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「倍返し」はできませんが…

新型コロナウイルスの影響で、会社やお店を休業して、売り上げが減ったために、従業員を解雇せざるを得ない事業所が増えているそうです。

会社の気持ちも分からなくはないですが、解雇された人たちにも生活があります。ましてやこの時期、再就職もままならないことも多いと思います。そこで、厚生労働省では企業に対して、雇用調整助成金を活用して従業員の雇用を維持するよう呼びかけています。

ということで、企業を経営されている方がどれだけこのnoteを見てくださっているかわかりませんが、もしおられたら、貴社にて勤務されている社員の方のために、雇用調整助成金の申請を宜しくお願いします。

新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の概要については、厚生労働省の特設ホームページに載っています。書式も全部載っているので、(一部の人が忌み嫌う、いわゆる「Excel方眼紙」ですが、自動計算できたほうが便利なので、仕方ありません。)基本的にはこれに書いてプリントアウトして、郵送か持参で申請します。電子申請はトラブルがあって休止中です。

 分かりやすく言うと、まず、新型コロナの影響で従業員を休業させるときに、経営者側と労働者側の間で「休業協定書」を締結して、休業中の賃金を、本来の賃金と比べてどれだけ支払うかを決めてもらいます。(最低で、本来の賃金に比べて60%以上支払う必要があります。100%でもかまいません)そしてその協定書に従って、実際に休んでもらった間の給料を会社が従業員に支払います。その後、その間の休業実績と、給料の支払い実績に関する書類を、会社の所在地を管轄するハローワークに提出し、労働局で書類審査ののち、その支払った分の金額が会社の指定の口座に振り込まれるという仕組みです。

 気になる給付率ですが、日本の企業の99%以上を占める中小企業の場合、今年の1月24日から、申請を行った期日の末日までの間に、一人も会社都合による解雇者を出していない場合は、実際に会社が支払った給料の100%が給付されます。(上限1日一人15,000円)しかし、一人でも解雇者を出してしまうと、給付率が80%になってしまいます。

 次に、どのような企業が給付を受けられるかというと、最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している企業が対象となります。そのためには、それを証明するための書類が必要になりますが、意外とハードルは低いように見えます。

 雇用調整助成金は、雇用保険に加入している人たちが対象になります。基本的には、1週間に20時間以上働いている人たちです。しかし、それ以下の時間働いている人たちもいます。学生さんや主婦のパートなどです。特に昼間の学校に通っている学生さんは、1週間に20時間以上働いていても、雇用保険に入ることはできません。そういう人たちのためには、緊急雇用安定助成金という制度によって、雇用保険に入っている人たちと同じような給付が受けられます。

 この書類は、毎月の賃金の締め日ごとに出さないといけないので、担当者の負担も大きくなることが想像されますが、企業によっては1,000万円単位のお金が入ってくることになるので、従業員の雇用と生活を守るために、大切な仕事になります。

 私はこの7月から、京都労働局でこの雇用調整助成金の書類の審査をする仕事をすることになりました。プロフィールに「コロナの影響を受けた人を支援する仕事をします。」と書いたのは、これのことです。民間企業に丸投げして炎上したどこかの給付金と違って、こっちは厚生労働省が直接行っている事業です。だから一応期間限定の国家公務員です。いろいろと守秘義務があるので、どこまで書いていいかわかりませんが、(というか、場合によってはこの記事も削除しなければいけなくなるかもしれませんが)、コロナに打ち勝って経済を回していくために、大切な仕事であると自覚しています。

 京都は観光業と製造業で成り立っている場所なので、特にコロナの影響は大きかったところです。わかりやすいところでいうとホテルとか飲食店とか、それから和物関係(着物とか伝統産業とか)が京都には多いので、その関係の企業が打撃を受けました。おそらく売り上げの減少率でいったら全国有数なのではないかと思われます。それだけに、担当の方の苦労もあるかと思います。小さい会社とかで、事務担当者を置く余裕もないところは、社長さんが実際に書いて申請しているところもあります。皆さん初めて書く書類なので、悪戦苦闘しておられると思います。書き方のマニュアルもあるのですが、いまいちわかりにくいので、困っておられると思います。それでも、審査している側からすると、その苦労の跡が読み取れるので、なんとかその思いに応えたいと思うし、一方で、どうしてもこの内容では受け取れないと思ったら、会社に連絡して、追加で書類を提出してもらうなど、対策をしてもらいます。お金にかかわる話なので、大体の会社は対応していただけます。

 最近また新型コロナの新規感染者が増えてきました。それに伴って休業するお店や会社も増えるかもしれません。とりあえず9月30日までは、この仕組みで走っていくそうなので、もし会社やお店が休業することになっても、雇用調整助成金などを利用して、従業員を解雇しないで、頑張っていただきたいと思います。日本ではコロナによる死者数は少ない方だといわれていますが、コロナのせいで今後の人生に絶望して、自殺をしたり、凶暴な犯罪を起こされたりしたら、そっちの方が社会に深い爪痕を残すことになります。各企業の担当者の方は、お手数をおかけしますが、宜しくお願いいたします。


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