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1970年のハレンチ少年漫画『くたばれ!! ボイン』

『くたばれ!! ボイン』とは

1970年、『デラックス少年サンデー』で『くたばれ! ボイン』という漫画が始まりました。

作者は太田康介(おおたやすすけ)先生

掲載誌について
・『デラックス少年サンデー』の1970年5月号から連載
・1971年4月号から、雑誌名が『別冊少年サンデー』に変更
・『別冊少年サンデー』の1971年12月号で最終回。(全20話)

単行本化されてない50年前の漫画で、連載したのがサンデー本誌でもないということで、当時の読者以外は、ほとんど知る機会のない作品だと思います。

※同じ作者が『別冊少年サンデー』の1973年1月号~1974年3月号に連載した『悪魔学園』は単行本化されていて、その「巻末短編」として『くたばれ!! ボイン』の第1話だけが収録されています。

 

タイトルの変遷

1970年5月号~7月号(第1話~第3話)は、『くたばれ! ボイン』というタイトルで掲載。
1970年8月号(第4話)から「!」がひとつ増えて、『くたばれ!! ボイン』になりました。

扉絵で女の子たちの髪を刈る主人公

「!」が増えた意味は不明ですが、作者の怨念が増えたのかも知れません。

この扉絵で着用しているシャツの文字は「くたばれボイン!!」
第7話の扉ページのタイトルロゴは『くたばれ!! ボイン!!』表記でした。

その後、1975年に『悪魔学園』3巻に収録されたものでは、「!」が消えて、ただの『くたばれボイン』になっていました。

意味は不明ですが、作者の怨念が晴れたのかも知れません。

整理すると、

・1~3話:『くたばれ! ボイン』
・4~20話:『くたばれ!! ボイン』(7話扉のみ『くたばれ!! ボイン!!』)
・別漫画の巻末短編として1話のみ収録:『くたばれボイン』

という感じでした。
……なので、この漫画の話をするときに「!」をどうするか悩むのですが、いちおう、今回は『くたばれ!! ボイン』表記を基本としてみます。

 

第1話

てことで、『くたばれ!! ボイン』がどんな漫画だったのか伝えさせて欲しいです。
(以下、漫画の内容のネタバレが含まれます)

連載開始は1970年5月号で、時期としては、ジャンプの『ハレンチ学園』が大ヒットしていた頃。

週刊少年ジャンプ 1970年28号

近い時期のハレンチ少年漫画には、『モーレツ先生』『あらし!三匹』などがあります。

1969年12月発売の歌笑曲『嘆きのボイン』が大ヒットして、少年たちに「ボイン」という言葉が流行した影響も入っているでしょう。

物語の主人公は、団くんという少年。
彼が転校してきた学校は、圧倒的に女性上位で、男子生徒たちは虐げられていました。

女性が「社会的強者」になっている環境を舞台にしたハレンチ作品というのは、のちの『やるっきゃ騎士』や『聖奴隷学園2』に連なるもの。
男のスケベ行為が「上位者への反逆」として少し正当化されるという、まあまあ卑怯な設定だったりします。

「無抵抗のおとなしい女子にスケベ主人公がセクハラを繰り返す」とかだと、少年漫画として成立させにくいのですよね。
なので、こういうハレンチ漫画では、女性側も強くされがちです。

『くたばれ!! ボイン』のヒロインであるアタックのマリも、「から手二段のすごいやつ」という設定でした。

と、転校してきた団くんも、アタックたちにボコボコにされて、全裸に剥かれて捨てられてしまいました。

この雪辱を果たすため、団くんは、アタックに決闘を申し込みます。
幸いにも、彼女は毛虫が苦手という情報をゲットしたので……。

決闘の直前に毛虫を生で食べるところを見せつけて、相手の戦意を喪失させるという頭脳的な作戦で勝利。

アタックをパンツ一枚まで脱がして、「やったあ、あにき!」と大喜び。

かくして、学校は男性上位になってメデタシメデタシという話でした。

 

■「モーレツ」について
1969年、風でスカートが舞い上がった女性が「オー、モーレツ」と言うテレビCMがヒット。
小学校などで、スカートやズボンをめくって「モーレツ」と言うのが流行りました。

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