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最近の『キャプテン翼』は少し面白い

更新が滞っており、本当に申し訳ございません。
本日から4月30日まで毎日更新する予定です。

今日は、最近の『キャプテン翼』の話をさせていただきます。
たぶん、「昔の漫画やアニメは知ってるけど、細かいことはよく覚えてないし、最近の展開は追ってない」という方が多いかな……と想像しており、そういう方向けに書いたつもりです。

最新シリーズまでのネタバレが含まれます。


以下、『キャプテン翼』のストーリーの流れについて

1980年代に一世を風靡した『キャプテン翼』ですが、最近どうなっているのかは、微妙に知られていないと思います。
なので、おおまかな流れだけ、簡単に書いてみようと思います。

(ちょくちょく独断と偏見が入るので、ご注意ください)


『キャプテン翼』

(無印。1981年~1988年。全37巻)

『週刊少年ジャンプ』に連載した、シリーズ最高傑作。
日本のサッカー人口を大幅に増やし、たぶん1992年のJリーグ設立にも大きく影響しました。

大きく3パートに分かれています。

【小学生編】
翼・岬・若林を擁する南葛が、小学生の全国大会を勝ち進む話。
(設定上、主人公チームが強すぎるため、若林は決勝戦のみ出場
日向・若島津・三杉・松山・立花兄弟・中西といったライバルとの戦いで盛り上がりました。

みずぎくん

心臓病なのにサッカーをして死にかける小学生

【中学生編】
翼がチートすぎて、もはや国内に敵がいないという設定。
岬・若林は国外に行って、翼自身も怪我で本調子ではないというハンデ戦で中学生の全国大会を勝ち進みます。

新田・早田・次藤・佐野といった新ライバルが登場。
翼のドライブシュート、日向のタイガーショット、立花兄弟のスカイラブハリケーンなど、必殺シュートで盛り上がりました。

ころs

相手が心臓病なら蹴り殺せと指導する大人

【ジュニアユース編】
これまで登場したライバルたちと「日本代表チーム」を結成して、各国代表との大会を勝ち進む話。
若林は強すぎるので、決勝戦のみ出場
イタリアのヘルナンデス、アルゼンチンのディアス、フランスのピエール、ドイツのシュナイダーといった海外のライバルが登場しました。

それから、翼の彼女にボクサーがコナをかけてきたので、人体をシュートして骨を砕きます。

シュート

サッカーvsボクシングの決闘

そして翼はプロになるためにブラジルに飛び立ち、物語は完結。
この漫画の影響で、日本サッカー界は大きく発展していくことになります。

作者の師匠である平松伸二先生は、「師匠のオレを追い越すんじゃねえエエエ~~~~ッ!! バカヤロオオオオ~~~~!!」と賞賛しました。

負けだ⋯

『そしてボクは外道マンになる』第3巻


『キャプテン翼 ワールドユース編』

(1994年~1997年。全18巻)

『キャプテン翼』の完結後、作者はテニス漫画・野球漫画・ボクシング漫画を描きますが、あまりうまくいきませんでした。
特にテニス漫画は、キャプ翼に続くヒットを期待されたのですが……。

翔の伝説

壮大な構想で幼少編から描き始めたのに人気が出なくて、「半生を描いた物語」なのに小学4年生の途中で打ち切りとなりました。

そんなこんなで、結局『キャプテン翼』の続編を描くことになって、『週刊少年ジャンプ』に戻ってきたのが『ワールドユース編』です。

内容としては、翼たちがU-20の世界大会を勝ち進む話。
葵・赤井などの新メンバーも追加されます。

この世界の日本はフルメンバーだとメチャクチャ強い設定なので、話を盛り上げるため、若林や岬が出場しないハンデ戦が多かったです。
一次予選では監督が余裕ぶっこいて、若林・若島津・日向・岬・次藤・早田・立花兄弟・新田がいない状態で参加したら、普通に負けそうになったのでした。

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主力を出さなかったら前半で3点リードされたクソ監督の図

それから、サウジのオワイラン、中国の肖、メキシコのエスパダス、ウルグアイの火野、スウェーデンのレヴィンなど、ひたすら新ライバルと戦っていきます。
新キャラを引き立てるために、前作で強敵だったフランスやドイツが踏み台にされたことが、読者には不評でした。

結局、ずっと微妙なまま打ち切りが決定したので、準決勝のオランダ戦は2ページで終了。決勝のブラジル戦も短くまとめました。
(このシリーズで、翼の同世代で最大のライバルとなる、ブラジルのサンターナとナトゥレーザが登場しました)

『キャプテン翼 ROAD TO 2002』

(2001年ごろ~2004年。全15巻)

その後は、『ヤングジャンプ』で『キャプテン翼』の続きが描かれることになりました。
主に翼・若林・日向の海外プロ編となります。

【翼】
スペインのリーガエスパニョーラ、バルセロナに入団。
同じチームの先輩であるリバウールとのポジション争いに負けますが、なんやかんやで大活躍。プロの大舞台でナトゥレーザとの対決が描かれます。

【若林】
ドイツのブンデスリーガ、ハンブルグで活躍。
シュナイダー&レヴィン&肖を擁するミュンヘンとの対決が描かれますが、キーパーなのに自軍ゴールを空っぽにして敵陣までダッシュしてシュートしたことが原因で監督の信頼を失い、干されます。

【日向】
イタリアのセリエA、ユベントスに入団。
しかし、セリエAでは通用せず、セリエCのチームに都落ち。ユベントス復帰を誓います。

気合たけし

翼・若林・日向以外はJリーガーになります

そいで、最終的には「バルセロナの翼」「ミュンヘンの若林」「ユベントスの日向」がチャンピオンズリーグで激突する……というのが、今後描かれる『キャプテン翼 チャンピオンズリーグ編』の基本構想だと思われます。

『ROAD TO 2002』が終わった時点で、作者は43歳。
このあと、『チャンピオンズリーグ編』で小学生以来の翼vs若林の対決を描いてから、『ワールドカップ編』で再集結した翼・若林・日向が優勝して、物語は大団円を迎えるのだろう……。

そんなふうに考えていた時期が、私にもありました。


『キャプテン翼 GOLDEN-23』

(2005年~2008年。全12巻)

しかし、その続きとして『ヤングジャンプ』で連載が始まったのは、オリンピック編でした。
23歳以下+オーバーエイジ枠の世界大会なのですが、すでに「U-15編」と「U-20編」をやっているのに、「ワールドカップ編」の前に「U-23編」まで挟む意義があるのか、個人的には疑問です。

とにかく、作者の40代・50代の多くの時間は、オリンピック編に費やされることになりました。

この世界の日本はメチャクチャ強い設定なので、例によって、予選はハンデ戦となります。
監督が余裕ぶっこいて、翼・日向・葵を招集せずに参加したら、普通に負けそうになったのでした。

ぜつぼうのふち

主力を出さなかったら自力出場の可能性が消えたクソ監督の図

そうして、本来なら余裕のアジア予選で、オーストラリアに3点差勝利が条件となってしまい……。
やむを得ず「使うだけで危険な必殺技」の封印を解いた立花兄弟が大怪我をしてリタイヤという事態になってしまいました。

これについては、当時の「ちゆ12歳」でも、ちょっとひどすぎると書きました。

たぶん、全作通して一番のクソが『GOLDEN-23』だと思うのですが、とにかく、日本がオリンピック本戦出場を決めたところで次に進みます。


『キャプテン翼 海外激闘編』

(2009年~2012年。全8冊)

それからしばらくは、予選に招集されなかった海外組のターンになりました。
このエピソードはクソではないと思いますが、味がしないという印象です。

大きく「日向編」と「翼編」に分かれており……。

【海外激闘編 IN CALCIO 日いづる国のジョカトーレ】
セリエC優勝・セリエB昇格などをかけた、日向のチームと葵のチームの試合。特に見どころはないです。
ただ、他球場の試合結果が昇格に関わるところ、決着が付いたあとに「他球場の試合結果が誤情報だった」と判明してハッピーエンドになるのがヒドかったです。

【海外激闘編 EN LA LIGA】
『ROAD TO 2002』から描いてきたスペインのリーグ戦の終盤。優勝を争う翼(バルセロナ)とナトゥレーザ(マドリッド)の直接対決を描きます。特に見どころはないです。

ただ、その試合をミカエルという新キャラが観戦しており、サッカーボールでセグウェイしたり、試合中に天使化して降臨してくるのは面白かった気もします。

てんしか

ナトゥレーザ「えっ」

あと、ミカエルが早苗ちゃんを見ただけで双子を妊娠していると見抜くシーンも、クッソ気色悪いですね。

なお、この『海外激闘編』だけなぜか電子化されていないのが、集英社の謎です。
(新刊も流通しておらず、現状では、漫画喫茶やブックオフを利用しないと読めません)


『キャプテン翼 ライジングサン』

(2014年ごろ~。現在15巻で、連載中)

結局、リーグ戦はバルセロナが優勝して、大きく貢献した翼はリーガエスパニョーラMVP(!)に選ばれました。
そうして海外組(翼・日向・若林)が日本代表に合流してオリンピック本戦が描かれるのが、最新作『ライジングサン』となります。

2021年4月現在は、決勝トーナメントの1回戦が終わったところ。
あとは、準決勝でミカエル、決勝でブラジルと対戦して、長かったオリンピック編が終わる予定です。

……といっても、オリンピック編が終わるまで、早くてもあと5年はかかりそうです。
現在、作者は60歳。当然、執筆ペースは遅くなっていきますし、翼の夢であるワールドカップ優勝は実現しない可能性が高くなってきました。

※外野の皮算用
ざっくりですが、完結までにあと6回は大きな試合があります。

・オリンピック準決勝:日本vsスペイン
・オリンピック決勝:日本vsブラジル
・チャンピオンズリーグ:バルセロナ(翼)vsサンジェルマン?(岬)
・チャンピオンズリーグ:バルセロナ(翼)vsユベントス(日向)
・チャンピオンズリーグ:バルセロナ(翼)vsミュンヘン(若林)
・ワールドカップ決勝:日本vsブラジル

ほかはすっ飛ばして、これだけを描けば、80歳までに完結できる可能性があるかも? という気がします。
(いちおう、いまは「1年に2巻+たまに長期休載」くらいのペースで描いています)

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