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住んでから,どうにかする。 【地方空き家サバイバル】

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ある30代男性は,ひとりで地方に移住することにした。 住む家は築50年くらいで,窓ガラスは割れ,カギもしまらない。 知り合いがいるわけでもなく,お金もなく,仕事もない。 さらには…
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地方移住を決断するまで

5年間,働いた会社を辞めたのは,虚無感に耐えれなかったからだ。この仕事に何の意味があるのか,誰の何に役立っているのか,そんな疑問を感じながら働くことは虚しかった。 仕事を辞め実家に戻った。早朝にスーパーで品出しのパートをし,午後は読書という生活を送った。コロナ禍の影響もあり,こんな生活を2年半も続けていた。品出しの仕事は,達成感や誰かの役にたっている実感があり楽しかった。どうやら,私にとっての報酬は,お金ではなく,達成感や有能感といった感情なんだと気づいた。 では,達成感

ガラスを切ったあとの寿司は旨い 【地方空き家サバイバル,11日目,2022/6/2(木)】

嬉しいことに,近所の人は私の移住を歓迎してくれている。今日は,寿司をおごってもらってしまった。たしかに嬉しいのだが,複雑な気持ちも感じる。私は33歳。もう与える側の年齢だと思っている。しかし,もらってばかりだ。今までも,いろんな恩を受けて来た。しかし、返せたことはほとんどない。今回の恩も,返せない気がする。しょうがないから,恩送りスタイルで,別の人にささいな手助けができれば良いことにするか。幸い,体力と時間はある。今の自分にできることをやろう。 そんな私の,地方移住生活11

自給自足は目指すもの 【地方空き家サバイバル,10日目,2022/6/1(水)】

私は自給自足に憧れている。しかし,無理だと悟った。あたりまえにある物を,自分で作れないのだ。例えば,繊維,樹脂,鉄という材料たち。そして,それらを用いた,紙,服,そしてパソコンやスマホなどなど。 それでも,自給自足を目指して,自分でやってみるのは面白い。自分でやってみて,壁にぶつかる。そこで,他者の知恵を拝借したり,必要な物を調達したりして,社会のありがたみを発見・実感できる。 それにしても,私は困ったときにしか,気づけないのか。自分が困ってはじめて,社会のありがたみを知