ダン・ブラウン『オリジン』を読んで

ネタバレ注意です。



この作品では、「われわれはどこから来たのか、われわれはどこへ行くのか」というゴーギャンの作品から、人間や命というものがどうやって出現したのか、そしてこれから人間はどうなっていくのかという難しい問いかけをしてくる。そしてそれに一つの答えを提示してくれる。
私は特に「我々はどこからきたのか」に興味を惹かれた。

この世の全てのものはエントロピーの法則によってバラバラになっていく。そのバラバラになろうとする力が効率を目指した結果、生命を作り出したという説だ。
私たちは呼吸をし、食事をし、排泄し、増えていく。その中でいろんなものを分解していく。
バラバラにするために生きているというその説は、人生に意味を見出せずにいる私にとって衝撃だった。
私は法則のために生まれたのか、と思った。
でも作中にもあるように、そのバラバラを目指していく法則自体は誰が作ったのか?そう考え出すと堂々巡りがはじまる。

話は飛ぶが、私たちは最終的にバラバラになってしまうのだから、何を残してもいずれは消えていく。なら凡人だろうが天才だろうが関係ないのだと思う。最近自分が凡人であることを受け入れられてきたけれど、何も成し遂げられないことにはコンプレックスがまだある。でもたった100年ぐらいの命なのだから何を成し遂げるにも限界があると思う。何を成し遂げなくても、私たちは役目を果たしている。

そう言ったことをバラバラと考えた読書だった。

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