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ああ、大人になるのが怖い。

……実家に帰っていた。
トイレのドアがキィと音を立てて開く。
息子が怖がっている。
ああそうだ、懐かしいな。俺もおばあちゃんちの床の軋む音にビビってたっけな。
そう思いながらドアの奥から射すトイレの灯りにハッとする。

息子なんていない。
ドアノブを握っているのは、俺だ。
俺は、、立ちながら夢でもみてたのか、、

それもしょうがないか、枕灯が必要ないくらい明るくなるまで起きてたんだもんな。
カーテンは全開。窓の外では水色一色の雲から大粒の雨がぼとぼと降っていた。
雨音がホワイトノイズと化す。
今日は、豪雨だ。

すごく怖い夢だった。
知らぬ間に何も出来ないままただのうのうと大人として生きている俺がそこにいたことが信じられない。信じたくない。

大人になるってことは、この世界に迎合することだから、
エアコンは止まってる。扇風機が首を振っている。
ああ、これ以上は進みたくないんだ。
時間の濁流から、僕だけでも救い出してくれないか神様。
それも出来ぬのなら僕はこの時間に留まって、溺れ死ぬのを待つのみだ。

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