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ジャンプの『AT Lady!』が、連載は10週なのに単行本では全16話くらいになっている件の解説
10月27日から10月31日は毎日更新予定です。
打ち切り作家と打ち切り作家の悪魔合体
『AT Lady!(オートマティック レディ)』は、『週刊少年ジャンプ』の1989年52号から連載したギャグ漫画です。
![](https://assets.st-note.com/img/1635408647214-k6bYBQbh9b.png)
これは岡野剛先生(当時はのむら剛先生)の初連載で、絵が可愛くて好きだったのですが、10週で打ち切られてしまいました。
その後、真倉翔先生が『天外君の華麗なる悩み』という漫画を連載して、16週で打ち切られます。
![](https://assets.st-note.com/img/1635409174861-eMbbNcukv1.png)
これも個人的には好きでしたが、絵柄で損をしている面があったかも知れません。
そして、1993年。
『天外君』(16週)の真倉先生が話を作って、『AT Lady!』(10週)の岡野先生が作画するという、26週パワーズが結成されました。
![](https://assets.st-note.com/img/1635409493576-qC6sj8E80q.png)
そうして作られた『地獄先生ぬ~ぼ~』という読切は成功。
まもなく連載化されて、テレビ朝日系で土曜19時30分からのアニメが1年間放送されるなど、大ヒットしました。
なお、連載化にあたって、タイトルが『地獄先生ぬ~ぼ~』から『地獄先生ぬ~べ~』に変更されたのですが、
![](https://assets.st-note.com/img/1635409730739-6AH5q9opLc.png)
「ぬ~ぼ~」だと森永のお菓子とカブるのを避けたと思われます。
(このお菓子、当時は大人気でした)
![](https://assets.st-note.com/img/1635410033295-GT1Pl3uMwh.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1635410114117-APNY2xZmcQ.png)
個人的には、読切の「ぬ~ぼ~」の印象が強かったので、連載が始まってもしばらく「ぬ~べ~」に慣れなかった記憶があります。
(正直、いまでも「ぬ~ぼ~」の方がしっくりくる感覚があって、最初の印象って強いなと思います)
ともあれ、『ぬ~べ~』は岡野剛先生の代表作となり、『地獄先生ぬ〜べ〜NEO』だの『地獄先生ぬ~べ~S』だのが2021年まで描かれています。
『AT Lady!』の経緯
さて、そんなヒット作家・岡野剛先生の処女作が『AT Lady!』でした。
岡野剛先生は最初、この作品を新人賞に応募。(第28回赤塚賞)
![](https://assets.st-note.com/img/1663357828631-xmgXOdYIXS.png)
秋本治先生「アイデア・絵・テンポとも、かなりの高水準だと思う」
永井豪先生「盛りだくさんのアイデアと快調なテンポが良い。画面がニギやかなのに絵が見やすく面白い!」
といった審査員の評価を得て、入選。
その受賞作が、いきなり『週刊少年ジャンプ』本誌に掲載されたのでした。
(1988年33号)
※赤塚賞の入選は現在まで6人だけで、よほどのことがないと選ばれません。
それから、増刊号に読切が2回掲載。
![](https://assets.st-note.com/img/1635412726581-4Nd773bzuz.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1635412761372-8gZ5WiHC4W.png)
と、「再び登場」「またもや登場」の読切も評判が良く、1989年11月から、本誌での連載が始まったのでした。
![](https://assets.st-note.com/img/1635423112681-EfxqJS6VHn.png)
と、赤塚賞から3度の読切掲載を経て、満を持して始まった期待の新連載という感じでした。
なお、連載版は「読切の続き」ではなく、読切とは別の世界線の物語となっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1635424489999-nKBPSzsKnL.png)
そして10週後、
![](https://assets.st-note.com/img/1635424638401-ZC1EwofQ3l.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1635424279209-F0JCWnKu0v.png?width=1200)
結局、「読切は評判よかったのに」のパターンで終わってしまいました。
これがなぜダメだったのか、私にはよく分かりません。
(ジャンプの子供向けギャグ漫画にしては、かわいい女の子を前に出しすぎて男児に支持されづらかったとか…? 1週違いで始まった『電影少女』は高年齢層の読者に人気が出ているのですが、『AT Lady!』はギャグが子供向けで、高年齢層に支持される感じでもありませんでした)
『AT Lady!』単行本の構成
この時期の打ち切り漫画は、連載が終わってから単行本が出る感じになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1635424943036-hlLYp2zQyD.png?width=1200)
10週打ち切りだと全1巻になることもありますが、『AT Lady!』は連載10話分に「+α」を加えた全2巻で発売されました。
![](https://assets.st-note.com/img/1635449631650-j9Basedj5W.png)
と、単行本のカバーには、「本誌読切」「増刊読切×2話」「本誌連載×10話」が初出だと表記されています。
それ以外に「書き足し」もあって、単行本では全16話みたいな構成になっています。
基本的には、読切版のエピソードも連載のストーリーの流れに組み込んで再編。ひとつながりの16話にまとめ直した感じです。
(たとえば、最初に赤塚賞に入選した読切は、連載7話の次の時系列の話となっています)
その構成が少し複雑で、当時『ジャンプ』を読んでいた人でも、元はどういう構成で、単行本でどう変わったのか、分かりにくいと思います。
てことで、自分用にまとめてみたところ、だいたい次のような感じで……。
![](https://assets.st-note.com/img/1635427028801-GJBKapyihR.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1635427894809-l4J0SK2oj6.png)
上の画像で「書き足し」としたところが本当に描き下ろしなのか、ちょっと自信がなくて申し訳ないです。
(私が何か忘れていたらごめんなさい)
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