モテる男はツラいよ あぶさんとサチ子の結婚裏話【あぶさん・その④】

　切っても切れないあぶさんとサチ子の縁。しかし、実はあぶさんとの結婚が既定路線だったかというと、疑問があります。

『あぶさん』21巻 第5章「赤い糸」

　あぶさんとサチ子が結婚したは本編21巻のこと。あぶさんがサチ子に「720万円足しにならないかな？」「その給料を預けたいんだ」と告げたのがプロポーズでした。格好も普段の姿と異なり、ビシッとスーツを着込んで訪れています。

『あぶさん』21巻 第5章「赤い糸」

　しかし、水島先生がサチ子との結婚を始めから決めていたかと言うとかなり微妙です。何しろ初期のあぶさんはサチ子以外の女性とのラブロマンスがかなりあります。

『あぶさん』2巻 第4章「御堂筋銀杏並木」

　中でも初期のあぶさんにおける、一番のヒロインといえるのが、関西の大企業の未亡人「山本麻衣子」。サチ子を差し置きちゃっかり体の関係になるなど、非常に親密な仲になります。

『あぶさん』2巻 第5章「麻衣子」

　しかし麻衣子には、絶縁状態だった義実家に預けている子どもがいました。そのため、あぶさんは麻衣子と義父との関係を取り持つため直談判。麻衣子は義実家に帰れることになりますが、あぶさんとの関係は微妙になってしまいます。

『あぶさん』14巻 第9章「故郷からの連発」

　その後14巻で麻衣子の義父が亡くなると、その麻衣子から「このままではあぶさんに頼ってしまう。京都に引っ越したいと思う」と告げられます。ここであぶさんのサチ子ルートが確定したのでしょうね。

『あぶさん』18巻 第8章「90と90」

　この他に注目したいのが18巻。この巻では、正月休みにあぶさんはサチ子を新潟の実家に招きます。この話であぶさんはサチ子のことを結婚相手と意識し、前述のプロポーズに繋がります。

『あぶさん』19巻 第1章「まわり道」

　しかし、ここで詳しく注目したいのが19巻です。実はこの時、すでにあぶさんはサチ子へのプロポーズを決めているように思えるのです。

　それが大虎にスーツを着て訪れていること。このスーツを着ているのは。一応、新年の野村監督の所に挨拶をする、という理由があります。しかし、あぶさんの自宅は大虎の極近く。一度自宅に寄って着替えても良いでしょう。

　またこの回のタイトル『まわり道』というのも意味深に思えませんか？　色んな女性との恋愛をしつつ、回り回って最後にサチ子の元に戻ってきた、という意味なのでは……と。

『あぶさん』19巻 第1章「まわり道」

　残念ながら、この後あぶさんに巨人の選手とのトレード話が新聞記事になり、サチ子があぶさんの自宅に乗り込んできたために、大虎自体に行きづらくなってしまいました。

　もしこのいざこざがなければ、この年にプロポーズが見られたのではないでしょうか？　そうなると、子どもが生まれる年も変わり、野球界の歴史が変わっていたのかも……。