私的映画ランキングトップ100をレビューする 第69位「七人の侍」

この飯、おろそかには食わぬぞ。
かっけぇ………。

日本が世界に誇る大監督黒澤明作品で有名、というかもはや語るまでもないくらい有名な作品ですね。
世界中どこそこでバカ高い評価をされていて、当時ではあの「ゴジラ」と同時期に作成されていただなんて裏話もございます。すげえ。

もともとすごい面白い映画なんだっていうのは知ってたんですが、大学の東洋史の講義でたまたま「中世の村社会的なアレをすごく忠実に描いている」とかいう評価で見ることになりました、いや~あの教授に感謝ですね。
古今東西あらゆる名作にも影響を与えた傑作、おろそかには語れないですが、まあ思いつくままに書ければという次第です。

・アベンジャーズかな??
いきなりおろそかだね????
とはいえアベンジャーズ以外にも、この手のクセが強めなメンバーが一致団結して巨悪に挑むという展開は今作で生まれたと言っても過言では無いらしいです。
めちゃくちゃ強くてお人よしな侍、その古くからのお友達、気配だけであれこれ察しちゃう剣の達人、どっか抜けているムードメーカー、かたっくるしいやつ、引っ掻き回すだけのやつ、みたいな役割がお約束になったのも今作が源流ということで、いや~すっごいお話ですね。今思うとアベンジャーズとか本当にそのまんまですもんね。

・武士と農民
お話のおおざっぱな流れとしては、毎年毎年野武士に襲われてもう限界だ~!となっている名も無き村(名はあったかもしれない)が、こっちも侍雇って勝負だ!ということでアベンジャーズをスカウトするところから始まってやいのやいの~という感じ。
そんでたまたまお人よしなお侍さんにちょこっとの米で協力を取り付け、そこからは大スター三船敏郎が引っ掻き回しながらもなんだかんだ七人の侍が揃っていくわけです。
それじゃあ村のみんなと顔合わせして今後の計画を…というところでこの村の連中がびっくりするくらい非協力的なんですね。
まあ農民からしてみれば野武士もそこら辺の侍も変わらないというか、住んでる世界が違うのでどうふるまっていいか分からないってのもあるんでしょうかね。
一方で侍サイドも侍サイドで農民に対する偏った見方があるようで、彼らが落ち武者狩りで手に入れていた武器やらを見つけるシークエンスは考えさせられるものがあります。戦争はよくないですね。薄っぺらいなお前
この辺を上手いことまとめ上げているのが大スター三船敏郎、農民上りでありながら武士っぽくふるまっているトリックスター的な役割ですが、主演というのもあっていちいちやることがアツいですね、本当にこれが50年も前の映画だなんて信じられないぞ

・作戦会議フェーズ
映画ってのはどうやらざっくりわけると第一幕、第二幕、第三幕といった区分ができるらしく、思えば大体どの映画もざっくり3つのパートに分かれてるな~ってなります。
今作もざっくりわけると「チーム結成パート」「戦闘準備パート」「決戦パート」の3つに分かれていて、そんでその真ん中にある戦闘準備パートがこれまたおもろいんです。
そこらへんの映画だと中だるみしたりしなかったりなところですが、ここではまず「戦うということ」がどういうことなのかを農民に教え込ませる必要があったり、村の地形から攻撃時の方向を予想してやいのやいのと、戦術面/戦略面でかなり緻密な準備がされるのでこういうのがね、ロマンをくすぐるんですよね。たまらんぞ。
そんな中で武士の男と農民の女の子の間でロマンスなことがあったり、先程も触れたように落ち武者狩りでどうのこうののくだりがあったり、村長的なおじいが離れの水車小屋に居座るだなんだでひと悶着あったり、まあ色々あるんですがね、おもろいのよね。

・決戦
そんなこんなあってついに野武士との大決戦、ここも様々な場所で多発的に起こる戦いをすっごいテンポよく切替えて描写していたり、それぞれの侍の個性を活かした立ち回りが披露されたり、本当に今時のヒーロー映画みたいな演出なのがびっくりですね。
豪雨の中の最終決戦は映画史に残る(らしい)名シーン、みんなを団結させたと思いきや強烈に足を引っ張ったりした三船敏郎(役名がね、変換だるいのよ)の文字通り命を懸けた大立ち回りは必見。
かくして多大な犠牲を払いながらも野武士御一行を退けた名も無き村の民、彼らは平穏な日々を取り戻し、侍たちは「今回も負け戦だったな」と黄昏るのでした…。この終わり方がまたよいのよ~~~~。ハリウッドでちょいちょい荒野の7人だとかマグニフィセントセブンだとかリメイクされてますけど、あっちじゃこうは終われないですからね、これが原点にして頂点たる所以ですね。

・古い映画であるがゆえに
まず長い!こればっかりは言い逃れできない!だって映画の途中で休憩パートがあるんですもの、作ってる側もわかってますやん。
分で言えば207分あるらしく、こんなの今時だと回転率とか含めて興行的にも作れない映画ですよね、3時間超えると寝る人は寝るし。
あとは音響ですかね、黒澤監督はとにかくこだわりが強いお方で、リアリティという点では時代考証や描写も含めて他の追随を許さないほどの高いクオリティではあるんですが、いかんせん機材が機材なのかところどころ何言ってるのかわかんないシーンがあるんですよね。字幕でもついていればいいんですけど、自分が見たときはそういうの無かったのでちょっと苦労しました。
まあそんなものはどうでもよくなるくらいめちゃくちゃに面白い作品なのでそれはそれということ。

・おわりに
薄くねえ?お前本当は見てないんじゃないの???
自分の文章力のなさを憂いている次第でございますがね、こんな誰が読んでいるかも分からないようなものなんでね、ひとつね。
とはいいつつちょいちょい色んな方からスキをいただいているようで、冷やかしでも嬉しいのでこの場でお礼をね、申し上げます。
古いし白黒だし長いしと敬遠する気持ちも分からないことも無いですが、現代の多くのエンタメにその息吹を感じられる偉大なる一本です。
アマプラとか何やらでお手軽にみられる方法が少なそうなのが難点ですね。実際ぼくも大学で見るまではちょっと手が伸びなかったですからね。それはそれということ。

次回、68位は韓国のマッドマックスでおなじみ(?)なあの映画です。
ここまで読んでくれた人、ありがとうございました。

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