早乙女

拙く汚い文ですが

早乙女

拙く汚い文ですが

最近の記事

雨の日

彼女との思い出は雨の日が多い。 彼女は自分で「私たち、雨男か雨女なのかもね」 そう言っていた。「絶対僕じゃなよ」僕は笑いながら言う。 雨は嫌だと感じることもあるけど、この会話を続けることが出来るから悪くもなかった。 初めて出会った入学式。 付き合う前に初めて一緒に帰った帰り道。 付き合った日。初めてのデート。 思い出の中の雨はすごく綺麗で、好きだった。 でもそれは楽しかったときの話で。 最近、彼女はとても冷たい。 表面上は隠してるつもりだろうけど、気づいてしまう。ず

    • 手紙

      彼女をもう二度とおんぶすることができなくなって、どれくらい経っただろうか。 なかなか前を向けないまま、新しく1歩を踏み出せないままどれくらい経つだろう。 彼女の荷物を整理していると、沢山の手紙を見つけた。 全て手書きでそれぞれ封筒に入っている。封筒には「○○のとき」というように書いてあった。きっと読むタイミングのことだろう。そして右下には全て僕の名前があった。 1つずつ開けて、読んでいく。 苦しくなった。涙が流れた。 手紙の中では彼女は生きていた。 彼女はこれを生きてい

      • 居眠り

        「いつまで寝てるの?」 放課後。教室で居眠りをしていた僕に彼女はそう言った。 彼女とはそれ以来、よく話すようになった。 価値観が合うとも合わないとも言えるような。一緒にいて楽しいとも落ち着くとも言えるような。 そんな彼女のことを好きになるまで時間はそうかからなかった。 付き合ってからも「いつまで寝てるの?」と彼女は僕を起こしてくれた。 学校だけではない。朝一緒に行く時間に遅れた時。電話して寝落ちした時。彼女の家で一緒に寝た時。 どんな時も優しく。嬉しそうに。 気づいたらそ

        • おんぶ

          「重た。」 「デリカシーないねほんとに笑」 彼女を初めておんぶした時、可哀想だがこんな会話をしたのを覚えている。 小中高とスポーツをしてきた彼女は筋肉質で細身な体からはイメージしにくい重さだった。 彼女は意外と筋肉質を気にしていて、「軽くなりたいんだー」と言っていた。 対照的に僕は小中高とスポーツをしたことがないし筋肉もない非力だった。だからこそ彼女に惹かれたし、おんぶした時も彼女を重たく感じたのだろう。 彼女は何故かおんぶをしてもらうのが好きだった。彼女は毎日の

          帰り道にて

          「またね」君は優しく手を振っていた。お別れする時は必ず「またね」と言う。すごく可愛かった。 また会える。毎日を頑張るには十分な理由だ。大好きな君と帰る道はどんな時間よりも大切だった。ずっと続くと思ってた。 愛情表現が苦手な君は学校では目しか合わせないし、話そうともしない。 LINEも素っ気ないし淡々としている。たまに不安になる。 だけど、2人で帰る時はくっついてきて、手だって繋げる。誕生日の時にくれた手紙には想いが綴られていた。普段の君からは想像できないほどだった。 だか

          帰り道にて