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忍空の作者「技の名前は担当に考えてもらってました」「忍空狼の設定も俺は全然考えてない」

前置き

『忍空』は、1993年~1995年に『週刊少年ジャンプ』に連載した漫画です。

1995年にテレビアニメ化されて、土曜の18時30分から、フジテレビ系で1年ほど放送されました。

アニメディア 1996年1月号

連載当時は、電車の中で『忍空』を読みながら窒息するほど笑い転げる小学生を見かけたこともあります。

アニメはオリジナル要素が強いのですが、わりと評判は良かった印象です。

視聴率もまあまあ(1995年11月13~19日のビデオリサーチ調べ)

当時、『忍空』は「ジャンプの人気作品のひとつ」になっていて、もしも順調に続いていたら、90年代後半まで『るろうに剣心』に次ぐくらいのポジションにいたかも知れません。

しかし、『忍空』は長期連載化せず、80話くらい(単行本全9巻)で『週刊少年ジャンプ』誌上から姿を消しました。

今日は、その辺りの話をしてみます。

 

『戦国甲子園』

『忍空』の作者・桐山光侍先生の初連載は、『ジャンプ』ではなく『サンデー』でした。

少年サンデーコミックス『戦国甲子園』

最初は、『週刊少年サンデー』の増刊号(月刊)で連載開始。
それで人気が出たらしく、1991年の1月増刊号~7月増刊号まで連載したところで、本誌移籍が決定します。

週刊少年サンデー 1991年7月増刊号

「桐山光侍、下剋上すべく週刊少年サンデーに討ち入ります!!」ということで、打ち切りならぬ討ち入りでした。

週刊少年サンデー 1991年33号

と、『サンデー』本誌での週刊連載が始まります。

この頃の『サンデー』はこんな感じで、

週刊少年サンデー 1991年43号

主要連載は、『らんま1/2』『YAIBA』『うしおととら』『GS美神』『今日から俺は!!』などなど。
あだち充先生は『虹色とうがらし』、久米田先生は『南国アイスホッケー部』、池上遼一先生は『王立院雲丸の生涯』を描いていました。

この戦場に討ち入った『戦国甲子園』でしたが、残念ながら伸び悩み、1年未満で終了となります。

週刊少年サンデー 1992年27号

「戦国甲子園~九犬士伝説~ 完」。

 

単行本打ち切り

『戦国甲子園』に関する注意点は、単行本が最後まで出ていないことです。

単行本の1巻~2巻が、増刊に連載した部分。

2巻ラスト

3巻以降が、『週刊少年サンデー』本誌の連載部分になるのですが……。

3巻スタート

6巻まで発売されて、そのラストはこうなっています。

6巻ラスト

このシーンは、『週刊少年サンデー』1992年21・22合併号に掲載された、本誌連載37話のラストです。
その後、1992年23号~27号にかけて38話~42話(最終話)が掲載されたのですが、そのラスト5回は単行本化されていません。

なので、「単行本派」の読者は、先ほどの「戦国甲子園~九犬士伝説~ 完」のページまで辿り着かず、「セ… セーフ!!」のページで止まったままになっています。

連載が終わった時点では、単行本は3巻まで出ており、4~6巻は連載終了後に発売されました。
そして、なぜか最終7巻だけ発売されなかったという、竹書房レベルのブン投げ放置になっています。

 

『忍空』

『戦国甲子園』の後、桐山光侍先生は『サンデー』を離れて、『ジャンプ』で描くようになります。

移籍の経緯について、『コミック☆フィギュア王』のインタビューでは、桐山先生はこう仰っていました。
「一番部数多かったし、ちょっとジャンプってものを経験してみたかったんですよ。じかに訪ねて行って、『描いてみたいんですけど』と

そして、『週刊少年ジャンプ』の1993年1月14日増刊(WinterSpecial)に読切を描いたところ、その本誌連載が決まります。

1993年24号

今度は討ち入りではなく、殴り込みでした。(なぜか編集者に暴力的なイメージを持たれている桐山光侍先生)

1993年26号

と、1993年6月から『忍空』の連載が始まりました。

 

主人公のデザイン

『忍空』の主人公・風助ふうすけのデザインは、『戦国甲子園』の壮助というキャラが元になっています。

『戦国甲子園』の壮助(5巻)

壮助は伊賀の忍者なので、基本的に「イガ」としか喋りません。
おおむね『ドカベン』の殿馬みたいな立ち位置でした。

以前の記事で触れたのですが、他誌で連載したときの脇役が『ジャンプ』で主役化した類例には『ついでにとんちんかん』があります)

週刊少年チャンピオン 1981年46号
週刊少年ジャンプ 1985年14号

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