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置かれた場所をはみだしていく。

 元アンジュルムの笠原桃奈さんが、韓国の芸能事務所と吉本興業が共同で立ち上げたプロジェクト「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」(通称「日プ」)に参加して、話題を集めています。101名の候補生(5人は既に辞退)から11人が選ばれて、デビューするんだそうです。
 私は笠原さんのことはアンジュルム時代から知っていますが、何せアンジュルムは超個性派集団。当時のリーダーだった和田さんは、西洋美術を専攻して大学院まで卒業しフランスに留学。その次のリーダーの竹内さんは、書道の教授になって個展を開催。他にも個性的なメンバーがたくさんいるし、現役メンバーには1級マグロ解体師もいます。

 そんな中、個人的には笠原さんはその中に埋もれていた印象があります。ただ、そんな同僚に囲まれて生活していく中で、もっと自己主張をしていいんだという意識が芽生えたのでしょう。彼女は一昨年、18歳の時にアンジュルムを卒業します。
 卒業するときに、海外で歌やダンスを勉強したいという意向が伝えられていました。その時に脳裏をよぎったのは、同じく海外で歌やダンスを勉強したいと言って、10代でモーニング娘。を卒業していった鞘師里保さんの姿でした。鞘師さんは結局、同じスクールのよしみで、BABYMETALのサポートメンバーに選ばれたものの、3人のうちの1人という位置づけで、結局正式メンバーに昇格することもできず、その後俳優事務所に移籍するものの、BSのドラマに出るぐらいしか仕事がない感じです。鞘師さんがもうちょっとモーニング娘。にいたら、歴史は変わっていたかもしれません。このように、卒業後は一体何をしているのか分からないというメンバーも多いのがハロプロの特徴だったりします。
 しかし、笠原さんに関しては、「海外」といっても、よくある欧米(と、事務所お得意のオセアニア)ではなく、韓国のことではないかと噂されていました。なるほど。今の情勢ならそれもありかと思いました。
 そこで、このたび笠原さんは日プの候補生として戻ってきました。今のところ断トツの1番人気のようです。候補生には全員に1分間の動画でPRする機会が与えれられるのですが、再生回数が1万回前後というメンバーが半数以上を占める中、43万回再生(今日現在)という圧倒的な成績を残しています。改めて見ると、やはり元アンジュルムの精神は生きているなぁと感じました。

 そこで、笠原さんだけを見るのではいけないと思い、他のメンバーの動画もすべて見ました。(YouTubeで再生リストが用意されています。)
 会社に面接に来る人事担当者の気持ちが分かりました。この会社ではどういうことをやっていきたいのか、そのためにはどのような人材を選べばいいのか、この人は他の道に進んだ方がよりよい人生が待っているのではないか、など、色々と考えさせられました。
 私が重視したポイントは以下の通りです。

  • 大きな声でハキハキとしゃべってほしい。

  • 歌やダンスのアピールは別の機会にできるので、ここでは他の面が見たい。

  • 時間が余っても、最後までアピールに徹してほしい。時間が足りなくなるのはOK。

  • 「表情を作るのが得意です」とか言っている人は女優になってください。

 などです。こうやってアピールの場が平等に与えられるというのは、いいことだと思いますが、再生回数という結果が出てきます。私のように、再生リストを最初から最後まで全部見たという人は少ないようで、人によって露骨に差が出ます。採用試験におけるペーパーテストの点数のようです。
 まぁそもそも、何度か書いているように、個人的には4~5人程度のメンバーのグループが好きなので、11人というのはちょっと多めです。本場のK-POPのグループもそれぐらいの人数が多いと思います。あと、これは先発グループのNiziUもそうなんですが、メンバー全員が日本人なのに、フォーマットが韓国仕様というのは、どうもしっくりきません。それなら最初から日本でデビューすればいいのにと思ってしまいます。
 ともかく、ハロプロ卒業生の新たなロールモデルができたのはよいことです。これから日プの方では熾烈なサバイバル合戦が行われるということですが、そういうのはオーディションの常ですし、ハロプロは日本の芸能界で一番ハロプロに近いところにあると思うので、笠原さんなら大丈夫だと思います。常々言っていることですが、ハロプロメンバーにはどんどん外の世界に出ていってほしいと思っています。M-lineに残って身内相手に商売するのも悪くはないですが、笠原さんとか、帝国劇場公演の主要キャストに抜擢された加賀楓さんなどの事例が蓄積されれば、今後のメンバーの進路にも影響を与えることができそうです。
 さしあたって次の展望は、BEYOOOOONDSの小林萌花さんが、卒業後ピアニストとしてどのぐらい成果を上げることができるかというところです。本場の世界は厳しいことは重々承知していますが、なんとか挑戦してほしいと思っています。


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