あらしのエース(病魔球のやつ)の作者が50年前にジャンプで15週打ち切りになった『夜明けのタテガミ』
前回のちゆライブ!
1975年の野球漫画『あらしのエース』は、打者をガンにする魔球「病魔球」などで有名です。
その作者のいけうち誠一先生は、1970年に『週刊少年ジャンプ』で連載経験がありました。
それは、日本に帰りたい一心で極寒のシベリアをさまよう気の狂いかけたオッサンをめぐって、2匹のワンちゃんが殺し合う物語でした。
その漫画『シベリアの牙』は10週打ち切りになってしまって、1970年16号で終了。
しかし、同じ年の33号で、次回作の連載がスタートしました。
これも15週で打ち切られて、いけうち誠一先生の『ジャンプ』での最後の連載となってしまいます。
てことで、前回の補足的な話になるのですが、この『夜明けのタテガミ』がどんな漫画だったのかも書かせてください。
当時のジャンプ連載陣
当時の『週刊少年ジャンプ』は、こんな感じでした。
『男一匹ガキ大将』が、『ドラゴンボール』や『ワンピース』のようなキラーコンテンツになります。
カルトな人気の高い『ワースト』もこの時期の連載でした。
タテガミ登場(1~4話)
『夜明けのタテガミ』の舞台は、明治のはじめごろの北海道。
主人公は、タテガミという名前の白い狼犬です。
「じぶんが犬なのか 狼なのか タテガミ自身もまよってる」という設定で、昼は犬として、アイヌのオットーさんに飼われています。
「犬なんてぶんなぐらなきゃわからねえ」
しかし、夜は山に行き、狼の群れのボスをやっています。
バウリンガル
この二重生活がどのように成り立っているのか、あまり説明がなくて分かりません。
とにかく、犬だからDNAレベルで人に飼われたいという設定で、棒で叩いてくるオッサンを主人にしています。
(この「犬の血」の設定は前作『シベリアの牙』と共通です)
そうして、オットーさんの息子を助けるためにクマと戦ったりするタテガミでした。
さすがにクマには勝てないのですが、どうにか子供を守り切ります。
タテガミ、売るよ!(5~6話)
それから、猪吉という男が現れて、タテガミを自分のものにして金もうけをしようと考えます。
「来週はとうとうタテガミをオレのものにできる」「そう池内誠一に書けって おどしといたんだから!」
ということで猪吉が考えたのは、飼い主のオットーさんをアル中にしてしまうという作戦でした。
と、毎日のように酒をおごって……。
良い感じに依存させたところで、回収ターンに移行します。
友情・努力・勝利を踏みにじる酒の力。
かくして、タテガミは猪吉の飼い犬となり、根室へ連れて行かれるのでした。
かわいそう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?