私的映画ランキングトップ100をレビューする 第59位「ピクセル」

「レベル2だ……!」←狂おしいほど好き。

クリス・コロンバス監督(どちら様?と思って調べたらホームアローンとかハリポタとか撮ってる結構なお方でした、すまんぼう)が手掛ける古のオタク垂涎映画ですね。
スペースシャトルだか何だかにくっつけて打ち上げたレトロゲームの映像が宣戦布告と勘違いされ、さらにそのゲームをモチーフにした攻撃をされるなどというあまりにも荒唐無稽な設定ながら、その手の知識がある人間とってはまたとないお祭りエンターテインメントとして成立しているすごい映画なので、決してラジー賞のノミネートされるような映画じゃありません!!

・とんでもないおバカ設定
すごいですよね、まずアメリカ大統領がびっくりするくらいのバカ。
「ふりかけモンスターだ!」みたいなセリフがやたらと耳に残る主人公の幼馴染として登場しますが、まあ彼がいないと地球の存亡が危うかったというお話もあるのでそれはそれということ。
本編も宇宙人からの攻撃があるや否や「ギャラガだ……」から始まってお次は「アルカノイド」、そして「センチピード」攻撃でついにベールを脱ぐ救世のオタクチーム”アーケーダーズ”までずーーーーーっとバカバカしいお話なのになぜかテンションがブチ上がる不思議、やっぱドットだとかピコピコだとか見てると心が躍るようにできているんですね。

・1stラウンド「センチピード」
まあ厳密には前のギャラガとアルカノイドがあるので1stラウンドというわけでもなく割と追い詰められた状況なんですが、宇宙人との戦争なのにルールがBO3なのがめちゃくちゃ面白いですね。
ちなみにBO3ってのはBest of 3のことでもっとわかりやすく言うと3本勝負ってことです。
ほんでまあアーケーダーズと宇宙人が本格的にやりあうことになる最初の戦いがこの「センチピード」なんですけどね、まずね、知らんよ。
ポスターにはパックマンが書いてあって、ギャラガもアルカノイドもまあまあ有名だとは思うんですけどね、センチピードは知らんよ。
ガッチガチのアーケード時代を生きたおっさんとかだったら分かるんですかね?少なくとも自分は後からゲーム史を学んだタイプなので全然ピンとこなかったのが寂しかったですね、まあ面白いからいいんですけどね。
ここの見どころはやっぱり「レベル2だ…」でしょうね、ここで笑えるかどうかがこの映画を楽しめるかどうかの分水嶺です。

・2ndラウンド「パックマン」
「パックマンだ…」この手のセリフ、何度重ねられても面白いですね。
宇宙人からの攻撃として採用されたのはまさかのパックマン、元々正義の味方ということもあり、ナムコ側からも人を殺さないようにお願いされて実現したとかなんとかいう噂もございます。
その通りビルなりなんなりは破壊するものの明確に人を殺す描写が無いのが一つの特徴、アーケーダーズはパックマンを追いかけるゴースト(名前なんだっけな~)に見立てた車を使って攻略に臨みます。
戦いの内容もしっかり原作のパックマン通りになっていて、順調にダメージを与えて勝利は目前だという一方、「パックマンはパワーエサを食べると10秒間無敵状態になる!」と迫真でつぶやく主人公は鬼気迫っているのに笑えてしまう最高のシーン。
結末はパワーエサの無敵の切れ目を上手いこと付いた捨て身の作戦が奏功し決着、第二ラウンドも無事勝利と思いきや、まさかのチームメイトのチートコード使用がばれてペナルティ+総攻撃の予告という非常事態に陥ってしまうのでした。
ちなみにこのシークエンスで登場するナムコの岩谷さん?はご本人にすごく似た人でご本人は別のシーンでカメオ出演されているそうです、探してみよう。

・Finalラウンド「ドンキーコング」
ここまでくるともうめちゃくちゃでそれはそれで楽しいですね。
街中にレトロゲームのキャラがあふれかえり、そこら辺のビルがテトリスに消されていったりマリオ(いたよね?)がちょこちょこ走り回っていたり。これが宇宙人からの攻撃でなければさぞ愉快だったろうにというお話です(見てるこっちからすりゃ愉快なんですけどね)。
そして宇宙人たちと決着をつけるために用意されたのがまさかの「ドンキーコング」、もちろん最近のアレではなく名もなきジャンプマンでおなじみな方のアレです。
このゲームはかつて主人公が死闘の末チームメイトのファイヤーブラスターに敗北したというトラウマがあったり、他のゲームと違ってタルが落ちてくるパターンが複雑で読み切れなかったりなどの障害が多め、こりゃかなわんな!と万事休すなところで一つエモい展開がありましたね。
ヒロイン的なポジションのお姉さんの息子、現代のゲームにがっつりハマっているマセガキの鶴の一声で冴えないおっさんが一人のゲーマーとして覚醒、そしてまさかまさかの「We will rock you」に合わせてドンキーコングを攻略していく様子は毎度毎度ではありますがバカバカしいのにどこからか感動がこみ上げてくる謎。
もちろんいたるところまで完璧な原作再現、タルはジャンプしてかわしてもいいしハンマーを使って壊してもいい。最後はドンキーコングに対面してぶん投げハンマーでゲームセット!
かくして地球の平和は守られ、主人公のサムだか誰だかは世界最強のゲーマーとして歴史に名を刻んだのでした。めでたしめでたし。

・その他
吹き替え版だとキャストの都合なのかめちゃくちゃパロディが多いらしくそれはそれで面白そうだとか、ちゃっかりセリーナ・ウィリアムズご本人が出ていてたまげただとか、無駄なところでハリウッド的ビッグバジェットを感じるところだとか細かいところも面白いポイントでしたね。

・おわりに
いや~振り返ってみてもなんでこんなに面白い映画がラジー賞にノミネートされたりしたんだ??不思議で仕方がないですね。
上映時間もそんなに長くなく、気軽にピコピコでハチャメチャなエンタメ映画を楽しめるというのでとてもありがたい作品です。
「レディ・プレイヤー・1」とかもこのくらいぶっ飛んだ感じでもよかったんですけどね、スピルバーグがそこは許さないかというお話。
あと日本語版主題歌の「8ビットボーイ」あれいいですよね、中田ヤスタカってすげーや。

次回、58位は突っ立っているだけで面白いあいつが主演のゲーマー悶絶映画です。ゲーム系が続くぜ。
ここまで読んでくれた人、ありがとうございました。


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