私的映画ランキングトップ100をレビューする 第16位「TENET」

火星旅行か??

飛行機壊すの大好きおじさんでもおなじみ、クリストファー・ノーラン監督が手掛けた最新作になります。例によってゴリゴリに時間の概念を取り扱っているのも大きな特徴ですね。
「メメント」に始まって「インセプション」とか「インターステラー」とか「ダンケルク」とか色々時間を扱った映画を撮ってきたノーランさんですが、どうもここに極まれりと言った趣なレベルで複雑な仕上がり。
一度見ただけでは誰もが理解できないと言われるほどに難解なことをやっているというのでも話題になったりならなかったりしていたご様子。
今回の記事では前「メメント」を書いたときみたいにめんどくさいことやろうと思ったんですけどね、考えてるうちに面倒くさくなっちゃったので普通に思いつくままにやろうと思います。

・あっ、ノーランだ
って、トレーラーを見た瞬間になりませんでしたか?
いつものノーランチックなカメラワークと演出に加えて今回は初報の時点で逆再生された動きっぽいシーンもちらほら。
どうやらまーた難しいことをしようとしてるぞ~とウキウキしながら公開を待っていたような記憶がありますね。
そんでもっていざ見てみればマジで難しいことをめちゃくちゃド派手にやってくれているというので、まあそりゃ賛否出ますわなっていうのもまた然り。まあ個人的には圧倒的に賛否の賛の方なのでそういうことです。

・逆行というタイムトラベル
幸い現代の人間たちは某青いタヌキだとか未来に帰るあの映画だとかで育っている(であろう)ので、この手のタイムトラベルにはそれなりに準備ができているというか、予備知識が十分入っている人が多いはずなんですよね。
それであっても今作のメインになる「逆行」というタイムトラベルは小難しくそして面白い。
現在→過去へと時間の流れを逆行することによるあれやこれやを主人公御一行は終始繰り広げることになるんですけども、この辺はアイデアもすごいし映像体験としてもすごいしでとにかく飽きさせない作りなのが素晴らしい。そして逆行する時点よりも未来に行くことだけはできないってのもなんか面白いですよね、実際今の科学ではタイムトラべルはできたとしても過去にしか行けないだとか言われてたような気もしますからね。
ほんでこの逆行という仕掛けはその手のタイムトラベルものに弱くても、所々の演出やら何やらで何も考えずに楽しめるというのがまたこの映画の良いところ、というか作中でも言われてますからね、「考えるな、感じろ」ってね。
特にお気に入りなのは中盤、窓ガラスに銃弾の跡を見つけたところで「何があったんだ?」「これから起こる」ってとこですね、今作の逆行という面白さを端的に表したやりとり、トレーラーでも見れるのでそういうことです。

・赤と青
今作のひたすら複雑な時間のトリックをなるべくわかりやすくしてくれるのがこの「赤」と「青」、たしか青が順行で赤が逆行だった気がしますが逆だったかもしれません、すまんな忘れちまったわい。
物語の最後の方では主人公の名もなき男が順行、相方のニールくんが逆行しながらそれぞれ世界の存亡をかけた任務にあたるわけですけど、ここの一連の戦いはまさにノーラン監督のやりたかったことなんだな~というのが全開。
「ダンケルク」のクライマックスで3つの時間軸が重なる瞬間のあのカタルシス、アレに近いものが得られるようなシーンがありましたね、順行と逆行がちょうど重なるあの瞬間、気持ちいいんですけどよく考えると何が起こっているのかいまいちわからない感じなのもまたよし。
その他にも物語中盤で主人公が初めて逆行の世界を体感する瞬間、あそこから一時的にBGMが消えて急に静かになるんですけどあの演出も最高なんや~~~!!!

・重厚なBGM
IMAXで何回か見ていてどうやらDolby Atmosなんちゃらで見てもどえらい臨場感のあるサウンドが楽しめるらしいんですが、今作の音楽はかなーーーーり重厚感があるというか、こう身体に響いてくるのが良いところです。
特に開幕のオペラハウス的な建物で流れるBGMは低音の響きが凄まじく、この映画体験はまさに劇場でしか味わえないというものでして、やっぱ映画は映画館で見てなんぼやな~としみじみとしてしまいますね。
その他でも主人公とニールくんのわいわい作戦会議シーンやら何やら、終始緊張感のあるBGMで映画のテンポを損なわないような工夫がされていそうなのも嬉しいところ、なんとなーく「ダークナイト」に近いような音楽の使い方な気がしますね。ちなみに作曲を担当しているのはいつものハンス・ジマーさんではなく別のお方らしいです。たぶんジマーさんはDUNEで忙しかったのかしら??

・2回目の面白さ
初めてこの映画を見たときもそりゃめちゃくちゃおもしろいんですけど、珍しいことにこればっかりは2回目に見たときのほうが色々と楽しめるポイントが多いような気がします。
特に主人公の相方たるニールくんの行動のあれやこれやが2回目だとまるで違う見え方をするのがニクいところ、いや~あの飲み物を頼むところとかね、たまらないですね。
結局の所彼や彼らがどのようにしてTENETという組織を作ったのかとかそういう細かいところは明かされることはなく、まあ言ってしまえば「インセプション」のコマみたいなもんなんでしょうかね、ご想像におまかせしますというアレ。

・おわりに
悪役のええと…名前思い出せませんけどケネス・ブラナーさんが演じていたあいつが結構しょうもないというか小物っぽいな~とか、そのケネス・ブラナーに色々と苦しめられていたエリザベス・デビッキさん演じるあの……ええと……ヒロインポジの人すっごい背が高くて美人さんですげえな~とか、あとやっぱり最後はなんだかんだ愛情とか友情とかでどうにかする辺りがノーラン監督っぽくていいですよね、インターステラーとかもそんなノリでしたからね。
最近ではオッペンハイマーの実話を基にした映画を撮っているらしいので、そちらも楽しみに待つこととしましょう。というかこのランキング企画でノーラン映画何本目なんだ??あまりにも多いぜ(ちなみにあと1本だけやります、暇な人は当ててみてね)。

次回、15位はこりゃヘビーだな…なあの映画シリーズです。
ここまで読んでくれた人、ありがとうございました。

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