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タイちゃん#3 Ruxolitinib vs ○○

5. Ruxolitinib vs allo-HSCT for MF

Maze D, et al. Upfront allogeneic transplantation versus JAK inhibitor therapy for patients with myelofibrosis: a North American collaborative study. Bone Marrow Transplant. 2024 Feb;59(2):196-202.

骨髄線維症へのallo-HSCTはDIPSS int-2以上のリスクの高い方やASXL-1などの変異を伴うint-1に対して行うのがよいとするコンセンサスが得られてきていると思います。

移植適応の方への移植前のruxolitinibを使う戦略は2つあると考えます。
1つは、移植までのbridging。もうひとつは、ruxolitinibが効いている間は内服継続とし、効かなくなってから移植を行う移植をdelayさせる方法です。

骨髄線維症への移植は、DIPSS int-2以上になり、allo-HSCTを行う方針となった時に、bridging的にruxolitinibを開始し、移植を行うのが理想的かと私は考えていました。Ruxolitinib投与で脾腫は縮小し、場合によっては線維化の改善も認めるとがあります。そのような状況で移植を行えた方が、移植成績が上がると考えられるからです。

一方で、ruxolitinibを移植をdelayさせるために使う方法もあります。ruxolitinibを使用することで、移植をせずとも予後を伸ばします。移植を受けるより、内服治療だけの方がQOLもよく、ruxolitinibが効いている間は、内服治療を継続する方法です。この方法の問題点は、移植が必要になったときには、ruxolitinibはもう効かないという点です。

Shanavasらの後方視的解析では、ruxolitinbを使用して効果を認めて移植をおこなった群で、移植成績がよいと報告されています(Biol Blood Marrow Transplant. 2016 Mar;22(3):432-40.)。

いい状態で移植をするためにbridgingが良いのか、ruxolitinib内服だけでいい時間をそれなりに作れるのだから移植は延期した方が良いのか…

今回の論文はupfront JAKi vs upfront HCTです。upfront JAKi = 移植delay、upfront HCT=bridgingとなるかと思います。

Median OSで見ると、JAKiが69ヶ月、HCTが42ヶ月(p=0.01)。OSカーブを見ると72ヶ月くらいで重なります。

私はどちらかというとbridging的に使う移植医でしたが、upfront JAKiもよい選択肢かなと思わせる論文でした。
もちろん後方視的研究ですので、患者選択などのバイアスはあるでしょう。Ruxolitinib時代になって今後も同様の研究結果がでてくるかなと思います。今後の報告も注視していきたいと思います。

6. Ruxolitinib vs ECP for cGVHD

Penack O, et al. ECP versus ruxolitinib in steroid-refractory chronic GVHD - a retrospective study by the EBMT transplant complications working party. Bone Marrow Transplant. 2024 Mar;59(3):380-386.

ステロイド抵抗性GVHD(SR-GVHD)に対して、ruxolitinibまたはECPで治療された患者を後方視的に解析した研究。

Ruxolitinibが57人、ECPが84人です。治療開始後180日での奏功率が見られており、56.1% vs 45.7%で、有意差はありません。

Figureを見ると差はありそうな気もします。これはn数が少ないだけの可能性もあるでしょうか。

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