私的映画ランキングトップ100をレビューする 第76位「メメント」

次回、75位はジェームズ・ガン大暴れなあの映画です。ここまで読んでくれた人、ありがとうございました。

・おわりに
ノーラン監督の最新作で、今回の記事でも何度か名前を出しましたが「TENET」とめっちゃ作りが似ているというか、このころからこういうのが撮りたかったんだなあとしみじみしてしまいますね。「ダンケルク」も「インセプション」も「インターステラー」も今思えばそんな感じだ。
時間トリック系映画は某青タヌキの活躍もあって日本人にはなじみ深いものな気がするので、その辺もノーラン監督の受けが良い(当社調べ)要因だったりするんですかね。知りませんけどね。

・どんでん返し
前のとこで触れましたけど、主人公のレナードくんは自らの記憶をなんとかして保つために2つの手段を主として使っていました。
1つが「メモ」で、これは本だったり紙の切れ端だったり色々なところで出てくるんですけど、先述の通り書き換えることだってできるし捨てることもできるということであんまり信用ならない記憶媒体なんですね。
2つめが「タトゥー」で、こっちはそう簡単に消せるものではなく(インターネットタトゥーなんていう言葉も最近はあるくらいですからね)、記録するのにも手間がかかるということで、絶対に失ってはならない重要な記憶のために使われています。
この2つの記憶媒体に我々はまんまと騙されてしまうというか、ネタバレをすると冒頭でレナードくんの奥さんを死なせている直接の原因はほかでもないレナードくん本人なんですよね(その前に奥さんに暴行を働いていたりするのは別の人)。ほんでもって記憶障害を持っていることは事実なのでそれをうまいこと使ったろうという悪意ある人々に絡まれたりなんなりしている間、とっくに暴行の犯人への復讐は終わっていましたという真実が明かされます。
これがどういうことかというと、結局レナードくんにとって都合の悪い記憶はいくらでも消せてしまうし、都合の良い記憶だってタトゥーとしていくらでも作れてしまうっていうことですね。レナードくんがもともとヤバい奴なのか、それともこのお話自体があやふやなものでしかないのかはまあ考察の余地を出ないところではあります。インセプションといいTENETといいそういう終わり方好きよね~~まったくね~~~~。

・逆再生
この映画が始まった瞬間から察しのいいひとは察してしまうかもしれませんし、特に「TENET」を先に見ているみたいな感じの人は「ノーラン監督はこのころからなんやなあ」と感慨深くもなるかもしれません。
今作は全編を通して「逆行」の演出が使われているのが他にない特徴で、カラーの映像が「逆行」、モノクロの映像が「順行」で進んでいると、まさにTENETそのものです。話の内容はインセプションよろしく解釈が色々分かれるようなアレなので細かいことは触れませんが、主人公の記憶が持たないという設定と、逆行して進んでいく物語が上手い具合に見ている人たちへミステリーを提示してくれるんですね、「ん?これはどうなっておるのだ?」と、主人公も記憶がなくなっちゃってよくわからないし見ている我々もなんのこっちゃわからないしと。
色々考えながら頭の中でストーリーを再構築していって最後の最後……なんてこったい!という終わり方もまた乙なもの、いや~お上手ですね~~~。

・記憶喪失というアイデア
主人公のレナードくんは妻を殺されたショックで新しい記憶が10分しか持たないという割と致命的な疾患を持っています、別の作品だとエクストリミスになっていたりもしましたね。
この10分しか持たないというのが作品中めちゃくちゃ重要で、いかんせん10分しか持たないもんだから何もかもがなんのこっちゃ分からないなんてのが当たり前なんですね。
さっきまで何をしていたのか、何を考えていたのかも分からないということで、彼はその対策として体中にタトゥーを掘っていたりいたるところにメモを書いていたりします(メモは書き換えられちゃったりするのでとても大事な事はタトゥーにしているというアレ)。そんなものがありつつレナードくんは妻を殺した犯人への復讐を目的としてあれやこれやというお話に。

ビル街をドローンで撮影するのが大好きな事でもおなじみ、クリストファー・ノーラン監督の出世作でございます(ダークナイトが出世作だというアレもあるらしい)。この監督の最新作である「TENET」もたいがい意味の分からんお話を考えたものやなあという映画ですが、今作も負けず劣らず、一体何を食べたらこんなもんが作れる人間に育つんだろうと疑問に思わざるを得ないですね。まあそれはさておき、思いつくままにやりましょう。

サミーを忘れるな。


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