![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/72634811/rectangle_large_type_2_d81e048e331102d902f17755408441df.png?width=800)
「飛影はそんなこと言わない」は、本当は言ってない件(岡田斗司夫さんの記憶違い)
今日の記事は、ちょっといまさらな話題で恐れ入ります。
だいたいの情報はニコニコ大百科の「飛影はそんなこと言わない」の記事に書かれているような、有名な話です。
ただ、ニコニコ大百科の記事では、「飛影はそんな事言わない」というフレーズが最初に世に出たと思われる『オタクアミーゴス!』に関する記述がありません。
検索してみると、大百科を丸パクリしたような「いかがでしたかブログ」も上位に多くて、微妙にパーツの欠けた情報が広まっているようでした。
少なくとも、1997年に岡田斗司夫さんが「飛影はそんな事言わない」を広めたことは確かなので、その話を書かせていただきます。
「飛影はそんな事言わない」の初出
「飛影はそんな事言わない」というフレーズが最初に広く世に知られたのは、たぶん、1997年3月出版の『オタクアミーゴス!』ではないかと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1645285068978-C0pwzFtlyh.png)
※「オタクアミーゴス」は、岡田斗司夫さん、唐沢俊一さん、眠田直さんが1995年に結成した「オタク芸人」のグループ。オタクにウケるような映像や文献を面白おかしく紹介するのが持ちネタでした。
この本の中に、「幽遊白書ファンのAV」という見出しの2ページの記事がありました。
その内容が、次のような感じで……。
眠:コレはなかなかレアなネタ。『幽遊白書』のやおい同人誌にハマっている28歳処女のおねーちゃんが、主演したアダルトビデオというのがあるんですよ。
(中略)
岡:で、撮影が始まって、男優さんが処女を奪う段になったら、このおねーちゃんが、「ひえい、ひえい…」ってつぶやき出したのね。
(中略)
眠:そんなわけで撮影は続行されるんだけど、男優の方が嫌がって逃げ出しちゃう(笑)。
(中略)
眠:最後は、仕方無く勇気あるスタッフの1人が「じゃあ、俺が代わりにハメ撮りするよ」って言い出して、やっと撮影再開。それも、おねーちゃんの方が蔵馬、自分は飛影という設定の、やおいイメージプレイ。
岡:その最中もね、「飛影はそんな事言わない」っておねーちゃんの方から細かいチェックが入る。
と、変わったビデオの紹介をする流れで、「飛影はそんな事言わない」というフレーズが出てきたのでした。
それで、
『幽遊白書』の飛影好きの女性が出演したアダルトビデオがある
女性の趣味に合わせて、男優が飛影だという設定で絡んだ
その最中に、女性が「飛影はそんな事言わない」とダメ出しした
この話のうち、1と2は本当なのですが、紹介されているビデオを実際に見ると、3のシーンはありません。
本当は、「飛影はそんなこと言わない」とは言ってないのですよね。
![](https://assets.st-note.com/img/1645291887304-Dv6yWw6TJh.png)
この時点で、岡田斗司夫さんの記憶の中にあるビデオの内容が、実際の内容と違っていたようです。
補足:岡田斗司夫さんの紹介と、実際の内容の違い
ビデオについてのオタクアミーゴスの紹介は、大筋ではだいたい合ってるのですが、細部は色々と違っていました。
たとえば、岡田斗司夫さんによる、次の発言。
「飛影はそんな事言わない」っておねーちゃんの方から細かいチェックが入る。「幽助が見てるぞ」「違う違う。幽助は見ない」とか(笑)。
実際のビデオでは、「幽助が見てるぞぉ~~~~」という男優さんに、女性が「ううん、これ誰も見てない。俺たちだけの……世界だって」と答えています。
それから、岡田斗司夫さんによる、次の発言。
撮影は終わるんだけど、おねーちゃんの方が空想の世界から帰って来れなくなっちゃうの。
「もう俺たちは別れない。一心同体だ」とか言い出すもんだから、スタッフの兄ちゃん焦っちゃって、「ダメだ。霊界の門はもう閉じようとしている」「お前と同じ世界にはいられないんだ」とか、適当にごまかしてハイおしまい(笑)。
「もう俺たちは別れない。一心同体だ」というような発言は実際のビデオにはなく、「帰って来れなくなっちゃう」という感じでもありませんでした。
ビデオでは、スタッフが「オレ、眠くなってきたよ」と強引に終わらせようとしたところ、女性が「じゃあ、いっしょに寝ようか」「おちち吸いながら寝てもいいぞ、飛影」と引き止めていました。
(蔵馬はそんなこと言わない)
それに対してスタッフが、「わかるだろ。この世界ではここまでなんだよ。今度、どこかの世界で、ほんとに、男と女となって、生まれ変わって、出会ったら、ほんとに愛し合おう」などと、適当なことを言って誤魔化します。
この即興で考えた言い訳が、『幽遊白書』の前に冨樫先生が連載した『てんで性悪キューピッド』のラストに少し似ているのを評価したいです。
……という感じで、だいたいの雰囲気は合っているのですが、細部のストーリーは岡田斗司夫さんの脳内で補完・増量されているようでした。
ざっくりとした流れ
撮影時期も重要かも知れない件
ビデオの内容を信じるなら、問題の撮影が行われたのは1994年8月21日だったそうです。
![](https://assets.st-note.com/img/1645357526117-Vg4Uosas98.png)
だとすると、1994年7月25日に『幽遊白書』の連載が終了した1か月後くらいの出来事になります。
ビデオの中でも、女性が「なんか終わっちゃって」などと話していて、時期的な矛盾はなさそうです。
天候なども一致しますし、日付は本当っぽく思えます。
※ネットでは、撮影場所が女性の自宅だったという記述もありますが、実際にはスタッフが借りた旅館でした。
そもそも、この撮影は、女性がアダルトビデオの制作会社に「処女喪失ビデオに出演したい」と応募したことから始まったのですが……。
そのタイミングでAVで処女を捨てようと思い立ったのだとしたら、その行動が『幽遊白書』の突然の連載終了と無関係とは考えにくいという気もします。
少なくとも、撮影日の時点では、大好きだった漫画がいきなり終わったショックは確実にあったハズです。
※そういう流れからの話ではないのですが、女性はビデオの中で「飛影のこと忘れちゃうのがイヤなの」とも語っていました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?