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住んでから,どうにかする。 【地方空き家サバイバル】

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ある30代男性は,ひとりで地方に移住することにした。 住む家は築50年くらいで,窓ガラスは割れ,カギもしまらない。 知り合いがいるわけでもなく,お金もなく,仕事もない。 さらには…
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#ゴミ

地方移住を決断するまで

5年間,働いた会社を辞めたのは,虚無感に耐えれなかったからだ。この仕事に何の意味があるのか,誰の何に役立っているのか,そんな疑問を感じながら働くことは虚しかった。 仕事を辞め実家に戻った。早朝にスーパーで品出しのパートをし,午後は読書という生活を送った。コロナ禍の影響もあり,こんな生活を2年半も続けていた。品出しの仕事は,達成感や誰かの役にたっている実感があり楽しかった。どうやら,私にとっての報酬は,お金ではなく,達成感や有能感といった感情なんだと気づいた。 では,達成感

遺品が伝えるもの 【地方空き家サバイバル,21日目,2022/6/12(日)】

30年放置された祖父母の遺品たちが,モノとのつきあい方を見直すきっかけを与えてくれた。 今日は,地下室の掃除をした。ここには大量の生活用品が放置されていた。おそらく30年前以上前のもの。食器,ふとん,洗剤,ボンド,電気ヒーター,こたつ,ホットプレート,靴,傘,木製家具などなど。 これらの製品で,私が再利用できそうなものは5%くらいだった。あとの95%はゴミになっていた。電化製品は,私では状態確認ができないため,すべてゴミ。服や靴などは繊維の劣化が顕著でゴミ。また樹脂製品は

ゴミの輪廻 【地方空き家サバイバル,17日目,2022/6/8(水)】

この家には,地下室がある。しかし,地下室の入り口は,封鎖されていた。家具がたくさん積み重ねられていたのだ。地下室の中に何が入っているのか。当然,気になっていたのだが,家具をどけるスペースが確保できなかった。日々の地道な掃除とゴミの分別により,スペースは確保できた。ケガをしないように家具をどかして,入ってみた。 地下室は6畳くらいの広さで,高さが1.5mといったところ。キッチンの下の空間だが,キッチンの初期状態よりきれいな気がする。気になる中身だが,ちょっと良さげな家具と,大

庭効果 【地方空き家サバイバル,16日目,2022/6/7(火)】

生い茂る庭木を伐採してもらった。その下の土には,大量のゴミが埋まっていた。植木鉢,ビール瓶,蛍光灯,トタン,割れたガラスなどなど。いわゆる,埋め立てるゴミが埋め立ててあった。私にはこんなことはできない。土に還らないものを土に埋めるなんて。悲しさと怒りを感じた。いつどんな時代に生まれたらこんなことができるんだろう。 とはいえ,今私が使っているものも,埋め立てるゴミになるものばかりだ。くそっ。腹立たしい。自分も同類じゃないか。私が出したゴミも,どこかの土に埋められている。 ゴ