私的映画ランキングトップ100をレビューする 第68位「タクシー運転手 約束は海を越えて」

ロバート・デ・ニーロのほうじゃないです。

「グエムル」とか「パラサイト」とかでもお馴染み、韓国が誇る名優ソン・ガンホ主演のちょーーー社会派映画。
韓国が誇るとか言っちゃったけど韓国人俳優他だとマ・ドンソクくらいしか知らねえや、すまんな。

メインビジュアル的な奴ではソン・ガンホ演じるキムおじさんの満面の笑みが写っていたりもしますが、つまりこのあとろくでもない目に遭うということで、ポスターに似合わぬ実話をもとにしたビターなテイストに仕上がっています。
あまり社会派めいたことを言うつもりは無いですので一応ね、思いつくままに。

・デニーロじゃないよ
同じようなタイトルでもう一個名作がありますからね~仕方ないね。
邦題考えた人もだいぶ無理したんだろうな~ってのが察せますが、まあ嘘はついていないのでいいんじゃないでしょうかね、邦題なんて嘘ばっかりですからね、リミックスだのバトルロイヤルだのってね、マルチバースオブマッドネスはそのままなのほんと奇跡ですね、話が逸れましたね。

・ソン・ガンホという漢
たまたまなのか分かりませんが、ちょっと前に記事を書いた「エクストリームジョブ」以外に見たことがある韓国映画は全部この人が出てて驚きましたね。
グエムルは深夜にテレビでやっていたのが面白くて、パラサイトはアカデミー賞なんて撮っちゃうもんだからさすがに見ずにはいられなくて、ほんで今作と言った具合なんですけどこの俳優さん、とにかくいい味出してますよね。
冴えないおじさんを演じさせたら右に出るものはいないという、日本で言うところって言おうとしたけどなんも思い浮かばないのでまあ何も言いませんがね。
グエムルを見てても思ったんですがこの俳優さんはとにかく飯を上手そうに食う達人なイメージ、山盛りの白米がこんなに似合うだなんてこれは天賦の才と言わざるを得ません。
本作の物語終盤ではおにぎりだか何だかをきっかけにある決意をするシーンがありますが、そこで見せる漢がね、たまらんのですよ。

・実話らしいですよ奥さん
今作のお話は光州事件という実際に韓国で起こった大規模なデモ?的なやつを元にしているそうです。一発変換できますね。
劇中でも語られている通り当時こそ弾圧やら報道規制やらいろいろあったみたいですが、今となっては民主化運動のきっかけになったという具合で国民の祝日?になっていたりいなかったりするそうです。
最初はちょっとしたお金稼ぎの為に海外のジャーナリストを乗せていくことになるソン・ガンホ(タクシー運転手)でしたが、なにやらそれどころではない雰囲気の現状を目の当たりにしてどんどんあれよあれよと巻き込まれていきます。
ふつーーに学生たちがボコボコにされたり殺されたりしていてめちゃくちゃ生々しく、もうこれ以上「弾圧」という言葉にふさわしいこともないんじゃないかってくらい息苦しい展開が続くのもこれまた恐ろしい。

・マッドマックスかな??
物語最終盤、海外ジャーナリストことピーターくん(モデルの人がちゃんといるらしい)の命がけの取材の末、こいつを世界に報道するんだ!ということで韓国政府のそれはそれは手厳しい交通・通信規制を潜り抜けていくことになるんですが、ここからのクライマックスはまさに韓国版マッドマックスと言った趣。
これまで苦楽を共にしてきたりしてこなかったりした同業者のタクシー運転手たち(ライバル会社みたいなのも居た気がする)と結託、一台のカメラに収められた真実を届けるために文字通り決死のドライブアクションが行われます。
次々に襲い掛かってくる韓国政府側の車両とうだつが上がらないようなおっさんドライバーたちの激しいぶつかり合いにはトム・ハーディもびっくり、ここまでかなーりヘビーな展開をしていただけに一気にエンタメ方面で盛り上げに行く作りは強引ながらもなかなかの爽快感ですね。
かくして首都ソウルにたどり着いた一行は、この衝撃の真実を世界へ報せることができたのでした。めでたしめでたし。

・おわりに
短くなっちまったな!許せ!
実話、しかも民主化運動のデモが割と危ないやり口で鎮圧されたという内容もあって終始重苦しい雰囲気の映画ではありますが、そこは流石のソン・ガンホと言ったところ、随所にコメディちっくなお笑いとどこか哀愁漂うおじさん感でうまい具合にエンタメ映画としても成り立たせています。
お隣さんの歴史ながらあまり知らなかった事件というのもあって衝撃度合いもものすごく、食い入るように見ていたような記憶があります。
アマプラでもたしか見放題だった気がしないでもないので、パラサイトとかでソン・ガンホにハマったよ!なんて人はね、是非。グエムルも面白いぞ!

次回、67位はテキーラ!!なあの映画です。
ここまで読んでくれた人、ありがとうございました。


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