私的映画ランキングトップ100をレビューする 第9位「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」

だから右から行けって……!

紫玉袋ゴリラでもおなじみ、MCUにおける「インフィニティ・サーガ」のラスボスこと”サノス”さんがついに本格的に動き出すことになった今作。
監督には「ウィンターソルジャー」や「シビルウォー」で確固たる地位を築いたアンソニー&ジョーのルッソ兄弟が選ばれ、いよいよ一つの物語がクライマックスへ向かうという事で大いに話題にもなりました。
日本での公開は向こうよりちょっと遅れていて、海外の反応としては「衝撃に備えてください」みたいな事故か??という趣の警告なんかもあり、なによりもびっくりするほどのネタバレ厳禁なキャンペーンで否応なしに緊張感も高まっていたような記憶。そしてふたを開けてみれば……。
まあ思いつくままに行きましょう。

・ロキ;;;;;
もう始まった時点でいつもの「デンデレレレデンデンデンデン!」がないパラパラと、「ソー/ラグナロク」のラストから繋がる非常事態で始まるというもんで、見ている人たちはもうここいらで「あっ」と今作はかなりヘビーだぞと気合を入れることになるんじゃないでしょうかね。
アスガルドは場所じゃねえ!とかいって意気揚々と地球を目指すソー&ロキと愉快な仲間たちの前についに訪れた”絶望”。このシーン、たぶん10分あるかないかくらいなんですけどもう初見のインパクトは凄まじいものがありました。
まず既にえらいことになってしもうとりますというのが一つ(もうパワーストーン持ってるやん!)。そしてハルクがサノスを相手にあまりにも一方的にボッコボコにされるという、MCUを追っていればいるほどサノスの強さを一撃で理解させられてしまう作りになってるんですね~恐ろしい。
そしてしまいにはロキですよ、ソー三部作を経てようやっと兄弟としてね、うまい事いってたのに。サノスを前にして「オーディンソン」って名乗ってくれたのに!
今度は生き返るまいというサノスのセリフでいつもの死ぬ死ぬ詐欺ももう通用しねえんだ……とまたまた絶望させられてしまう。そしてヘイムダルによるこれまた文字通り決死の退避作戦でブルースバナーが地球に不時着するところでいつものタイトルロゴがバーン!!………。

・サノスさんという悪
なんか今作のサノスやたらと人気というか、公開当初から結構いましたよね、「サノスの考えることもまあわかる」みたいな勢力。
いや悪でしょ??ヴィランとしてはかっこいいしカリスマも十分ですけど、悪でしょ??
ストーンの力で命を半分こにするくらいなら資源を倍にせえっていうのはどこそこで言われていたことでもあって、制作側曰くサノスの思考は元々がアレなのでそういう方向にはいかなかったとか、いややっぱ悪じゃんねえ?
まあ一つのゆるぎない信念のもとにひたすら、あらゆるものを犠牲にしてでも突き進んでいくというのは確かに主人公然としているというか、かっこいいなと思いますけど、やってることは極悪非道極まりないことなんだっていうのははっきりさせておきたいですよね??

・夢のクロスオーバー
冒頭の絶望パートが終わるとしばらくは超ハイテンポにブラック・オーダーとヒーロー諸君のインフィニティ・ストーン争奪戦が始まるわけなんですけど、ここももう恐ろしいくらいうまい事作られてるのがね、とんでもねえ。
ドクターストレンジ×アイアンマンの魔術サイド:科学サイド最強タッグとか、ヴィジョン×ワンダのぶっ壊れ性能タッグとか、にぎやかしスパイダーマンと名誉脇役マントくんの面白シーンとか、もう挙げていくときりがないくらい「そうそうこれが見たかったんだよ!」と唸らせてくれるような掛け合い、アクションが次から次にやってきてもう感情がえらいことになってしもうてます。
敵キャラのブラック・オーダーの皆様もこいつら一人一人で単品映画のヴィラン張れるんじゃねえか?ってくらいに強いし、こいつらとやりあうヒーローたちのアクションも全部が全部カッコいし今まで見たこともないようなどったんばったんで、これ上映時間2時間半くらいあるんですけどそんなもん一切感じさせないの、すげえ。
そんないろいろな思い出の中からいくつかピックアップすると、ワンダヴィジョンvsプロキシマ・ミッドナイト&コーヴァス・グレイブの夫婦対決。ルッソ兄弟お得意の位置関係の妙を活かした広角なバトルの後、追い詰められたワンダの後ろに現れた謎の影…!ここのキャップ登場シーンは映画館もちょっとざわついてましたね、あまりにもかっこいいんですものね。日本の映画館でざわつくってのは余程のことじゃないと起こらない物なんですが、最近のMCUの映画はなんか毎回どこかしらでざわざわしてる気がするな……。
その他だとタイタンの戦い(前編)で地球組とガーディアンズ御一行の初対面のシーンもめちゃくちゃ楽しかったですね!相手が相手というのとノーウェアでの一件があった後なので最初からガジェット全開バトルを見せてくれる終身名誉戦犯(後述)スタロのテクニック系バトルもさることながら、今作からお目見えのブリーディングエッジアーマーを採用したアイアンマンのナノテクバトルもどれもこれも最高の極み、そしてすれ違いを解消した一行の向かう先は……。

・サノス、動きます。
ブラック・オーダーのうちワンダの劣化みたいなやつのエボニー・マウさんが倒され、どいつもこいつもなかなか石をもって帰ってこないということで、いよいよラスボスのサノぴっぴ自ら石をいただきに動き始めることになりまして。
大きく分けて地球組とタイタン(宇宙)組に分かれてしまっていてすっかり統率の取れないアベンジャーズはここからもうてんやわんやもてんやわんや。
まず繰り広げられたタイタンでの戦い(後編)では、サノスvsアイアンマン/ストレンジ/スパイダーマン/ガーディアンズ(一部)連合軍と言った構図になりますが、このバトルももう凄まじいとしか形容できないでしょうという圧巻のバトル。
なんですかあれは?ストレンジの魔法とスパイダーマンのスイングアクションとスタロのガジェットアクションとそしてアイアンマンのハイテクかつ多彩なナノマシンアクションをラッシュをかけるかのように詰め込んできましたね??
そして対するサノスもここまで集めてきたパワー/スペース/リアリティストーンをこれまたフルに活用した、決してゴリラよろしく力任せではない完全無欠なバトルスタイルで対応するという、もうここだけで2時間くらいつかってもよくってよ??
ここのバトルで特筆すべきはやはりチームアップしての必殺マンティス落とし。マンティスなんてサノス相手に役立つんか?と思いきやのこれですからね。そしてセレスティアルズたるエゴですら眠らせる彼女の力にあらがって見せるサノスもこれまた恐ろしい、そしてここで問題のね、まあスタロくんも思うところがあるというのは分かるんですけどね、我慢して欲しかったですよね。
問題の元の元にさかのぼるとガモーラのあれこれをあの場でバラしてしまったネビュラが悪いんじゃないかっていうのもありますけど、まあ直接の原因はスタロくんなので……。
そして時系列がどんなもんか忘れましたけど、タイタンの戦い(クライマックス)ではドクター・ストレンジvsサノスのアルティメットマジカルタイマンバトルが起こりましてこれがもう今作のアクションの中でいっちばんかっこいい!!
ストレンジ先生の圧倒的な実力と、それを凌駕するサノスの機転とストーンの力。
戦っている時間はほんの数秒でしかないですが、一人でサノス相手にあそこまで立ち回れるというストレンジ先生の戦闘能力に脱帽です。
その後もアイアンマンvsサノスのタイマンがございまして、こちらも一方的な蹂躙ではありつつもMCU通してサノスに初めて傷をつけたのは地球生まれの人間にして科学サイド代表。エターナルズに匹敵するような存在にここまで抗えたというのはとんでもないお話です。

・ワカンダ決戦
宇宙サイドの戦いはサノスさんの一方的な蹂躙で終わった一方、地球サイドではブラック・オーダーが終結の上、いろいろな事情でワカンダに集まった皆さまのもとへ急襲を仕掛けてくるという展開になりました。
ここのバトルもね~~もういいところしかないですもんね。ワカンダフォーエバー!!とか、盾を差し上げろとか、ウォーマシンのフルバースト第二弾だとか、ハルクバスター大復活!とか、とくにブルースはハルクバスターを使ってはいるもののカル・オブシディアンを一人で仕留める大健闘でもありましたね。
その他ワンダの圧倒的な強さとか、いやオコエもオコエでお前一般人なのに強すぎないか??とか、そんなこんなありながらも圧倒的な物量の前に屈するかとおもいきや……。
デーーン!デッデーンデデーン!!おなじみのあのテーマをともに失意から復活を遂げたソーが地球に到着!手には最強に大げさな武器”ストームブレイカー”とウサギを携え、文字通り一騎当千な強さでvsサノス軍団へ一転攻勢だ!!
あのシーンも映画館ざわついてましたね~~やっぱ待ちに待った瞬間でもありましたからね。
その後のキャップとグルートの掛け合いとかロケットとバッキーの掛け合いとか、マジでいちいち触れていたら日が暮れちまうぞ……。

・指パッチン
そんなこんなでブラック・オーダーが全滅したり色々あったりした末、これほんとすごいなって思うんですけど急に映画の雰囲気がすっごい不穏な感じに変わるんですよね、あれどうやってるん??
「来るぞ……」と身構える間もなく、スペースストーンの力でワカンダの山中にサノスさんがついに襲来。これまでにマインドストーンを除く全てのインフィニティ・ストーンを手に入れたサノスはもう下々の者共の抵抗など意に介さず、まさに鎧袖一触な強さで最後のストーンを所持するヴィジョンを目指します。ここもね~~最強キャラっていいよね~~~。
文字通り手も足も出せないまま一方的にやられてしまうアベンジャーズのメンバーの中で、唯一キャップだけが2度立ちふさがってしかも結構粘るんですよね。サノスも軽く引いたような顔してましたけど、やっぱり彼の底なしのメンタルというのはこういう細かいところで感じられてよいものです。
まあ結局全員無慈悲にもボッコボコにされて、石も全部手に入れられて、まあここで片手だけで結構粘ったワンダも大概やべえやつだなって思ったりもしつつ、ギリギリ間に合うかといったソーの最後の最後の抵抗も虚しく指は鳴らされてしまうわけでございました……。

・お前消えるん……?
てかそもそも今作で石揃っちゃうの?って話なんですよ。
どうせ前後編に分かれるなら後編の方で石がそろうんだな~なんて思ってたわけですよ。
仮にそろったとしてもなんやかんやあって最後はいい感じに終わるやろ!って思ってたんですよ。
そしたらえぇ……?って、ストレンジ先生も、ワンダも、ファルコンもバッキーも、スタロもドラックスもマンティスもどんどん消えていくもんでマジでしばらく理解が追い付かなくて「えっ?」ってなってました。
というか仮にパッチンされたとして、どんどん消えていくとしてもどこか頭の中で「こいつはまあ大丈夫やろ残るやろ」と思っていたスタロとかブラパンが無慈悲にもサラサラ…となっていくので、「えぇ……」となってしまって、極めつけがあのピーター・パーカーの去り際ですよ、いや、無理やろ……。
そんでもって最後はあのキャップが、どんなことがあってもひとり立ち上がってきたキャップが崩れ落ちたまま「やっちまった……」で終わり、サノスはどこぞの星で一人やり遂げた感を出して終わり、まるでお葬式のようなエンドロールが始まり……いやこれどんな顔して劇場を去ればよいの………。

・希望は、死なない
MCUおなじみのポスクレシーン、まあもうフューリー御一行が出てきた時点でいろいろ察してはいたんですけどまさかこれも両方消えるとは思ってませんでしたね……。
そして最後の最後に残されたのは一つのポケベルとそれに映し出された象徴的なエンブレム。これはね~誰のものなのかを知っている人は「キター!」となるんですけどね、もうそれどころじゃないんですよ感情が、わかるか??

・おわりに
「衝撃に備えてください」なんて言われていていざ見に行って、あんなもん備えられるわけなくないか??
あまりにも衝撃的な終わり方をしたもんで、劇場内の空気も今までに見たことないようなヘビーな感じでしたもんね。次見る人達に顔で展開ばれちゃわない?って思うくらいにはみんなお通夜状態でした。
一本の映画でこれだけの登場人物をこれだけの見せ場とともに描き切り、次なる「エンドゲーム」での最大級の収束へ向けて思いっきり拡散させるという、とんでもない離れ業をやってのけたルッソ兄弟に恐怖と畏怖と尊敬の念を抱くとともに、もうこんな体験は二度と出来ないのかな…と寂しい思いをしたりもしちゃいますね。噂によると「帝国の逆襲」が公開された時もこんな感じだったらしい、まあわからんでもないな。
ガモーラのあれこれとかニダベリアのあれこれとか、なんか全然触れられなかった部分もあるなあと思いながらもね、まあもうキリがなくなっちゃうので、あと8本あるし!力尽きてもアレだし!ええやろ!
ていうかランキングもここまでくるともう全部1位みたいなもんなんだよな……。

次回、第8位はロケットパンチだ!なあの映画です。
ここまで読んでくれた人、ありがとうございました。





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