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なぜ幸せ"志向"なのか?

「しこう」
と言っても、色んな漢字がありますよね。

今回は「志向」の言葉と意味に焦点を当てて、似ている4つの単語、それぞれの違いについて書いていこうと思います。

志向・指向・思考・嗜好の違い


志向とは


「志向」とは、「意識をある一定の対象へ向けること」「気持ちや考えがある方向へ向くこと」を指す言葉です。
「彼女は芸術家志向だ」「彼は上昇志向が強い」「出世より名誉を志向する」などのように使われます。「志」という字は、「ある方面を目指す気持ち」「目標」といった意味合いを持つことから「志向」はある目的や理想の実現のため、そちらへ意識や関心を向けることを意味しています。
「志向」という表記の特徴は、心理的・精神的な方向性を指しているという点にあります。物理的な方角を指すわけではなく、「心が向いている方向」「興味の引かれる方向」を指すのが、「志向」のポイントです。
この点は、後述するように「指向」との大きな違いとなります。

指向とは


「指向」とは、「ある方向へ向かうこと」といった意味の言葉です。また、特定の方向を指し示して、誰かをそちらへ向かわせることも言います。
「磁石の針は南北を指向する」「部隊は激戦地を指向して進んでいる」などのように使います。
「指向」と「志向」の違いは、それほど明確ではありません。「指向」には、「目的や目標に意識を向かわせる」といった、「志向」と同じ意味合いも含まれます。しかし、実際に使用する場合には、具体的・物理的なある方角を指して「指向」という言葉を用いることが多くなっています。「指向性マイク」や「指向性スピーカー」などという場合は、こうした意味での使い方になります。

ちなみに「性的しこう」という場合の「しこう」には、「指向」の字が当てられます。これは、「セクシャリティの自然な方向性」という意味合いです。「志向」だと「自ら進んで選ぶ」という意味合いになるため、この場合はふさわしくありません。

思考とは


「思考」とは、「考えること」といった意味合いの言葉です。思惟などとも呼ばれ、これまで得た知識や経験などを基にし、何かについて頭を働かせることを言います。
「思」も「考」も、どちらも「あるものごとについて、知識や経験から判断する」といったような意味合いを持っています。「思考を巡らす」「思考が乱れる」などのように使われます。
このように、「思考」は「ものごとに思いを巡らすこと」を指す言葉で、「志向」や「指向」のような方向性についての意味合いはありません。ですので、使われる場面もまったく異なったものになります。

嗜好とは


「嗜好」とは、「ものに対する好み」を意味する言葉です。ある分野の中で、特定のものを非常に好み、それに親しむことを指します。「嗜」の字は、「たしなむ」「好んで親しむ」などの意味があります。「嗜好品」「嗜好に合わない」「嗜好が変化する」などのように使われます。
「嗜好」という言葉は、さまざまな分野に使える言葉ですが、実際に使われる際には、特に飲食物についての好みを言うことが多くなっています。例えば、「魚料理は日本人の嗜好に合う」といった具合です。

「嗜好」はこのように、何かのもの(特に食べ物)を愛好する際に使われる言葉となっています。方向性を指す「志向」や「指向」、また考えを表す「思考」などとは、意味合いに大きな違いがあります。

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