私的映画ランキングトップ100をレビューする 第27位「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

地獄めいたマリオカート、開幕。

世界一4DXに向いている映画でもおなじみ、ずいぶん前に公開された「マッドマックス」と世界観を共有しているのかいないのか、まあそんなもん見ていなくてもとにかく楽しめるアルティメット世紀末ドライブアクション映画ですね。
公開直後からインターネット界隈で圧倒的な口コミパワーを見せ、鑑賞した人たちはみな帰り道で爆走の果てにデスロードでの死を迎えたとか迎えていないとか。
バカでかい太鼓を打ち鳴らし火を噴くギターをひっかきながら、おもいつくままに行きましょう、V8!!

・ブオン!ブオン!ブオン!
開幕のコレでも笑っちゃいますね。
終始よくよく考えてしまうと「一体なんなんだこれは…」となってしまうような描写の連発にも関わらず、世界観がめちゃくちゃ丁寧なうえ、登場する俳優の皆さんもセリフこそ少ないもののそれぞれが鬼気迫るキャラクター描写をしてくれているので気づいたらみんなのMADが目を覚ましているという不思議。
イモータン・ジョー出陣のときめちゃくちゃ世紀末ムード盛り上げ楽団がいるの死ぬほど面白いですよね、火を噴くギター兄貴、たまらねえぜ。

・4DX
この映画ほど4DXと相性のいい映画を他に知らないんですけどどうです?パシリムくらいか?
なにせ始まってから終わるまでほとんどが世紀末カーアクションなもんで、4DXにありがちな「ここでそんな動き要るぅ?」みたいなのもほとんどないです。だってずっと車の動き再現してりゃいいんだもん。
公開当初は普通に4DX版も公開されていて、ちょっと経った後に白黒アレンジされているバージョンでこれまた4DXでの公開、そんなこんなで今までの人生で一番多く4DXで見た映画になっちゃってるなこれな。

・ストーリーのお話
そんなものはございません!!
と思いきや。
やってることは言ってしまえば「行って帰ってくるだけ」なんですが、その中で繰り広げられるちょっとしたドラマはどれもなかなかにエモーショナルズなものです。
主人公その1、何かと拘束されがちなことでもおなじみトム・ハーディ演じるマックスくんは序盤はよくわからない(本当によくわからない)男ながらも終わるころにはハードボイルドでアウトローな雰囲気のヒーローとして立派に成長。
もう一人の主人公我らがフュリオサも緑の地を巡ってのあれやこれやを経てこちらはしっかり正統派ヒーローとしての役割を全うしていました。
その他マックス達と逃避行を共にするイモータン・ジョーの嫁さんたちやウォーボーイズから加入のニュークスくんなどなど、彼ら彼女らそれぞれがドタバタカーアクションの合間にしっかりキャラ付け+掘り下げがされていて、そりゃうっかりアカデミー賞にノミネートされちゃうのも納得という緻密さです。

・行って帰ってくるだけ
マジでこれ見たらわかるんですけどやってることは行って帰ってくるだけなんですね。
そんな中でCGほぼゼロ(らしい)のぶっ飛んだカーアクションが連発されるので不思議と飽きがこないどころが無限に見れてしまうのが恐ろしいところ。
特に最後の方はやたらとトゲトゲした装甲車を捌いたかと思いきや棒高跳びみたいな動きでブランブランしながら襲い掛かってくる敵が両サイドに出現、その他まるでゲームを遊んでいるかのようなテンポで次々とボスキャラ達が乱入してくるバトルなもんで、いやもうこれもはやアトラクションだな??
個人的なお気に入りは何でしたっけ、あの武器将軍みたいな名前のほら、マックスが死亡フラグをバッキバキにへし折りながら殺しに行くアイツ、良いですよね。

・マックスくん
過去のトラウマから「where are you?」と度々幻影に悩まされる主人公。
あまりにも無口であまりにも説明不足なので当初はずいぶんとフュリオサ一行からも嫌われていたようですが、徐々にデレていく上にべらぼうに強いので不思議と不快感もありません。
拘束具をちっこいのこぎりみたいなアレでギコギコするところとか、所々に必死さが面白いようなシーンがあったりして小さめの笑いを取りつつ、持ち前のタフネスと頭のキレでクールに要所を締めていくのはとてもかっこいいですね。
最後はシタデル(というイモータン・ジョーの拠点みたいなアレ)の新たな王になったフュリオサを見送って人ごみの中に消えていくEND、どこまでもクールな男だ……。

・フュリオサ
かっこいい~~~!!
ハリウッド屈指の美貌でもお馴染みシャーリーズ・セロン様の男気溢れる演技がもうたまらんのなんの。
「アトミック・ブロンド」や「スキャンダル」で見せたかっこよさとはまるで方向性が違いますが、今作にあたる上で彼女の覚悟の強さがあまりにもビシビシと伝わってくるもんで、これなんか賞とか獲ってるんと違いますのん?と思ったら獲ってませんでした。かなしいなあ。

・悪役の皆様
面白いアクション映画には魅力あふれる悪役はつきものというお話。
今作最大の悪役イモータン・ジョー様はその見た目の強烈なインパクトもさることながら、作中ではそれなりにカリスマあふれる英雄という側面があるってもんでここいらもそこらへんの世紀末アクションとは訳が違いますね。
やってることは圧倒的に独裁者で、そりゃお姉さんたちも逃げ出しますわという反面、部下に対する扱いだとか自分が率先してチームを引っ張ろうとするだとか、節々に彼が英雄たりうる理由も見え隠れしているのがニクいところ。
あとアレですね、戦う上でムードが大事だっていう考え(っぽい)なのが良いですよね、世紀末ムード盛り上げ楽団いいですね、楽しそう。
その他ウォーボーイズとか先述の武器将軍とか、北斗の拳に出てくるヒャッハーな連中じみたモブ雑魚もちょいちょい登場しますが、いずれも期待を裏切らない死にっぷりがこれまた良いもの、どうも公開後は銀色のスプレーがやたらと売れたとか売れなかったとか。俺を見ろ!!!

・おわりに

初めて鑑賞したのが徹夜明けそのままの朝一4DXで、見終わった後バカ程疲れていたのもまたいい思い出。
その後も何度か4DXで見たりテレビで見たりとしていますが、やっぱこの映画は絶対に4DXで見るのが一番と言い切れます、もうだいぶ難しい話ですけどね。
映画がお好きな方々の中でも結構な人気を持っているはずなので、それなりのタイミングでリバイバル上映とかありそうにも思えます。楽しみに待っていましょう。

次回、26位は許さんジョーカー!怒りのバットマンが悪を切り裂く!なあの映画です。
ここまで読んでくれた人、ありがとうございました。


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