私的映画ランキングトップ100をレビューする 第52位「キング・オブ・コメディ」

一夜の王、なりてえ……。

出る映画全部名作って言われてることでもおなじみ、ロバート・デ・ニーロ主演のこれは…まあコメディ映画と言うんでしょうかね。
「タクシードライバー」なる同時期の名作でもタッグを組んだマーティン・スコセッシ監督が手掛ける色々と考えさせられるお話でございます。
最近では「JOKER」とのあれやこれやで一時期話題になったりもしました。
それでは思いつくままに行きましょう、短くなる気がするぜ。

・痛いおじさんのお話
主人公のルパート・パプキンくんはいい年してちゃんとした職業にも就かず、コメディアンとして成功することを夢見ている…という時点で大分痛い感じがするものですが、劇中彼が起こす行動のほとんどはあまりにも痛々しいというか、見る人によっては羞恥心がえらいことになってしまうまでありますね。
リップサービスをまともに受け取ってしまうだとか、後で連絡するからというのをまともに受け取って公衆電話を占拠したりだとか、なんというかどこか自分にも当てはまるような気がしてきませんか??

・行動力の塊
そんなパプキンくんですが、常日頃からステージに立ったり、他のコメディアンを研究したりとかそういうのはあまりやっていない様子で、日々家の壁に貼り付けてある観客の絵の前に立って妄想に耽るとかその程度、自分には才能があると信じて疑わないそのメンタリティはすげえなと思える反面少しくらいはね、なんかやってもねって思うところもあります。
しかし物語が進んでいくと謎の行動力を発揮し始めるのも彼の恐ろしいところで、ひょんなことから大物コメディアンのジェリーだかジュリーだかとのつながりができるとそこからはあれよあれよ、さまざまなアクションを起こしては全部悪い方に行くというある種これも才能じゃないの?と言うべきガッツをみせてくれます。
そんな行動力があるんだったらもう少し真面目に成功できる未来もあったんじゃないかなって、行動すらできない人間からしたら思っちゃうところもありますね。

・一夜の王になりたい
この映画のクライマックス、誘拐という真っ黒も真っ黒な手段でもって無理やりテレビに出演し、夢のコメディアンデビューを果たすパプキンくんはそこで演説を始めます。
その内容はまあ色々あるので端折りますが、最後の最後のキメ台詞がやはり一際輝きを放っていましたね。
「どん底で終わるより、一夜の王になりたい」
今時で言えば無敵の人みたいな考え方かもしれません。ですがこのまま何も為せずに終わるくらいなら、という気持ちはやはりわからないでもないというか、一夜の王位にこそ縋ることを選んだ彼の醜い生きざまはなぜかとても魅力的に思えてしまいます。
幸か不幸か彼の演説は大いにウケて、その後街中ではパプキンをコメディアンとして称賛する広告みたいなのも出ている描写がされていました、まあこれは信頼できない語り手というか、彼の妄想なのか現実なのかイマイチわからないところで終わってしまうので真相は闇の中、まあインセプションとかそういうアレですね。

・JOKERとのお話
まあもうJOKERの監督が意識してるって言っちゃってますからね、デニーロも出てますからね。
その詳細は映画本編の記事を書くときに取っておこうと思いますが、こっちを見てからあっちを見ると何なら6割くらいこっちじゃない?って言われても文句ないくらいです。
どちらにも共通しているのはやはり「一夜の王」、パプキンにしろアーサー・フレックにしろ、彼らがどのようにして王位を勝ち取るのかという物語は悲壮ながらもどこかすっきりしてしまう、危ない面白さを孕んでいますね。

・おわりに

これはね、もうあのセリフに全てが詰まってるので多くを語るのが難しいんどすわ。
誰だってひょんなことから見出されるのを期待しちゃうし、来るはずもない連絡を心待ちにしちゃうし、自分には何かしら才能があるって思っちゃうものなんですよね。
なんだかんだ彼・彼らにはそれをアクションに起こすだけの力があったというのもまた事実、フィクションなのでそれはそれということではありながらも、一夜の王、なりたいよなぁというお話でした。

次回、51位はここにWi-Fiが飛んでてよかったな~なあの映画です。
ここまで読んでくれた人、ありがとうございました。


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