えました。

リスペクト元の『北斗の拳』の最終回は、「おまえはすでに死んでいる!! 完」という終わり方でした。

『週刊少年ジャンプ』1988年35号

当時、『北斗の拳』といえば「おまえはすでに死んでいる」だったので、その言葉で終わらせたようです。

ただ、のちによく言われるのは、原作で「おまえはすでに死んでいる」と言うのは、実はこれが初めてだったという点です。

  • 「おまえはもう死んでる」(1983年41号)

  • 「きさまはすでに死んでいる」(1984年23号)

  • 「おまえはもう死んでいる」(1984年49号)

などは言っているのですが、「おまえはすでに死んでいる」は最終回が初出なのですよね。

この「実は最終回しか言ってない件」が広まったせいか、現在では「おまえはもう死んでいる」がデフォルトという扱いが多いです。

LINEスタンプなんて、最終回のケンシロウの顔で「おまえはもう~」と言ってます。

URL

その流れから、今回の『ケンシロウによろしく』の最終回でも、「もう」が採用されていました。

『ヤングマガジン』2023年47号/「お前はもう~ている END」

つまり、本物の『北斗の拳』でも最終回は「すでに」だったのに、『ケンシロウによろしく』の最終回では「もう」になるほど、令和では「もう」派が主流なのです。

しかし、忘れて欲しくないのは、『北斗の拳』の連載中は「おまえはすでに死んでいる」が人気だったという事実です。
当時は「おまえはすでに死んでいる」が『北斗の拳』の代名詞だったからこそ、最後を締めくくる言葉に「もう」ではなく「すでに」が選ばれたのです。

……ということを言ってみたくて、以下は、「おまえはすでに死んでいる」の軌跡を時系列順に資料をあげて振り返るだけの記事です。

 


 

1983年9月(原作)「おまえはもう死んでる………」

1983年9月13日発売のジャンプで、『北斗の拳』の連載がスタート。

その第1話に、記念すべき最初の「おまえはもう死んでる………」が登場しました。

『週刊少年ジャンプ』1983年41号

※ここでは「もう死んでいる」ではなく「もう死んでる」でした。

そして、すぐに『北斗の拳』は人気漫画になります。
(掲載順でいうと、1984年半ばから3年ほどは必ず4番目までに載っていました。ラオウの死後1年くらいまでその状態をキープして、そこから掲載順が落ちていく感じになります)

 

1984年1月「おまえはすでに死んでいる!」

そして、『北斗の拳』の連載開始から3か月(+23日)。

1984年1月5日発売の『ジャンプ』にて、さっそく「死んでいる」のパロディネタが載りました。

『週刊少年ジャンプ』1984年5・6合併号/『ハイスクール!奇面組』

漫画本編では「おまえはもう死んでる」しか言っていないのに、早くも「おまえはすでに死んでいる!」という形で真似されています。

※この号の時点で『北斗の拳』はまだ16話でした。(単行本2巻収録の「野望を断つ涙!」の回 ↓ )

『週刊少年ジャンプ』1984年5・6合併号/「恐るべき暴力超人」

 

1984年5月(原作)「きさまはすでに死んでいる!」

その後、1984年5月8日発売の『ジャンプ』で「きさまはすでに死んでいる!」が登場。

『週刊少年ジャンプ』1984年23号

相手を指さして「すでに死んでいる」と言うのは、原作漫画でやるよりも『奇面組』のパロディの方が先だったのが、混乱するところです。

『週刊少年ジャンプ』1984年5・6合併号/『ハイスクール!奇面組』

これは、もしかしたら『奇面組』の前にも何かあったりするのでしょうか?

 

■「何か」
たとえば、『北斗の拳』のアニメ版のサブタイトルが素晴らしいという話題で、「死への秒よみやってみるかい」が挙がることが多いのですが、

「死への秒よみやってみるかい」は1984年11月の放送

実はこれは、ジャンプ連載時のアオリが元だったりします。

「死への秒読みやってみるかい!!」は1983年11月の掲載

こういう漫画本編以外のところに、『奇面組』が真似した何かがあったりするのかも知れません。

ここから先は

4,217字 / 25画像
この記事のみ ¥ 150

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?