『新約「巨人の星」花形』の思い出
前置き
2006年、『週刊少年マガジン』で『新約「巨人の星」花形』という連載が始まりました。
『週刊少年マガジン』の過去の大ヒット作『巨人の星』のリメイク版という企画です。
普通に野球漫画の新連載が始まるより、「巨人の星リメイク!」という触れ込みで、話題性はありました。
そして結局、『花形』は4年ほど連載したところで、2010年に終了。
連載期間はそれなりですが、特にメディア展開などはありませんでした。
原作の『巨人の星』は、全19巻のうち4巻で高校編までが終わり、5~19巻がプロ野球編。
それをなぞった『花形』は、全22巻で高校編までやって、プロ野球編はありませんでした。
私の勝手な印象だと、『花形』は大コケではなかったのですが、それなりに猶予をもらった上でブレイクの兆しは見えず、この辺りが潮時という感じの終わり方をしたように見えました。(※勝手なイメージです)
ただ、漫画の最後には「完結まで辿り着かせていただいた事を関係者、および読者の皆さんに感謝します」とあって、作者としては、完結まで辿り着いたという扱いになっているようです。
「完結まで辿り着かせていただいた」について
単行本最終巻の作者コメントによると、
ということでした。
しかし、そもそも『巨人の星』の花形というキャラは、努力型主人公のライバルとして活躍した金持ちイケメンだったわけでして。
そういうキャラクター性がいまの『マガジン』と合わないから避けたいということでしたら、「花形を主人公にしたスピンオフ」を企画した意味自体がよく分かりません。
(まあ、花形が「天才型」なのは確かですが、それは水面で足を蹴っている白鳥であり、努力しないキャラでもなく……というのはさて置くとして)
人気キャラの花形を主役にしたスピンオフという企画で、花形みたいなタイプは反感を買うので主役にしたくないというのが謎です。
単純に考えるなら、ほかの努力型のキャラを主役にした企画として考え直すというのが、まっとうな解決方法のような気がします。
しかし、とにかく「花形を主役にしたスピンオフを描くこと」は決定事項だったらしいです。
それで一応、「花形を主役にすること」と「花形を主役にしないこと」が両立したわけですね。
(私には、「花形が主人公のスピンオフ」を企画した人と、それを描く漫画家の意図が噛み合っていなくて本末転倒しているように聞こえます)
と、そこまでして無理矢理「花形が主人公のスピンオフ」をやることの意味は、私には理解できませんでしたが……。
とにかく、「原作の花形になるまでの話」というコンセプトだったのなら、高校編の終了で「完結まで辿り着いた」ということで良いのかも知れません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?