私的映画ランキングトップ100をレビューする 第10位「シャン・チー/テン・リングスの伝説」

バス・ボーイ!!!

最早おもんない映画を作る方が難しいんじゃないの?でもおなじみ、MCUことマーベルシネマティックユニバースのええと…まあ20何本目かくらいの作品ですね。
アメコミ界隈でもそんなにメジャーでもない(らしい)アジア系ヒーロー「シャン・チー」を実写映画化するということで、おそらく日本においてはよほどのアメコミファンじゃないと「誰?」となってしまいそうな印象もございます。
ハリウッドにアジアを描写させるとだいたい碌なことにならないというのももはやお約束みたいなアレがありますが、果たして天下のMCUはどのように描いてくれるのでしょうか。思いつくままに行きましょう。

・中国語しゃべっとる!
何よりも一番すげえなって思ったのがここなんですよね。
これまで、例えばアフリカのワカンダを舞台にした「ブラック・パンサー」ですらほとんど英語で、まあちょいちょい現地の言葉でもしゃべってましたけどちょいちょいでしたからね。
一方で今作では物語の始まりこそアメリカのサンフランシスコからではあるものの、途中からは舞台を中国に移し、そこから先は結構な割合で中国語が飛び交うことになるのがとても新鮮でした。
これって結構すごいことで、アメリカというか英語圏の人たちってハリウッド映画を字幕付きで見るなんて経験あんまりないんじゃないです??そんな人たちに字幕を読ませて映画を見せるっていうのはだいぶ思い切ったことをしたんじゃないかって感じですね。
まあ野暮なことを言ってしまうとなんで宇宙人も神もみんな英語しゃべってんねんって話でもあるんですけど

・MCUでカンフー
カンフー映画にあんまり詳しいわけではないので細かいところはあんまりわからないんですけど、まあ間違いなく今回のシャン・チーのアクションは今までのMCUでは見たことの無いような動きでこれまたとても面白いところですね。
バス・ボーイと呼ばれる所以にもなった序盤のアクションシーンや、そもそもシャン・チーじゃなくて映画開始早々のウェン・ウーのアクションもめーちゃくちゃかっこいい。
カンフー映画なんて見たことなくても「あ、これはたぶんカンフーのお約束なんだな」と察せるような、日本で言うところの見得を切るようなムーブも諸所に挟まれていて「よっ!」って感じがね、いいですね。
新しいアクションと新しいキャラクターということで、一応「ブラック・ウィドウ」で始まったフェーズ4ではありつつ、なんだかんだ今作をもってしてようやっと「うぉー!始まったな!!!」って感があるのもまた、MCUを追っかけていてよかったなあと思わせてくれます。

・主人公シャン・チー
いや誰?とはならなくて本当に良かった……。
事前に色々とヒーローに関して予習をしていたので割とすんなりキャラクターに馴染めてよかったな~というのがまず一つ。
そしてま~ここまでマイナーなヒーローをよくもまあここまでかっこよく描けたもんだなと驚かされてばっかりですね。
陰と陽、父と母の両方の側面を受け入れる物語は非常にアジア的というか東洋的な趣もありました。
生身の人間としてはキャップに勝るとも劣らないほどの強者という設定(らしく)、この先ター・ローで得た龍の力とかテン・リングスの力とかを使ってどんどんパワーアップしていくのかなあと思うとそっちの方面でもなかなか楽しみというもの。
気が早いような気がしないでもないですが、今後のMCU作品において誰かしらとのクロスオーバーが楽しみで楽しみで仕方ないですね、というか若干魔術界隈とかウォンとかも絡んでるんだし「マルチバースオブマッドネス」に出てくれてもいいんでないのん???

・お父さんウェン・ウー
いいですね~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!
MCUのヴィランの中でもトップレベルに好きかもしれない、トニー・レオン様様といったところですね。
映画冒頭のアクションシークエンスはお前三国無双か?と言いたくなってしまうほどにかっこよく、その後もテン・リングスを使いこなした色々なバトルで楽しませてくれます。特にクライマックスのリング全放出ジャンプアタックなんかめちゃくちゃ熱いですね、やっぱ着地用に取っとかないとコケるんだなって。
長い歴史の中、世界中で暗躍していた組織のボスということでカリスマ性も十分、下手すりゃサノスとかよりよっぽどラスボス面をしています。
さらにさらに息子のシャン・チーの前では父親としての面もちょこちょこ見せていて、その極めつけはダークゲート前の最終決戦後、中から現れたあまりにも巨大すぎる存在”ドウェラー・イン・ザ・ダークネス”と対峙するところ。
一瞬で己と息子の危機を察すると咄嗟にね~~シャン・チーを助けるのよね~~~~もうパパじゃないですか~~~~~~~~。
ただでさえかっこいいというか、愛故に悪に堕ちたヴィランということでかっこいいな~ってなってたのに、あんなもん見せられたらね、もうね……。
話の都合上もうMCUで出てくることは厳しそうですが、なんかね、ほら、無理しないでいいからちょっと顔見せくらいはしてくれてもよくってよ??

・妹シュー・シャー・リン
シャー・リンなの?シャーリンなの?まま、ええわ。
兄の修行を見て学んで色々あってあんだけ強くなりました。
見ただけで技を習得できるとなるとタスクマスター、エコーに次いでこいつもそうなのか?となって少々キャラ被りが不安なところではありますけれども、新たなテン・リングスのボスということで今後の活躍にも期待がかかります。
映画終盤のドラゴンの上で「今度は見捨てない」的なやりとりをお兄ちゃんとかわすところはこれまたMCU屈指の名シーン。「ブラック・ウィドウ」の時もそうだったけどこの手のやりとりにね~~弱いのよね~~~。

・相棒ケイティ
こいつもまたええキャラしとるわ~~^
名前と弓を使うという事で某KBさんと色々とかぶっているのでこれまた心配なところではありますけれども、別の世界ではスリの達人としてメットガラをざわつかせていたとは思えないほど完璧な一般人枠。
テン・リングスだのター・ローだのどんどんファンタジーめいた世界観になっていく中、映画を見ている我々と同じ視点で驚き、受け入れていく彼女の存在は地味ながらも大切ですね。
シャン・チーとは親友以上恋人未満といったこれまたとても魅力的な関係、是非ともこのままをキープした状態で今後のMCUでもにぎやかし要員として頑張っていただきたいものです。

・その他愉快な仲間たち
友情出演していたウォンやアボミネーション、ポスクレで登場したブルースバナーさんやキャプマ等々、全く新しい作品でありながらもしっかりとMCUのユニバース的繋がりを匂わせてくれてうれしい限り、こういう細かいところで楽しい感じ作ってくるの、うまいよなあ……。
その他名誉脇役として大活躍のレイザーフィストさんとか、「アイアンマン3」からまさかの大復活を遂げたトレヴァー・スラッタリーさんとか、あとあのほら…混沌の……名前忘れちゃった……とかね、ポッと出のキャラクターたちもいちいち愛嬌があってね、素晴らしい限りです。

・大怪獣バトル
まーーーーさかMCUでこんなのが見れるだなんて!!
ター・ローでのあれやこれやを経てドウェラー・イン・ザ・ダークネスが解放されると、そこからはもう言ってしまうとシェンロンですわなあれはな。ということでシェンロンvsドウェラー以下略の大怪獣バトルが繰り広げられることになります。
これ見ていて思ったんですけど、意外とMCUでこの手のバトルって無かったんですよね。チタウリとかあとソーで出てきたでっかいのとか、ヒーローvsデカブツという構図はまあ多少なりともあった一方、今回みたいなデカブツvsデカブツって確かなかったよな~という感じで、先述のカンフーに引き続きまだまだ見たことないものを見せてくれるなんて太っ腹だとテンションが上がっていたような気がします。
この辺ついていけないよ~って人も居そうだなとは思いつつ、ゴジラとかその辺好きな人なんでね、最後のテン・リングスかめはめ波も併せて最高でございました。

・メインテーマ
映画冒頭からクライマックスまで一貫していい感じにアレンジされつつ流れていたメインテーマ、あれもオシャレですね~。
アジアン全開なイントロからしっかりと盛り上げていって、比較というか名前を出すのもあれですけど「グレート・ウォール」よろしくこうアジアっぽい壮大な音楽というのは遺伝子レベルで興奮してしまうというものです。
MCUの中では「エターナルズ」とか「エイジ・オブ・ウルトロン」とかのメインテーマと並ぶくらいには好きかもしれない。いわゆるtier1というやつです。

・おわりに
今更思い出したんですけどわざわざ靴を脱いで家に上がるシーンをアップで映していたりもして、節々にアジア圏の文化に対する敬意みたいなのが感じられるのも気持ちよくみられる部分なのかもしれないですね。
新しいフェーズで最初に登場する新しいヒーローにシャン・チーを選ぶという、かなり思い切った決断をしているMCUですがまあこれはこれは大成功な感じじゃないんですか?
今後次回作というかまあいつもの感じでいけば3部作くらいはやると思うのでその辺も楽しみにしつつ、どこかしらで大規模なクロスオーバーが見られればね、もうファルコンとかといっしょにいるだけで泣いちゃうかもしれないな……。

次回、第9位は1400万605分の1なあの映画です。
ここまで読んでくれた人、ありがとうございました。

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