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いい音楽とご自愛には余白がある? #013「『ご自愛おんがく部』の部長・副部長に聞く、音楽が与えてくれるもの」 〜タイニーのご自愛タイムズ〜

タイニーのご自愛タイムズはご自愛について語り合う場です。タイニーメンバーや様々なゲストと共にそれぞれの日常を紐解き、「ご自愛」について探求していきます。

今回のテーマは、「『ご自愛おんがく部』の部長・副部長に聞く、音楽が与えてくれるもの」

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今日はタイニーメンバーのヒロ&まいと、ゲストに「タイニーピース・ダイニング」の参加者からなるコミュニティのメンバーの中から、コミュニティ内で「ご自愛おんがく部」として活動している天野光太郎(あまの こうたろう)さんとよだえりこさんにお越しいただき、4人でご自愛について語っていきます。

なお、ページ下部にはご自愛おんがく部が選曲したご自愛プレイリスト」もご用意しておりますので、あわせてお楽しみください。

- 今回話すひとたち -

最終版4人プロフ.001

コミュニティ内部活動「ご自愛おんがく部」とは?

ヒロ:天野さんとえりこさんは「ご自愛おんがく部」でどんな活動をされているんですか?

天野:Facebookのグループ内で、プレイリストをつくって毎日シェアしています。部長の僕と副部長のDJヨーダが好きな音楽や感動した音楽を1曲挙げて、テキストで曲の背景や自分の感じ方などの説明をつけ、みなさんに「音楽でご自愛してみてはいかがでしょう?」と提案させていただいています。

ヒロ:僕や他のタイニーメンバーもいつも楽しみにしていて、お2人が選んでくれたご自愛ソングを聴きながら作業をしています。自分では出会わないような曲を選曲してくれるので「ディグる(掘る=音楽を探す)」感覚を味わっています。

音楽に触れることで、自分の感情に触れる

ヒロ:お二人は「音楽でご自愛する」ということをどう捉えていますか?

天野:僕の人生は音楽に救われてきたと思っています。楽しいとき、辛い時、寂しいときに流れていた音楽がそれぞれ必ずあって、そのすべてに救われている感覚。いつも音楽を聴くことで僕的なご自愛を得られる感覚があったので、それが本当にすべてっちゃすべて。

ヒロ:救われるというのは、どういう感じなんですか?

天野:例えば、悲しいときや悩んでいるときに、ふと流れてきた音楽が、それを聴くことで自分の悩みがくだらないものだと気づいたり、自分を俯瞰で見られるようになったりすることがあります。同じ曲でも聴くコンディションによって効果が違うんですよ。自分に向き合うきっかけをくれたり、考える必要がないことを考えているときに、全部洗い流してくれたりすることが、僕的にはご自愛にあてはまるのかな。

ヒロ:音楽によって自分が体感していることや考えていることが明瞭化されたり、俯瞰されて見えてくるものがあるのでしょうか。

えりこ:何かの出来事があって感情が動いているときに音楽を聴くと、洗い流してくれる感じ。そしてちょっと癒されるという感覚になるのかなぁ。音楽って感情と結びついているものなんだと改めて感じました。

天野:不思議なのは、音楽自体が言語化して「悩まないでいいよ」と言っているわけじゃないのに、曲の持っている背景からいろんなものがリンクされて、そういうモードに入ると思うんです。その感覚をみんなで味わってみようと思って、ご自愛おんがく部をやっています。

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まい:ご自愛おんがく部で、天野さんが宇多田ヒカルさんの曲を紹介したことがあったんです。部長が添えたコメントに「宇多田ヒカルさんは、言葉づらで見るとネガティブなことも書いているけど、それが曲になった時に暗くならない」と書いてあったんです。感情を原動力にして曲を作るとなると、自分のネガティブな感情と向き合って客観視できるぐらいにならないと、作品として昇華されないんじゃないかなって。それを聴くことは、そのエネルギーをまるごと聞いているのかも。一旦曲が寄り添ってくれて、聞いた人が自分で立ち上がるくらいの力を与えてくれることもあるだろうと思いました。

天野:歌って、歌詞だけ読んでも伝わってこないことが多くて、メロディーに乗っかった瞬間に化学反応が起きて、それが感情にぶわっと入ってくる。奥田民生さんや井上陽水さんは「愛してる」をそのまま書かないんですよ。5個くらい訳のわからない言葉を並べて、メロディーが乗ったときに「愛しているよ」と受け取れちゃう。そういう余白がある
人それぞれ受け取り方は違うんですけど、「感動」というのは感情が敏感になっているときなので、ご自愛につながると思うんですね。

えりこ:「愛しているよ」と聴く人もいて、全然そう聴こえない人もいるんだけど、なんだか「いい感じ」がするという、言葉ではなく響きで受け取れるんですよね。受け取り方に幅があるのは、いい音楽だなって思うんです

ヒロ:「ご自愛すること」は「自分が何を感じているのかに気づくこと」が支点だと思った時に、音楽に触れることで自分の感情が振れて気づけるという作用があって、アートなものや日常的に聴く音楽はご自愛していく上でポイントだなと感じました。

えりこ:私が選曲してプレイリストを作ったりコミュニティの中でシェアする中で、たとえば女性だったら化粧水や化粧品を選ぶみたいに、音楽もそのときの気分や心に触れるようなものを選べたらいいなと思っているところがあるな。

ヒロ:日頃音楽を聴く時は、どうしても自分の好みで選ぶからわかっている範囲の感覚でしか聴かないんですよね。そうすると自分が感じたくないものや興味がない感情を感じないようにするために音楽が絞られていくような感覚がある。だから2人が選曲してくれた音楽を聴くと、違った体験や不思議な感覚があります。
HYの「AM11:00」が紹介されたときに、同じ曲でもみんな違ったエピソードや体験があって、それが交わってシェアされていく感覚がおもしろかった。そういう「違い」が見えてくるのも、音楽×ご自愛という組み合わせだからだと感じました。

ご自愛とは、気づいてあげること?

ヒロ:最近、天野さんがコミュニティの中で「ゴジポジ(ご自愛ポジション)」という言葉を発明しましたけど、ゴジポジってなんですか?

天野:この間、荒井ちゃん(タイニーの代表・ともこ)とラジオの収録をさせていただいてから、2週間ずっと「ご自愛ってなんなんだ?」と考えているんですよ。ご自愛ってそもそも「どこにいらっしゃるんだろう?」と思ったんですよね。みなさんが生活している中で、お仕事や読書や旅行などみなさんが好きなものがあって、その周りにご自愛が点在しているんじゃないかなって。生活を取り巻くいろんな要素の周りに「ご自愛さん」がいて、その都度、「そばにご自愛さんがいる」と気づくんですよ。
例えば旅行をしたときに、普段なら「楽しい」だけで終わるはずなのに、「今回はいつもと違う気持ちになった。日頃の嫌なことを忘れられた」と感情が昂ぶったときは、周りにいる「ご自愛さん」に気づいて、そこで初めてご自愛というものができると思ったんです。
だからゴジポジは「ご自愛が真ん中にいて、その周りに生活を取り巻くものがある」のではなく、「生活があって、その周りにご自愛さんが転がっている」のかなと。

最終ゴジポジ図.001

ヒロ:「転がっているものに気づくことがご自愛」という感じですか?

天野:感動したり、感情が動くきっかけがあって、ご自愛に気づくというか…

まい:「気づく」という言葉が印象的ですが、何に気がつくかって、自分の内側に気づいてあげることなのかなって思いました。落ち込んでいる自分に気づいてあげたり、そろそろ立ち上がりたい自分に気づいてあげたり、感動している自分に気づいてあげたりする。そのためのツールとして人によって音楽があったり、別のツールが出てきたりするのかも

温泉宿でフェス、スナック、寄席…ご自愛おんがく部の野望は広がる

ヒロ:今後、ご自愛おんがく部としてたくらんでいることはありますか?

えりこ:ご自愛フェスやご自愛寄席、それからご自愛スナック。スナックってあまり行ったことがないですけど、誰かが歌うカラオケの決して上手じゃない歌をみんなで聞いたり。そういう独特の会話とかローカル感がいいなって。

天野:温泉宿や健康ランドの2階の宴会場を借りて、お酒を飲みながらライブやDJをしたり、好きな時に温泉やサウナに行ったりもできる、最終的にご自愛フェスではそんなことがしたいな。布団を敷いて、寝っ転がりながら音楽を聴くイベントもいいな。
今作っているプレイリストを言葉と一緒に世の中に発信していくという活動もあるし、遠足もしたいです。おんがく部じゃなくなっちゃうんですけどね(笑)

ヒロ:フェスいいですね!フェスの企画会議のラジオも録りましょう!
今日はありがとうございました!

■「ご自愛おんがく部」がお届けするご自愛プレイリスト
第1弾は、tiny peace kitchenの開店当初から店内のBGMを選曲したり、ご自愛ラジオのオープニング曲を作ってくれている
DJヨーダことえりこさんの選曲です。

「台所でご自愛」by DJヨーダ
フォーキーでポップ、穏やかで陽気な約60分間のプレイリストです。裏テーマは、LOVE。隠し味には、ナス、バター、ジェラート(!)など食べ物のタイトルの曲も。遊び心と共に楽しんでください。台所での時間がリラックスして、ときめくような時間になりますように。


▼タイニーのご自愛ラジオでは、4人のご自愛談義を音声でお楽しみいただけます。通勤時間や、料理をしながらなど、スキマ時間にぜひ聴いてみてくださいね。




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