姿を消した小鳥たち、その訳は?【生命の物語】
変動する野鳥たちの生息場所
ナイロビは都会にも限らず緑が生い茂り、野鳥たちのパラダイスだ。
ところどころに木々が生い茂り、野鳥に限らずサルたちも多く生息している。
多くの鳥の種類が見られるナイロビ
場所は、ナイロビの都市に隣接したナイロビ国立公園、筆者含め、バードウォッチャー3人で双眼鏡片手に、朝早くから暗くなるまで何種類の鳥たちを識別できるかチャレンジした事がある。
たった一日で、合計144種類の野鳥を数えた。
それほど、野鳥の豊かな都市なのだ。
僕はバードウォッチングが好きで、以前は、泊りがけで仲間とバードウォッチングに出かけたりしたほど。
1998年にタンザニアに留学していたころから、アフリカの鳥たちに興味を持ちだしてバードウォッチングを続けている。
こちらでは、シリアスなバードウォッチングの事をバーディングという。
つい数ヶ月前からの話であるが、家の周囲の野鳥たちの様子がおかしい。
それ以前は、家の窓からも多くの野鳥が観察され、朝はさえずりが騒がしいほどに賑やかで、毎朝心地よい騒がしさで目を覚ましていたのだが。
ある日を境に、小鳥たちの声が、ほとんど聞こえなくなったのだ。
巣作りをしていたハタオリドリたちも、ネズミドリたちも、まるっきり姿を消してしまった。
そんな数多く見られていた野鳥が、ほとんど見られなくなってしまったのだ。
なにかとんでもない一大事が小鳥たちに起こっていた。
人為的な介入によるものだろうか?
さて、原因は何だろう?
原因は、家に隣接する木に、アフリカツミが繁殖、営巣を始めたから
アフリカツミはハト程度の大きさの猛禽類。
サイズは小さいが、とても俊敏で小鳥たちを獲物として捕まえて食べる、列記とした猛禽類。
小鳥たちのコミュニティ、どこに自らの命を危険にさらすようなやばいやつがいるのかも、情報伝達はしっかりと伝わっている。
小鳥たちにとって、目の前の木の上でツミが繁殖されてはたまったものではない。
いつ襲われ、アフリカツミの雛たちの餌とされてしまうか知れたものではない。
当然のことながら、生きるために小鳥たちはみな、どこか安全な場所へと疎開に出かけたのであった。
それが理由で、家の周囲から小鳥たちがほとんど姿を消してしまったのであった。
そんな小鳥たちにとってお騒がせの、アフリカツミの雛たちは大きく成長し、つい1ヶ月ほど前に無事に巣立って行った。
それ以来、アフリカツミたちの姿は見かけていない。
小鳥たちにとっての大きな脅威はなくなった。
なかなか戻ってこない小鳥たち
ツミたちが去った後も、なかなか小鳥たちは戻ってこない。
小鳥たちは、相当にツミの事を警戒しているようだ。
姿は見えぬが、木の陰に隠れたツミが、じっと自らの命が狙われているかもしれない。
アフリカツミは、サイズも小さく、隠れている彼らの姿は、小鳥たちにとっても見つけるのは容易ではない。
そんなツミがいて繁殖していた場所、おっかなくてなかなか近づけないのだろう。
目の前で、仲間が、なすすべもなくツミに襲われる姿を、何度も目撃してきたはず。
小鳥たちは注意深く、少しずつ戻ってきているが、相当に警戒しているのが見て取れる。
まだまだ、偵察に来ているにとどめているようだ。
小鳥たちにとって猛禽類は、人間たちの存在よりも、直接命にかかわる脅威。
身近な自然の中でも、めまぐるしく変化を続ける鳥たち生態。
ナイロビの都会のど真ん中でも、こんな生き物たちの鬩ぎあいが間近に見られるのだ。
日本の公園でも数を増やしている猛禽類、オオタカ。
オオタカが来る前はカラスたちの楽園だった都会の公園も、オオタカが来て以来、肩身が狭くなったカラス君たち。
絶え間なく変化を続ける生き物たちの生態。
僕らが住む都会の中でも、いまこの瞬間も、絶え間ない生きるための戦いが繰り広げられている。
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