自分から自分へ、とっておきの贈り物を
記念日に合わせて日時指定した荷物がヤマト運輸から届いたのは、21時直前のこと。「LIFFT」というお花の定期便(サブスク)サービスを、はじめて注文してみた。
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想像よりも大きい、縦に細長いダンボール。80サイズ以上はありそう。
楽しみにして待っていたのですぐさまカッターを入れて箱を開ける。と、ふわあぁ〜っと鼻いっぱいに広がる花の香り!(ダジャレではありません笑)
こんなに甘い花の香り、今までに嗅いだことがあるだろうか!?大袈裟ではなく、本当にとっても甘く強く、その香りだけで花の上質さがわかった。
箱から花束を取り出して、またまた驚く。こんなにボリュームがあるなんて……!
丁寧に包まれたボリュームたっぷりの花束と、オリジナルのリーフレットと、初回限定ということで同時注文したガラスの花器。ダンボールの中にきれいにやさしく詰め込まれた幸せが、香りと共に部屋いっぱいに広がるようだった。
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今月の花の品種が書かれた紙が一枚。裏を返すと、花をどのように取り出して生ければいいかの手順も書いてある。
私は生け花やフラワーアレンジメントを習ったことがない。だから、本当に気の向くままに一本ずつ挿していった。それでも、どっしりとしたガラスの花器からこぼれ落ちんばかりの花は、上手とか下手とか関係ないくらいにただただ綺麗で、見惚れてしまった。
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月に1回、送料含めて3300円(税込)のサブスク。最近増えているお花のサブスクサービスの中でも、気軽に頼める価格帯とは言えない。ちょっと贅沢かなと思いつつも全体のデザインセンスに惹かれて注文した。
けれど、断言してもいいけれど、これで3300円は絶対に安い!
もし花屋でこれだけ素敵なブーケを作ってもらったら4000円くらいかかる気がする。しかも、ありきたりの花じゃなくて厳選された組み合わせだから、センスのいい花屋じゃないとこの花束は作れないとも思う。それが自宅に届く送料も込みでこの値段だから、決して高くはない。
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お花といえば「贈るもの」のイメージが強い。でもこれは「自分でお金を払って届くからいいんだなぁ」と感じた。
もちろん誰かにプレゼントしてもらっても嬉しいんだけれど、こんなに素敵な花を受け取るとお返しやお礼をどうすべきかと気になってしまう。自分で買えばまったく後腐れがなく、存分に楽しむことができる。
それでいてこの花束は、どこかの誰かがとても丁寧に品種を選んで、梱包して、届けてくれたという感触がある。
品種やイメージをまったく指定していないからこそ、プレゼントされたようなくすぐったさもある。「マム(菊)」が届くと聞いて「菊かぁ……すこし地味なのかな」と心配する気持ちがあったけれど、そんな心配はダンボールから広がる甘い香りに一瞬で吹き飛ばされた。
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最近、つくづく思う。
世の中には様々な価格帯の商品やサービスがある。消費者それぞれの価値観や状況に合わせて、高価なものも安価なものも選べる。高価だからといってすべてが良いわけではないし、安価だからといってすべてが悪いわけでもない。
けれど私はやはり「それなりのお金を払ってでも、良いものが欲しい」。
それは、私自身が「つくる」仕事をしているせいもある。「本当に良いものをつくるためには費用がかかる」という実感が強いのだ。材料費だけでなく人件費も。
私は消費欲が強いほうなので、いろいろな価格帯の商品やサービスを試してきた。花のサブスクもそうだし、洋服も、食事も、ホテルも、ガジェットも、安いものから高いものまでたくさん試してきた。その中で、今でも大切に使っていたり記憶に残っている「本当に良いと思えるもの」はやはりそれなりの金額を払ったものだ、という事実を否定できない。
よくAppleネタを書いているけれど、私がAppleを好きなのは「すこし高額でも質の良いものをつくる」という理念が一切ブレないからでもある。
いち消費者としてもそう感じるし、いち製作者としてもそのようなものを生み出せたら幸せだとつくづく思う。
だから私は、まったくもってお金に余裕があるわけではないのだけれど、いつもすこし背伸びしてすこし高いものを買う。自分の収入から考えれば贅沢だよなぁというものに、積極的にお金を払う。
そうして「本当に良いもの」を五感で感じ、消費者が受け取る幸せな気持ちを体感しなければ、「本当に良いもの」をつくることなどできないと思うから。
今日もまた一つ、幸せを感じた。
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