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住んでから,どうにかする。 【地方空き家サバイバル】

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ある30代男性は,ひとりで地方に移住することにした。 住む家は築50年くらいで,窓ガラスは割れ,カギもしまらない。 知り合いがいるわけでもなく,お金もなく,仕事もない。 さらには…
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#シロアリ

地方移住を決断するまで

5年間,働いた会社を辞めたのは,虚無感に耐えれなかったからだ。この仕事に何の意味があるのか,誰の何に役立っているのか,そんな疑問を感じながら働くことは虚しかった。 仕事を辞め実家に戻った。早朝にスーパーで品出しのパートをし,午後は読書という生活を送った。コロナ禍の影響もあり,こんな生活を2年半も続けていた。品出しの仕事は,達成感や誰かの役にたっている実感があり楽しかった。どうやら,私にとっての報酬は,お金ではなく,達成感や有能感といった感情なんだと気づいた。 では,達成感

虫はさっさと移住する 【地方空き家サバイバル,15日目,2022/6/6(月)】

問題はズボラな私を動かしてくれる。今日,私を動かしてくれたのはコバエだ。2日前にトイレで5匹くらい見かけた彼らだが,今日は20匹くらいになっていた。さすがにうっとおしい。我が家のトイレは汲み取り式である。まあ,ボットン便所ということ。糞尿は便器の下のタンクにたまり,数年に一度くみとってもらう。 トイレについて調べてみると,世の中にはコンポストトイレ(バイオトイレ)というものが存在していることがわかった。このトイレは水を使わない。微生物によって,糞尿を分解してもらうというもの

羽虫の正体は,森の分解者 【地方空き家サバイバル,9日目,2022/5/31(火)】

引越し当日に私を迎えてくれた無数の羽虫の死骸。その正体が判明した。シロアリである。ブヨブヨな床の原因を調べるため,畳を剥がしたら,底板はボロボロだった。よく見ると,小さな穴がたくさんあいており,そこには,あの羽虫の死骸もあった。シロアリは4~5月に巣から一斉に飛び立つらしい。飛び立った彼らだが,窓ガラスという未知のものに遮られ,外に出れなかったようだ。そこで死に絶えた彼らのもとに,私が現れたってわけだ。 シロアリってよく聞くけど,なかなかお目にかかれないもの。この家は本当に